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【新型ヴェゼル試乗】車格を超えた安心感のワケは? ハイブリッド/ガソリンに共通する味つけ

掲載 更新 30
【新型ヴェゼル試乗】車格を超えた安心感のワケは? ハイブリッド/ガソリンに共通する味つけ

新型の特徴は?

text:Shigeo Kawashima(川島茂夫)

【画像】じっくり見る、新型ヴェゼル【無限/アクセス用品車も】 全156枚

photo:Yoshihisa Miyazawa(宮澤佳久)

フィットやフリードのハードウェアから発展したコンパクトSUVが初代ヴェゼル。

ファストバック・クーペを思わせるサイドビューなどスペシャリティ志向SUVの雰囲気を漂わせるが、センタータンク・レイアウトによるスペース効率に優れたプラットフォームや座面チップアップとワンタッチ・ダイブダウンの2通りの収納が可能な後席機能により、優れた居住性と積載性を備えている。

新型はそういった初代の特徴を継承しているが、後半部の絞り込みを抑えたキャビンデザイン、タフさを感じさせるフロントマスクなど、SUVらしい実用性を強化しているのが特徴の1つだ。

また、フィット同様にハイブリッド車のシステムをパラレル式のi-DCDからシリーズ式をベースにしたe:HEVに変更した。

e:HEVはシリーズ式同様にエンジン発電/電動駆動を基本にするが、エンジンによる直接駆動機構を備え、低負荷の中高速域巡航ではパラレル式として振る舞うのが特徴。いわばシリーズ/パラレルのスイッチング式とも呼べるシステム。

電動のメリットを活かしながら、シリーズ式の弱点である高速巡航時の燃費改善を図ったシステムである。

また、車種構成も一新し、ガソリン車を1グレード設定とし、e:HEVを3グレード設定に。

PLaY(プレイ)以外はFFと4WDの選択が可能。なお、プレイがFFに限定されるのはハードウェア面の問題ではなく、販売政策によるものである。

e:HEV 増えた余力感の詳細 

e:HEVの駆動用モーターはフィットと同型だが、最高出力を20%増の96kW(131ps)とした高出力型を採用している。

車重はフィットの約13%増であり、タイヤ外径を含む総減速比では約13%低くなっているので、スペックから見れば最高出力増は中高速域の動力性能の向上を示している。

プレイ(e:HEV/2WD)の試乗印象もスペックに則しているが、どちらかと言えば数値以上に加速性能に振っているように感じられた。

負荷の安定した市街地走行ではエンジン稼働も抑えられ、稼働中のエンジン音も穏やか。浅いアクセル開度での緩やかな踏み増しにも即応し、純電動駆動らしい力強いドライバビリティを示す。

従来のi-DCD車と比較すると、実用域の余力が2、3割増えた感じである。

速度上昇や急加速など負荷が大きくなるとエンジンの稼働時間も回転数も高まる。速度変化との連携感は乏しいが、エンジン回転数はアクセル踏み込み量と連携して制御され、加速への期待値とエンジンの稼働感に違和感はない。

ハイブリッドなら当然の反応だが、それにしても他のハイブリッド車ではあまり使わない高回転域も積極的に使用する。

回転数を抑えた余力感の演出よりも実用性能の余裕を優先した制御であり、登坂や高速域での加速性能は従来車から大幅向上。長駆レジャーでの使い勝手もいい動力性能である。

ガソリン車「G」は?

ガソリン車は先代の直噴からポート噴射などの設計変更が加えられているが、最高出力/最大トルクともに多少低下。

フィットから採用された高効率の新型CVTの導入などハードの更新はなされているものの、ローコスト志向は否めない。

しかし、試乗印象は悪くない。

中高速や登坂での加速では早いダウンシフトで使用回転域も高め。

ギア比で何とか賄っているものの1.5Lの素のトルクでは非力感は否めないのだが、低中速域や緩登降坂での巡航ギア比維持や加減速反応が向上し、市街地や郊外路での余力感は大きく改善された。

山岳登坂や高速は相変わらずでも、市街地走行レベルからダウンシフトや加速時のエンジン上昇で非力感のあった従来車から確実に進歩していた。

異なるパワートレインでも、共通の特徴が

ガソリン車とe:HEVのそれぞれについてFF/4WDを試してみたが、コーナー半径や速度の影響の少ないハンドリングと据わりのいい乗り心地は、共通した特徴である。

ピッチ/ロール/ヨーのいずれの動きも滑らかでいて抑制が利いている。

切れ味とか軽快感の誇張がないので乗りこなす醍醐味は薄いが理知的かつ正当な操縦特性であり、コンパクトSUVの車格を超えた安心感が得られる。

FFと4WDについて

駆動方式の違いでは、4WD車が多少引き締まった味わい。

また、16インチ・ホイール仕様(G/X)と18インチ・ホイール仕様(Z/プレイ)では18インチのほうが車軸周りの揺動や突き上げ感が目立つ。フットワークのまとまりでは16インチの4WD車がこなれた印象を受けた。

冒頭でも述べたように、コンパクトSUVでもキャビン・ユーティリティはトップクラス。

フィットでは荷室容量が足りないからヴェゼル、という選び方も大いにアリ。

車格面で1ランク上がるので費用対効果はちょっと厳しい部分もあるが、アウトドア趣味の有無に拘わらずタウン&レジャーでの使いやすさを求めるユーザーに適している。

アウトドア趣味の“アシ”としては悪路踏破性が気になる。先代よりも4WDの悪路対応力を高めているが、ガレ場のような状況まで含めたハードクロカンには後輪の駆動容量に余裕がない。

もっとも、ヴェゼルの踏破性で不足するような状況はオフロードマニアの領域でもあり、一般的なアウトドア・レジャーには不足はない。

付け加えるならジムニーシエラを除いたコンパクトSUVは、多少の差はあってもそのレベルがふつう。

「買い」か?

高速長距離や山岳ワインディング路を安心してこなせるオンロードでの走りと、悪路対応力の総合評価ならコンパクトSUVのトップクラスである。

全車速型ACCや走行ライン支援型LKAなどの運転支援機能を備えた最新のホンダセンシング。車載ITには、スマホのデジタルキーや、車内Wi-Fiなどの機能を用意するホンダコネクトを用意。

先端とまでは言わないが、最新モデルらしい機能を全車に設定している。

ちなみにe:HEVの試乗車となったプレイは、ホンダコネクト採用ナビが標準だ。

車格を考えると少々割高な印象もあるが、性能や装備内容で納得。タウン&レジャーで積極的に使って元を取るタイプのユーザーなら買い得。

クルマも実践派なら最適ユーザーも実践派なのだ。

新型ヴェゼルe:HEV スペック

ヴェゼルe:HEVプレイ(FF)

価格:329万8900円
全長:4330mm
全幅:1790mm
全高:1590mm
最高速度:-
0-100km/h加速:-
燃費:24.8km/L(WLTCモード)
CO2排出量:93.6g/km
車両重量:1400kg
エンジン形式:1496cc直列4気筒+モーター
使用燃料:ガソリン
最高出力(エンジン):106ps/6000-6400rpm
最大トルク(エンジン):13.0kg-m/4500-5000rpm
最高出力(モーター):131ps/4000-8000rpm
最大トルク(モーター):25.8kg-m/0-3500rpm
ギアボックス:電気式無段変速機
駆動方式:FF
乗車定員:5名

新型ヴェゼル・ガソリン車 スペック

ヴェゼルG(4WD)

価格:249万9200円
全長:4330mm
全幅:1790mm
全高:1580mm
最高速度:-
0-100km/h加速:-
燃費:15.6km/L(WLTCモード)
CO2排出量:148.8g/km
車両重量:1330kg
エンジン形式:1496cc直列4気筒
使用燃料:ガソリン
最高出力:118ps/6600rpm
最大トルク:14.5kg-m/4300rpm
ギアボックス:CVT
駆動方式:4WD
乗車定員:5名

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みんなのコメント

30件
  • 「CX-ハリアーと言われてる件についてどう思いますか?」

    ホンダ
    「話題性が大事です」


    (笑)
  • CX-5よりアウディに似てると思うけどなぁ(サイドから見ると特に)
    そう考えるとCX-5もアウディのデザインを……
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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