日本を代表するハイパフォーマンスカー、日産GT-Rの2022年モデルに追加されたTスペック。2007年の登場以来、進化を重ねてきたGT-Rの最終形とも言われています。自動車評論家の萩原文博さんの試乗レポートをお届けしましょう。
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2007年10月に発表され、すでに14年というロングセラーモデルとなっている日産GT-R。2021年9月14日に2022年モデルが発表されましたが、これがファイナルモデルと言われています。その理由は現状GT-Rは2022年9月から施行が予定されている騒音規制(国際基準調和のフェーズ3)に対応するのが困難なためです。
2007年デビュー時の車両本体価格は777万~834万7,500円でしたが、最新の2022年モデルでは、標準モデルが1,082万8,400~1,463万6,600円。GT-R NISMOは2,420万~2,464万円となっています。エントリーモデルのピュアエディションでも300万円以上値上がりしていますが、14年という年月によってこの価格アップ以上の進化を遂げています。
Tスペックとニュルの共通点が予感させるもの
2022年モデルにはTスペックと呼ばれる100台限定の特別仕様車が設定されました。このTスペックには2色の新色である「ミッドナイトパープル」と「ミレニアムジェイド」を追加。このミレニアムジェイドというボディカラーはR34型スカイラインGT-Rのファイナルモデルである「ニュル」に採用されたもので、これが2022年モデルのGT-Rがファイナルモデルであるということを匂わせる理由と言えます。
今回、すでに完売となっている特別仕様車のGT-RプレミアムエディションTスペックに乗ることができましたので、インプレッションを紹介しましょう。
357万円アップはむしろバーゲンプライス
2007年12月から販売開始されたGT-Rに搭載されている3.8L V6ツインターボエンジンの最高出力は480ps、最大トルク588Nmでした。しかし度重なる改良が加えられ、2016年7月に発表された2017年モデルでは最高出力570ps、最大トルク637Nmまで向上しています(ハイパフォーマンスモデルのGT-R NISMOは最高出力600ps、最大トルク652Nm)。エンジンの出力向上に合わせて、外観にも手が加えられ冷却性能の向上と空気抵抗・ダウンフォースの維持を可能としています。
今回の限定モデルには専用拡幅フロントフェンダー(後部アウトレットダクト付き)、専用拡幅フロントプロテクター、そして前後に「T-Spec」のバッジが貼られているのが目印。
インテリアでは、自在にシフトチェンジを行えるパドルシフトは、ステアリングホイール固定タイプに変更され、ドライバーが手を離すことなくシフトチェンジできる操舵角領域がより広くなるなど改良されています。
さらにTスペックは特別装備として、専用のカーボンセラミックブレーキをはじめ、樹脂製に対して重量が約半分となるカーボン製リアスポイラー、専用セッティングのサスペンション、そして専用開発されたブロンズ塗装のレイズ製アルミ鍛造ホイールを装着。エンジンカバーも専用のアイテムに変更されています。
インテリアにも専用品が盛りだくさん
インテリアでは、センターコンソールにT-Specのバッジが貼られているのをはじめ、専用キッキングプレート、ルーフの刺繍、加えて専用内装色のコーディネートが施された専用インテリアとなっています。
GT-R プレミアムエディションTスペックの車両本体価格は1,590万4,900円と標準のプレミアムエディションの1,232万9,900円から357万5,000円アップとなっていますが、特別装備のメニューを見たら高いどころかバーゲンブライスにすら感じます。
ためらうことなくアクセルペダルを踏めるGT-R
実際に、GT-RプレミアムエディションTスペックに乗ってみると、これがGT-Rと感じるほどの乗り心地の良さに感心します。専用セッティングのサスペンションとタイヤによって、凸凹のある公道でも冷や汗一つかくことなく走ることができます。
通常570psというハイパワーマシンでは、ラフなアクセルワークをすると、アンジュレーションのある路面ではヒヤッとするシーンもあるのですが、このGT-R プレミアムエディションTスペックはそんなことは全くありません。これまで何度も現行型GT-Rに乗る機会がありましたが、このTスペックは最も乗り心地も良く、ためらうことなくアクセルペダルを踏むことができます。
このGT-Rが登場した際に、当時の開発責任者である水野和敏さんが話していたとおり、「アウトバーンで300km/hで走行しても助手席の人と会話ができる」という高い静粛性も実現しています。
14年の歳月がGT-Rに与えたもの
デビュー当初のGT-Rはサーキットでは圧倒的なパフォーマンスを発揮するモデルである一方で、公道では轍などにタイヤが取られてしまい非常にセンシティブなクルマでした。しかし、14年の歳月はGT-Rをまさに「誰でも、どこでも、どんな時でも最高のスーパーカーライフを楽しめる」クルマに昇華させています。サーキット走行をしなくても、公道でも十分にGT-Rの高いパフォーマンスをついに誰もが味わえるようになったのです。
この進化は車両価格差300万円以上の価値があるでしょう。今回幸運にもGT-R Tスペックを手に入れることができた100人の方が本当にうらやましい限りです。
※記事の内容は2021年12月時点の情報で制作しています。
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R35も徐々に上がり始めてる