『GQ JAPAN』の編集者・イナガキ(29歳)が、ひょんなことから中古のフェラーリを購入した! 勢いで買ってしまったフェラーリのある生活とは? 今回は、最新のF8トリブート・オウナーとの出会いにかんするお話。
ウェブ上での出会い
360モデナのオウナーとして、最新の2シーター・ミドシップスポーツ「F8トリブート」は、大いに気になる。納期や価格を考えると現実的ではないにせよ、360モデナの流れを汲むからだ。
【前話】Vol.62 トラブル発生!?
現在、F8トリブートは世界各国で順次納車されているから、インターネット上には実車リポートもいくつか掲載されている。日本の場合、メディア向けの広報車両がないため掲載はナシ……と、思いきや、すでに納車済みの個人オウナーが、YouTubeなどを含むインターネット上で情報を発信していた!
よく見ると、わが360モデナもお世話になっているフェラーリ横浜サービス・センターで撮影した画像もあった。もしかすると、このオウナーもボクとおなじく同センターに整備を依頼しているのではないか……。
早速、高橋忠久工場長に訊くと、やはりフェラーリ横浜サービス・センターの顧客だった。おなじグループに属するNicole Competizione みなとみらいショールームが新車で販売した個体という。
おなじ“Nicoleユーザー”として、勝手に親近感が湧いてきた。叶うなら、ぜひオウナーに会って、フェラーリの魅力や購入経緯について話を訊きたい。早速、高橋工場長に取り次ぎを頼んだ。
数日後、「ご取材、お引き受けいただけるとのことです」と、嬉しい連絡があった。あらためて、オウナーが発信する情報を調べると、どうやらF8トリブート以外にもフェラーリを所有しているらしい。ますます取材日が楽しみになってきた。
フェラーリの情報を発信する理由
「フェラーリを購入したきっかけは“一目惚れ”でした」
真っ赤なF8トリブートで颯爽とあらわれたのはオウナーのコマさん。YouTubeやツイッター、インスタグラムで愛車にかんする情報を発信している。本業はシステム開発関係の会社を経営しているそうだ。
Vol.60 612スカリエッティのオウナーに会う
「YouTubeは営利目的ではありません。フェラーリの魅力をひとりでも多くの人に伝えたいですし、“目標”を持つことの大切さを伝えたいからです」
コマさんによれば、明確な“目標”を持ち、途中で諦めなかったからこそ、ビジネスも順調に進み、フェラーリも所有出来たという。
Vol.59 認定中古車で迷う(後編)
Vol.58 認定中古車で迷う(前編)
「もともと大勢の人の前に出るのはそれほど得意ではありませんでした。が、周囲から『どうやったらフェラーリを所有出来るのか?』といった質問を多く受けたため、それならYouTubeで発信してみようかな……と、思った次第です。本格的にスタートしてからまだ3~4カ月ですが、すっかりハマってしまいましたね(笑)」
所有するF8トリブートは今年の6月に納車されたという。本来は4月ごろに納車される予定だったものの、新型コロナウィルスの感染拡大に伴い遅れたそうだ。
「本来、空輸で日本に持ってくるはずだったのですが、新型コロナウィルスの感染拡大によってフライトがキャンセルになってしまって……そこで船便での輸送に切り替えたため、納車が遅れました」
目前で見るF8はエレガントだ。納車を早くするべく、メーカーオプションは、カーボン・ファイバーを使ったステアリング・ホイールやスポーツタイプのシートなどの“定番品”にしぼったという。
「F8トリブートは普段の“足”として日々乗っています。オプションのフロント・リフター機能付きなので、日常で困る場面はそれほどないですね。やっぱり“最新”のフェラーリは“最良”のフェラーリです」
訊くと、F8トリブート以外にも「GTC4ルッソT」も所有している。くわえて、ポルシェ「718ケイマンGT4」も所有しているという。
これだけ聞くと、幼い頃から相当な“カー・マニア”だったのではないか? と、誰しも思うかもしれない。が、意外にも「以前はクルマについてそれほど詳しくありませんでした」とのこと。「フェラーリを購入してから、クルマに対する興味が一気に湧きました」と、述べる。
458スペチアーレに一目惚れ
はじめてのフェラーリである「488GTB」を購入したのは約4年前という。
「458スペチアーレをYouTubeで見て一目惚れしました。もともとF1は好きで、約15年前からフェラーリを応援していたのですが、実際にフェラーリを所有するなんて、とても考えられなくて……」
実用性や信頼性の面で、フェラーリ購入は検討すらしなかったという。しかし、興味本位で視聴した458スペチアーレに一瞬で虜になってしまったそうだ。さらに訊くと、超高性能なエンジン・スペックとふんだんに盛り込まれたF1技術が購入の決め手だったという。
「知り合いのセールスがNicole Competizione みなとみらいショールームにいたので、早速足を運び、すぐに契約しました」
契約から18カ月後、ようやく納車された488GTBは、グリジオ・シルバー・ストーンのボディカラーに、レッドの内装という組み合わせだった。信頼性も高く、不具合は一切なかったという。
「購入後、イタリアのマラネッロでおこなわれた『812GTS』と『F8スパイダー』の発表会に招待され、さらにフェラーリへの想いが深まりましたね」
そのとき、フェラーリ本社工場も見学したそうで、えもいわれぬ雰囲気にいたく感動したそうだ。それもあって、フェラーリを増車し続けているという。現在も、「488ピスタ」「F8スパイダー」とほか2台が納車待ちという。
「488ピスタはテーラーメイド・プログラムによって、究極の1台に仕上げました。ボディサイドの七宝焼きを取り外し、“跳ね馬”をペイントで仕上げるなど細部までこだわっています。納車されたらYouTubeなどにアップしますので、ぜひ見てくださいね」
購入したクルマは、徹底して自分好みに仕上げるそうだ。フェラーリは、とことん細部にまでこだわれるのでそこも魅力という。新車で発注したポルシェも、自分好みの1台に仕上げたそうだ。「いつかは『F40』や『430スクーデリア』も所有したいですが、理想的な個体がないので、当面はないでしょうね」と、述べる。あとからカスタマイズするのではなく、新車時にメーカー純正品でカスタマイズするのが醍醐味なのだという。
コマさんの“フェラーリ愛”は相当だ。こだわりの数々を聞けば聞くほど、夢のまた夢のように思う。が、そんな“不思議な世界”もSNSで垣間見ることができる。
ボクも「新車のローマを購入したい」と、思っているだけに、その目標を諦めずに頑張らねば! と、取材して思うのだった。
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文・稲垣邦康(GQ) 写真・安井宏充(Weekend.)
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みんなのコメント
てか??
そんなにも気に入ってるぞアピールのモデナを、モデナの流れを汲まないローマの為にあっさり手放す計画の御仁。全く信用出来ないですね。