2021年4月22日、豊田章男自動車工業会会長が発表した第47回東京モーターショー中止の発表は、コロナ禍とあっても、多くの自動車ファンを落胆させたに違いない。
1954年4月、東京日比谷で「全日本自動車ショウ」としてスタートした東京モーターショー67年の歴史のなかで、実質的に初めての中止となった。実質的というのは1974年開催予定だった第21回は、オイルショックのために中止され、翌年から隔年開催となり、以降、2019年の第46回まで続けられていた。
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そうなると、気になるのは発表の場がなくなる今後の日本の新型車はどのような形で世に出てくるかだろう。これまで多くの新型車は東京モーターショーでプロトタイプやショーモデルとして公開され、それから市販車となることが多かった。
特にスポーツモデルはGT-Rもそうだったし、初代86/BRZなどもそうだ。新型フェアレディZなどのように海外のモーターショーで発表されることも多い。
つまり、市販する前に、新型車を多くの人の目に直接触れさせてその反響を探ったり、事前に広く宣伝したりする役割がモーターショーにはあった。
そこで、多くの自動車ファンのために、もし今年東京モーターショーが開催されていたとすればどんなモデルたちがブースの目玉になったのか、予想していこう。
文/宇井弘明
写真/トヨタ 日産 ホンダ 三菱
CGイラスト/ベストカー編集部
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近々に登場する新車のデビュースケジュールはこうなっている!
基本的にキープコンセプトとなる次期型アルファードだが、Aピラーは空気抵抗軽減のためより強く寝かされ、前面から見た印象は現行とはかなり異なるという(CGイラストはベストカーが制作したもの)
Aピラーやルーフラインは現行モデル同様だが、バンパーのみならずフェンダーにまで手が入れられたフロントの印象は現行と大きく異なる(CGイラストはベストカーが制作したもの)
まず、メーカーごとにざっと見ても、以下のようにこの秋以降発表される注目すべき新型車が待ちかまえている。もちろんモーターショーだから、ショーモデルとして期待されるモデルも含まれる。
スポーツモデルに注目したいところだが、このうちGT-R、シビックタイプR、WRX STIはこれまでも度々登場しているし、次期モデルの情報に関してレポートしてきているので、今回は意外な3車種について取り上げてみたい。
■トヨタ/アルファード(2023年)
■日産/GT-R(2025年?)
■ホンダ/シビックタイプR(2022年)
■三菱/ランサーエボリューションEV(?)
■スバル/WRX STI(2021年?)
■マツダ/マツダ6(2022年)
■レクサス/LF-Z(2023年)
東京モーターショーで披露するはずだったクルマ1/三菱ランサーエボリューションEV
三菱はこれまで「エボリューション」の名を冠したコンセプトを相次いで出展してきた。ランエボの後継車となるセダンも計画されている。社内でも復活の要望が大きいという(CGイラストはベストカーが制作したもの)
2017年の東京モーターショーに出展したe-エボリューションコンセプト
最初の1台は、三菱のランサーエボリューションEV。2021年5月11日、三菱はラリーアートの復活を発表した。経営的には厳しい環境にあるものの、なんとか黒字転換し、新しい道を進むことを選んだ。これまでの益子体制から一新し、かつてのチャレンジングな三菱へ歩みだそうとする一つの証明がこのラリーアートの再開だろう。
当然そのイメージリーダーとなるのは、WRCで活躍したランサーやパリダカのパジェロということになる。もちろん時代性から考えてもかつてのガソリンターボを使ったハイパワーモデルではない。
しかし、東京モーターショーが開催されていたなら、かつて世界に君臨したスポーツ性の高いあのランエボをPHEVで復活させたならどれほどファンが喜ぶか。
現行アウトランダーが発表された時、三菱の開発陣は、アウトランダーの4WD技術はランエボから受け継いだものだと説明していた。合わせて、このシステムで新しい時代のランエボも作れる、という関係者もいたほどだ。
それから見ても今回のラリーアート復活の狼煙をあげるには、「新世代のランエボXI」が最もふさわしい。
ここ数回の東京モーターショーを見るかぎり、三菱はスポーツ性の高い「MI-TECHコンセプト」やパジェロを思わせる「エンゲルベルクツアラー」などを出展してきた。故・益子前社長の思惑とは裏腹に、開発陣はそうしたメッセージを込めていた、といってもいいだろう。
加藤新体制に変わった三菱の東京モーターショー出展車はやはりPHEVの「ランエボXI」がふさわしい。今後、三菱は建て直しのために、このランエボやパジェロを復活させることは十分あり得るし、今後のEV時代を迎えた時に、他にはない付加価値で商品の魅力を「この復活」で高めていくことを期待したいところだ。
東京モーターショーで披露するはずだったクルマ2/新型日産エルグランド
どっしりと構えたスタイルのなかにシャープさを併せ持つ新型エルグランドのボディデザイン(CGイラストはベストカーが制作したもの)
そして2番目に注目したいのは、これも意外なところで新型日産エルグランドだ。2020年にマイナーチェンジしたものの、ライバルであるアルファード、ヴェルファイアに圧倒的に差をつけられているエルグランドだが、最新情報では次期モデルの開発が意欲的に続けられ、これまでライバルに追いつけなかった燃費面、デザイン面が大きく進化することが明らかになった。
特にパワーユニットではこのクラスまでe-Power化することで、最も遅れをとっていたアルファード/ヴェルファイアHV以上の燃費を獲得することが可能になる。
さらにデザインも8月に正式に市販する予定のアリア風になり、これも新型エルグランドの強みとなる。というのも、ここ最近の日産デザインはノートを含め、評価が高まっている。
トヨタの「オラオラ顔」とは違った新しいミニバンとして期待できる。もしやはり東京モーターショーが開催されたとなれば、2023年頃登場予定のエルグランドのプロトタイプあたりが公開された可能性は高い。もちろん新型Zもあっただろうし、期待のGT-Rコンセプトも見られたかもしれない。
この新型エルグランド安全面でも相当進化しそうで、日産が力を入れているプロパイロットなども装備されることになる。
東京モーターショーで披露するはずだったクルマ3/EVのタイプR第一弾! ホンダeタイプR!
ホンダeをベースにしたタイプRの設定が検討されているという。これまでにないEV版のタイプRだけに、新時代のホンダスポーツを訴求するにはうってつけの素材だ(CGイラストはベストカーが制作したもの)
もう1台の注目すべきクルマはホンダのEV、ホンダeだ。ホンダは2021年4月23日、2040年までにガソリン車からの撤退を表明した。
その直後の東京モーターショーとなれば、ホンダが作るEVの未来を見せることになるはず。当然。スポーツマインドを満足させる本ホンダならではのEVを見せなくてはならない。
そうなると、まずはすでに市販が開始され、そのスポーツ性の評価が高いホンダeのこれからの進化方向を示すことが重要になる。ホンダはEV時代になっても走る楽しさは訴求し続けるはずで、最も分かりやすい方法が「ホンダeタイプR」だ。
これからますます増産が進むと、このホンダeをベースとしたタイプRが登場してくるのはほぼ確実。こんな興奮を東京モーターショーでぜひ味わいたかった。
まるで夢物語のように思えるかもしれないが、コロナが収束する来年、この注目の3台がいろいろなモーターショーで飾られることになるとしたら、クルマ好きにとってはたまらない未来が見えてくるだろう。楽しみに待ちたい!
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みんなのコメント
「Aピラーが寝かされシルエットはかなり違う」
「Aピラーやルーフラインは同じだがバンパーが違う」
とワケの分からない話になってて読むのやめたよ。