日本市場でEV積極展開
アウディジャパンが日本市場でEV(電気自動車)を積極的に販売していく意向を示した。
【画像】日本にも続々導入【アウディのEV 3モデルを見る】 全119枚
これは同社が2022年上半期に関するデータを開示する中で明らかになった。
まず、最も大きな話題となったのが新型EV「Q4 eトロン」と「Q4スポーツバックeトロン」の市場導入が挙げられる。
さらにスポーティな走りを重視した、「eトロンS」と「eトロンSスポーツバック」も取り揃える。
これらモデルの発売開始にあわせて、全国各地でユーザーがドイツ本国から上陸したコンセプトモデルの実車を確認し、販売店を通じて詳しい車両説明を受ける「ロードショー」も開催した。
EV以外にもアウディの新型モデルとしては、スポーティな「SQ2」、そして日本で根強い人気がある上級モデルの「A8」、「A8 L」、「S8」も導入している。
また、日本市場ではアウディに限らず、輸入車では限定モデルの需要が高く、アウディでもさまざまなモデルを投入している。
具体的には「A4アバント・ブラックスタイル・プラス」、「A5スポーツバック・ブラックスタイル・プラス」、「Q2 TDI」、「TTクーペSライン・コンペティション・プラス」、「A1シティカーバー・ブラックスタイル・プラス」がある。
自ら今回のプレゼンテーションをおこなった、アウディジャパン代表取締役社長のマティアス・シューパース氏は「TTの人気があることがうれしい。車齢は長いがこのセグメントでは数少ない魅力的なモデルだと思う」と、アウディラインナップの奥深さについてあらためて触れた。
一方で……。
登録台数は前年同期比減
日本市場での登録台数を見ると、2021年上半期(1月~6月)では1万2854台だったのに対して、今期は9905台と大きく減少している。
背景にあるのは、ほかの輸入車各メーカーや日系メーカーと同じで、半導体不足やロシアのウクライナ侵攻によるグローバルでのサプライチェーンや物流の混乱である。
こうした課題は、2021年6月以降に顕著となっており、ここで示した2021年上半期の実績には大きな影響が及んでいないと、アウディジャパンでは分析している。
要するに、2021年下半期からこれまでの間、アウディジャパンとしては売りたくても、新車が入ってこないという状況が続いたということだ。
また、2021年上半期は、販売台数規模が大きなモデルである「Q3」や「A3」の導入があったことが、結果的に2022年上半期への反動として数字に現れたと考えられる。
2022年上半期日本市場でのプレミアムブランドのマーケットシェアでみると、トップはメルセデス・ベンツ(2万4328台、マーケットシェア25.1%)、2位がレクサス(2万1335台、22.0%)、3位がBMW(1万4032台、14.5%)、そしてアウディが10.2%と続く。
こうした中で、アウディジャパンとして注目しているのが日本におけるEV市場の広がりである。
ロードショーで新規顧客獲得
EVモデルであるeトロンの国内登録台数でみると、2021年上半期は113台だったが、2022年上半期は246台と一気に2倍以上に拡大している。
モデルとしては、「eトロンGT」と「RS eトロンGT」が加わったことが直接的な理由だ。
価格帯が高いモデルで想定している台数は限定的だが、競合他社からもさまざまなセグメントのEVが登場したことで、プレミアムカーのユーザーの間でEVに対する認知度とニーズが確実に上がっている。
こうした中、2022年2月から全国各地でQ4 eトロンに関するロードショーを開催した。
日本向けの右ハンドル車を導入する前に、欧州仕様の左ハンドル車を先行して披露したのだ。全国合計約8000人が来場した。
筆者は実際に、神奈川県横浜市内のアウディ販売店で開催されたロードショーを見たが、土曜日と日曜日に数回、1回あたり5~10組ほどのユーザーが招待された。
その内訳は、既存のアウディユーザーもいるが、他メーカーのEVやプラグインハイブリッド車をすでに所有していて、自宅に普通充電設備があるユーザーも少なくなかった。
その結果、Q4 eトロンの受注台数はすでに1000台を超えている。約半数は、アウディにとっての新規顧客である。
メディアなどを通じて2022年はEV普及元年と称されることが多いが、Q4 eトロンのロードショーは新規顧客獲得の成功事例となった。
EVシフトに向けた販売店改革
Q4 eトロンの受注好調の裏には、「eトロン・ディーラーヘルプデスク」が大きく貢献している。
これは、eトロンの販売店がeトロンの個別モデルに対する質問のみならず、EV購入補助金や充電方式などEV全般に関する件で、アウディジャパン側に直接問い合わせができる仕組みだ。
2022年3月25日から実施されているこうしたコールセンター対応に加えて、専用サイト「eトロンXサイト」を2022年4月に開設している。
さらに、eトロン資格認定制度を2022年第4四半期以降に開始する予定だ。
資格は大きく2段階あり、ベースにあるのがeトロン・セールスコンサルタントで、これは事前学習によって知識テストとロールプレイング試験をおこなう。
また、上位にeトロン・スペシャリストを設け、知識テスト、ロールプレイング試験に加えてインタビュー試験も実施する。
eトロン・スペシャリストは各店舗内でeトロンのコンサルタントの指導役も担う。資格は有効期限がある更新制度となる。
アウディは中長期事業戦略の中で、2026年以降に発売するモデルはすべてEVとすることを決定しており、日本市場でもEVシフトに向けた販売店対応を根本的に変える動きが出てきたといえる。
また、急速充電器の大出力化についても積極的に展開する。
2022年内に、アウディ販売店で、出力50kW機器を42基、90kWを8基、そしてドイツ本国で普及が進む150kWを52基まで拡大する計画だ。
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