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何を積む?「荷台」が広げる可能性 イネオス・グレナディア・クォーターマスターへ試乗 エンジンはBMWの直6

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何を積む?「荷台」が広げる可能性 イネオス・グレナディア・クォーターマスターへ試乗 エンジンはBMWの直6

エンジンはBMW社製の3.0L直列6気筒

イネオス・グレナディアのステーションワゴンは、プレミアムSUVと比較して、価格に高級感が追いついていなかった。しかしピックアップトラックなら、割高なことを納得できる利便性が得られる。市場の受け止められ方に、影響を与えそうだ。

【画像】「荷台」が広げる可能性 イネオス・グレナディア グラディエーターとラングラー Gクラスにディフェンダー130も 全156枚

グレナディア・クォーターマスターは、グレナディア・ステーションワゴンと基本的な部分を共有する。ボディも、60%程度は変わらない。

シャシーは強固なラダーフレーム。前後にリジットアクスル・サスペンションが組まれ、ステアリングラックは旧式な再循環ボール式を採用する。

ちなみに、リジットアクスルのスズキ・ジムニーも再循環ボール式。現代的なラック&ピニオン式では、大きな起伏を越えた場面などで、キックバックなど望まない手応えが生じてしまうためだ。

ボンネット内に縦置きされるエンジンは、BMWから届けられる3.0L直列6気筒のガソリンターボかディーゼルターボが選択できる。トランスミッションは、8速オートマティックのみとなる。

ローレンジ・トランスファーと、ロッキング・センターデフが標準装備。オプションで、前後アクスルのデフもロックできるタイプを指定可能だ。

クォーターマスターでは、ホイールベースは305mm伸ばされ3227mm。全長は荷台部分が545mm長く、5400mmある。追って、キャビン部分までしか架装されない仕様も用意されるとか。

最大積載量は760kg コクピット感が漂うインテリア

全長が伸び、悪路性能に影響は出ているはずだが、800mmの渡河水深、264mmの最低地上高、35.5度のアプローチ・アングルは変わらない。ホイールベース間のブレークオーバーは28.2度から26.2度、デパーチャーは36.1度から22.6度へ減少している。

荷台は、ユーロパレットと呼ばれる規格に対応。奥行きが1564mm、幅が1619mmある。ガソリンターボで最も軽量な仕様では、最大積載量は835kgがうたわれる。試乗したディーゼルでは、760kgへ落ちる。牽引能力は、3500kgまで対応する。

インテリアも、基本的にグレナディア・ステーションワゴンと同じ。ウインドウの下端が低く、運転席からの視界は開けていて、車両周囲の状況を理解しやすい。ルーフサイドのサファリウインドウを装備すれば、開放感は一層高まるだろう。

デザイナーは、飛行機のようなコクピット感を重視した。センターコンソールには、エアコン用スイッチがメカっぽさ満点で並ぶ。オフロード関連の操作系は天井側。スポットライトなど、アクセサリー用のスイッチも準備されている。

手袋をしたまま各機能を扱えるよう、インターフェイスは大きめ。BMW由来のインフォテインメント・システムはタッチモニターに対応するが、センターコンソール上の大きなロータリーコントローラーでも操作できる。

全面的に防水の車内 トルクフルなディーゼル

グレナディアの車内は、全面的に防水。排水口が付いており、試乗車の場合は、フロアをホースの水で丸洗い可能だという。そもそも、カーペットはオプションだ。

ステアリングホイールやシートなどはレザー仕立てで、無骨なイメージをいくらか和らげている。それでも、雰囲気はミリタリー感に溢れている。これが好きだという人は、少なくないと思う。

後席側は、背もたれが起き気味。荷台を優先してリクライニングはほぼできず、大人がゆったり過ごせる場所とはいえない。

試乗した3.0Lディーゼルターボは、回転数を問わずトルクフル。レスポンスも良く、特有の味わいがある。BMW由来だから、パワーユニットとして間違いはないだろう。

8速ATは至って滑らか。オフロードで低いギアへ固定するなど、必要に応じて、ドライバーが任意に変速させることも可能だ。

今回の試乗では余りスピードを上げられず、操縦性をしっかり確かめることは難しかった。それでも乗り心地はしっとり落ち着き、安定感は高く感じられた。

ステアリングは、ロックトゥロック3.85回転。セルフセンタリング性が穏やかで、ゆったりした反応だが、これも特徴の1つといえる。

堅牢性を重視して作られた、本格派の大型オフローダーだから、燃費は優れない。3.0Lエンジンには、ハイブリッドも載っていない。ディーゼルターボのカタログ値は、8.6km/Lとなっている。

出色のオフロード性能を持つピックアップ

今回は、シリアスな悪路も試すことができた。メルセデス・ベンツGクラスのように運転席からの見晴らしは良好で、走破性は相当に高い。ただし、最小回転直径が14.5mと小回りは利かず、狭い場所では前進を妨げる理由になりそうだ。

新しいランドローバー・ディフェンダーと違って、ボンネット直下の路面状況を映すカメラなどは備わらない。それでも、筆者はまったく手を焼くことなく、オフロードコースを走破できた。ジープ・ラングラー・グラディエーターのように。

イネオスは、可能性に溢れた荷台をグレナディアへ与えることで、多用途性を拡大。従来以上の訴求力を獲得できている。英国価格はプレミアムなものだが、堅牢な設計のハードウエアや、特有な雰囲気のインテリアは、それを納得させるのに充分だろう。

オンロード・マナーが優れるわけではない。それでも、都会派な高級SUVのオーナーが目指そうとは思わない場所へも、果敢に挑める許容力は間違いない。

豊かなパワーに出色のオフロード性能、使えるピックアップトラックというパッケージングが、魅力的に思えるのは筆者だけではないはず。クォーターマスターの登場で、イネオスというブランドが一層強固になったともいえる。

◯:圧巻の悪路性能 堅牢で秀でた実用性
△:リラックスできないリアシート 一般的なダブルキャブ・ピックアップトラックより高価

イネオス・グレナディア・クォーターマスター(英国仕様)のスペック

英国価格:6万6215ポンド(約1285万円)
全長:5400mm
全幅:1943mm
全高:2019mm
最高速度:159km/h
0-100km/h加速:9.8秒
燃費:8.6km/L
CO2排出量:−g/km
車両重量:2740kg
パワートレイン:直列6気筒2993cc ターボチャージャー
使用燃料:軽油
最高出力:248ps/3250-4200rpm
最大トルク:56.0kg-m/1250-3000rpm
ギアボックス:8速オートマティック(四輪駆動)

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