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勝田貴元のWRC開幕戦、スタックの影にあったマシン不調の伏線。鬼門のコーナーは「レッキと状況が異なっていた」

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勝田貴元のWRC開幕戦、スタックの影にあったマシン不調の伏線。鬼門のコーナーは「レッキと状況が異なっていた」

 1月25日(木)~28日(日)、WRC世界ラリー選手権の2024年シーズンが伝統の『ラリー・モンテカルロ』で開幕した。このラリーに2024年シーズンの“レギュラードライバー”として臨んだTOYOTA GAZOO Racingワールドラリーチーム(TGR-WRT)の勝田貴元/アーロン・ジョンストン組は、競技初日のデイ2のオープニングステージであるSS3にて凍結エリアでコントロールを失い、雪溜まりにスタック。コースへ復帰する際に5分以上のタイムをロスし、この影響で総合7位でのフィニッシュとなった。

 開幕戦ラリー・モンテカルロの後日、オンライン取材会に出席した勝田は今大会を振り返り、「しっくりこない、厳しいスタートになっていた」と、シェイクダウンの時点でマシンにトラブルが起きていたことを明かした。

【ポイントランキング】2024年WRC第1戦ラリー・モンテカルロ後

「水曜日のシェイクダウンからマシンの方に問題があり、1本目から3本目までちゃんとした状態で走れていませんでした」

「トラブルについても、走りにどう影響しているのかを自分ではっきりと掴むことができず、セットを詰めていくなかであまりいい流れではなかったです」と明かし、プレイベントテストの段階で見つけていたというデフ等の望ましいセッティングも行うことができずにデイ1を迎えたという。


 勝田にとって、良くない流れでのスタートとなった今年のラリー・モンテカルロ。「木曜日までに原因は見つけられた」とも述べたが、セットアップを詰める時間が足りない状態で臨んだデイ1はタイムが伸びず、総合6番手で終えた。

 そして迎えた、デイ2のオープニングステージとなるSS3は、大会を通してもっともアイスが多い区間であった。そこで勝田は、ステージ中盤のアイスが厚く張ったエリアでコントロールを失い、タイムロス。総合19番手にまで順位を落とすこととなってしまった。

「かなりペースを落としてはいたものの、少し速度を乗せながら入っていったところ、アイスに乗った瞬間にフロントがグリップを失って外側の土手に落ちてしまいました」と、鬼門となったコーナーでの状況を振り返った勝田。


 続けて、「(このコーナーでは)多少リスクを取りながらもプッシュしていきました」とその時の心境を述べたが、それにはレッキの時点で得た感触も踏まえた理由があったという。

「レッキの時からここは凍った状態でした。北海道などの雪国では、氷の上に滑り止めとして石を撒くことがあるのですが、近いかたちで路面に石が撒かれていたんです。なので、レッキでそこを走った際には、思ったよりもグリップを感じながら通過することができていました」と、厚みなどのアイスの状況はレッキ時点から変わらずとも、そこには走りの助けになる石が点在していたことを頭に入れていた。

 しかし勝田は、「それがひとつのミスだった」と自信を戒めながらも続ける。

「そのコーナーに入った時、グラベルクルーから入っていたインフォメーションとの行き違いもなく、ある程度グリップを得られたという感覚のままコーナーに入っていきました。ですがその瞬間に自分が見えた路面というのは、完全に一度溶けたあと、ふたたび凍った路面でした。石の上にまた氷が張り直されてしまった状況だったのだと思います」

「完全に自分のミスなので、変な先入観を持って走るのは良くないと学びました。今回は、5~10キロ程度のスピードを乗せていったことで生まれてしまったタイムロスなので、本当にもったいない」と、勝田。大きなタイムロスを生んでしまったスタックに悔しさを見せた。

 それでも、土曜日にはSS10と11で3番手タイムを記録し、最終パワーステージでは2番手オジエと0.1秒差の3番手タイムをマークするなど尻上がりに成績を伸ばして開幕戦を戦い抜いた勝田。次回のラリー・スウェーデンは「最初から優勝争いをするために全開でプッシュしていくことが目標です」と、シーズン唯一のフルスノーラリーに意気込む。

 自身も大好きだという雪の舞台で、昨シーズンの最終戦『ラリー・ジャパン』で見せたような気を吐く熱い走りが見られるのか、圧雪路を誰よりも速く駆け抜ける雄姿を心待ちにしたい。北欧スウェーデン・ウメオを拠点に開催される第2戦ラリー・スウェーデンは、2月15日(水)から18日(日)にかけて行われる予定だ。

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