昨年ホンダ・レーシングスクール・鈴鹿(HRS)フォーミュラを首席で卒業し、今年はフランスF4へ挑戦する加藤大翔は一番の趣味として“習字”を挙げ、一発で清書を完成させることが予選のアタックと同じだとの考えを語った。
レーシングドライバーの中には、レース以外の趣味を通じて“本職”に活かす取り組みを行なっている人も多い。休暇を楽しみつつ集中力や一貫性を高めるためにゴルフに興じるドライバーは珍しくないし、シムレースなどを通じて常にモータースポーツのことだけを考えているドライバーもいる。一方、全く別のことをして鋭気を養うドライバーもいる。その方法は千差万別だが、加藤は習字にレースとの共通点を見出した。
■加藤大翔が描くF1挑戦に向けた“人生設計図”。2024年参戦のフランスF4では「大バトルよりもブッちぎるレースを見せたい」
加藤に趣味を尋ねると、次のように答えた。
「一番好きな趣味は習字です。師範級も持っています」
「その習字にも意味があるんです。レースで予選は1発アタックですが、習字も同じだと思っていて、清書も1枚しか書きません。2枚目になったら集中力が持たなくてグチャグチャな感じになってしまいます」
言われてみれば、その通りだ。筆を頭で思い描いた理想的なポイントに置き、リズム感を持って走らせつつ、とめ、はね、はらいに気を配る。しかし細かいところにあまりに気を取られては、全体のバランスを失いかねない。やり直しが効かず、1発で完璧なラインを描かなければならない緊張感は、予選でのタイム計測に通じるところがあるのだろう。
「僕も(習字を)やっているうちに、予選アタックと一緒だと気がついて、いつの間にかルーティンになっていました」
加藤はそう続ける。
「習字は1本の線を書くだけでも、早すぎたらズレてしまいますし、遅くてもブレてしまいます。その辺りはレースと似ていると思います」
「習字もレースもリズムが重要です。レースもコーナーの進入速度が速すぎて攻めてしまったら、オーバーランをしてしまいタイムが出ません。自分ではそこが似ていると思います」
加藤は、3月上旬にル・マンで行なわれるフランスF4のプレシーズンテストに向けて渡欧することとなるが、習字道具も共に海を渡るようだ。
「ペンとか筆は持っていこうと思っています」と加藤は言う。
「(フライト時の荷物の)重量が結構ギリギリになっちゃうので、墨汁は向こうで買おうと思っています。現地で売っていると思います」
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