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【マイナーチェンジ後こそ本来の姿】ジャガーXE 2.0(最終回) 長期テスト

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【マイナーチェンジ後こそ本来の姿】ジャガーXE 2.0(最終回) 長期テスト

積算1万6949km マイナーチェンジを受けたXE

text:Steve Cropley(スティーブ・クロップリー)

【画像】ジャガーXE 2.0 Rスポーツ 全54枚

translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)

マイナーチェンジにあわせて、後輪駆動のXE200と交代としてXE300が加わる。同じエンジンながらターボ過給を高め、車重は50kg増し。だが、200と比べて、300がとりわけ速くなったとは感じれれなかった。

エクステリアもインテリアもデザインは良くなっている。コーナーでのバランスも良好で、トラクションも高い。乗り心地は高級感を増した。ロードノイズもだいぶ静かになった点も素晴らしい。

積算1万7352km 順調に進むタイヤの摩耗

クルマの経年変化は、運転の仕方で大分違いが現れるが、200psのXEはタイヤの摩耗が良好に進んでいる。タイヤの空気圧をこまめに測っていることが大きいだろう。まだまだ溝は充分に深い。

おそらくこのまま行けば、リアタイヤは3万2000kmくらい、フロントタイヤは4万kmくらいは保ちそうだ。

積算1万7548km マイナーチェンジ前後の比較

モデル中期のマイナーチェンジが施される中で、前期モデルのジャガーXE Rスポーツを長期テスト車として走らせてきた。珍しいタイミングだったと思う。

前期モデルのXEを今の時期に選んだ理由はいくつかあった。そもそも良いクルマにも関わらず、あまり話題に登ることがなかったこと。前期モデルに見られた改善希望点が、マイナーチェンジでどれだけ良くなるのか。ジャガーはどのような変化を与えるのかにも興味があった。

優れているものの、気になる点もいくつか

そこで今回、長期テストと並んで、新しいスペックのXEを用意してもらった。最終回の比較をするために。初期のXEはとても良いクルマだったものの、多少残念な部分もあったことは筆者も理解している。

クルマを構成するプロポーションが良く、スポーティ。サスペンションの設計は素晴らしく、正確なハンドリングと印象的な上質さを生んでいる。運転して心地良い。

だが、ボディデザインは少し単調でもあった。強いインパクトがあるわけでもなく、フロントマスクも特別感が弱い。

世界的にコンパクト・プレミアムサルーンの需要が小さくなる中で、XEの立ち位置は難しいものになった。アウディA4やメルセデス・ベンツCクラス、BMW 3シリーズをライバルに戦うだけではない状況になってしまった。目標とした販売台数も高く、これまで届いてはいない。

それでも初代XE Rスポーツの印象は良いものだった。これまで1万5000km程を、あっという間に快適に走破してくれた。

ジャガーXEは編集部でも人気の1台となった。充分に速く、扱いやすく、燃費も良好。コンパクトだから駐車もしやすい。一方で、ボディデザインは別として、ロードノイズと乗り心地という指摘せざるを得ない点も、認めなくてはいけない。

特にロードノイズは、ジャガーXEの株を大きく下げている。少なくとも、オプションの19インチ・ホイールではうるさい。以前、妻と一緒に休暇を利用してXEで旅行に出かけたのだが、ロードノイズがあまりにもうるさく、行程を短くしてしまったほど。

前期モデルのロードノイズと乗り心地

以前、ジャガーでは有名なテストドライバーだったノーマン・デュイスへ、このうるさいロードノイズの問題を伝えたことが忘れられない。彼は90歳を過ぎ、自身が手掛けたジャガーに乗っている時だった。

乗り心地は、それほど大きな不満ではない。Rスポーツのサスペンションは引き締まっているぶん、ロータリー交差点で素早く方向を変えてくれる。長く続く高速コーナーでの安定性も、XEは素晴らしい。

最近頻繁に運転するSUVと比べると低いドライビングポジションも、楽しめる要素。とても効率的で、しっかり走る印象を与えてくれる。

だが一緒に座った人は、乗り心地の快適性が気になるようだ。ロードノイズ以上に、凸凹を超えたときの車内への影響が話題になった。確かに落ち着いた乗り心地ではない。感じ方の違いは、このクルマに対して個人的な思い入れが大きいことも、影響しているだろう。

今回のマイナーチェンジにより、長期テストで乗っている2.0Lエンジンの200ps仕様がラインナップから落ちた。同時にRスポーツというトリムグレードもなくなった。前期型に乗っている身としては、嬉しい変更ではない。

かわりに追加となったのが、4輪駆動のRダイナミック。2.0Lのインジニウム・ガソリンターボ・エンジンは、300psを発生する。ボディデザインには手直しが入り、豪華さも増している。

マイナーチェンジで得た嬉しい変化

エグゾーストやサイドスカートなどにも手が加えられ、ホイールは目を引くダイヤモンドカットが施された、10スポークの20インチを履いている。マイナーチェンジを受けたことで、見た目はグッとスポーティになり、華やかさも増したと思う。

車内の雰囲気は明るくなった。光を反射する金属製部品が増え、内装に用いられている素材も良くなっている。シフトレバーが復活し、情報モニターがダッシュボード下部に追加されているところも歓迎できる部分だ。

動的性能にも嬉しい変化があった。ロードノイズがクラス平均まで静かになり、我慢の必要がなくなったのだ。連続しての長距離も不満なく走れるだろう。

乗り心地も大きく向上。ステアリング精度や姿勢制御に悪影響を及ばさず、路面のうねりや剥がれた部分を上手になだめて走ってくれる。4輪駆動化で50kgほど車重が増えていることも、フラットさを加え、良い影響を与えているようだ。

大人2人での長距離ドライブもぐっと快適なものとなったはず。リアシートは、英国人の体格なら、中学生くらいまでの子供に向いている。

後輪駆動のXEでは、路肩から素早く加速しようとしたときなど、ホイールスピンをすることがあったが、4輪駆道ならその気配もない。グッドウッド・ミーティングなど、湿った芝生にクルマを停めても、充分なトラクションが得られるはず。

XEは当初からこうあるべきだった

ATモードのままでの0-96km/h加速は5.4秒。誰の目でも充分に速いのに、燃費は200ps版と大きく変わらない。11.0km/Lから12.0km/Lくらいで走れるだろう。

マイナーチェンジを受けたジャガーXEは、初期のXEより全体的な完成度を向上させたといって良い。とはいっても、BMW 3シリーズを打ち破ることは簡単ではないだろう。もっとも、この水準で当初からXEを仕上げるべきだった。

セカンドオピニオン

最近登場するクルマは、着座位置の高いSUVやクロスオーバーばかり。だが、新しいジャガーXEに乗ると、再びサルーンの素晴らしさに気づく。クルマはしっかりと路面にしがみつき、一緒に走っているという感覚が得られる。マイナーチェンジで、XEで得られる運転の喜びに、インテリアの質感が追いついた印象だ。 Mark Tisshaw(マーク・ティショー)

テストデータ

気に入っているトコロ

プロポーション:まさに全身が引き締まったスポーツサルーン。低く滑らかで、筋肉質。サイズもコンパクト。
ステアリングフィール:後輪駆動のジャガーらしく、正確で破綻のないステアリング。不満はない。
シャシー設定:一部の人にとっては少し固めに感じられるかもしれない。そのかわりに素晴らしいグリップ力と操縦性のバランスが得られている。

気に入らないトコロ

後部座席:XEの開発当初から、デザイナーは後部座席に充分な広さは得にくいと話していた。
エンジン:低速トルクは充分でスムーズ。だから少々うるさくレスポンスは過敏気味。

走行距離

テスト開始時積算距離:477km
テスト終了時積算距離:1万7548km

価格

新車価格:3万4565ポンド(494万円)
現行価格:-
テスト車の価格:4万575ポンド(580万円)
ディーラー評価額:3万1000ポンド(443万円)
個人評価額:3万3000ポンド(471万円)
市場流通価格:2万8500ポンド(407万円)

オプション装備

シートヒーター:320ポンド(4万6000円)
セシウムブルー・ボディカラー:650ポンド(9万4000円)
19インチ・アルミホイール:840ポンド(12万1000円)
ブラック・パッケージ:530ポンド(7万7000円)
電動調整付きドアミラー:295ポンド(4万3000円)
プライバシーガラス:370ポンド(5万3000円)
メリディアン製380Wオーディオシステム:530ポンド(7万7000円)
パーキングアシスト・カメラ:1045ポンド(15万1000円)
電動牽引バー:900ポンド(13万円)
キーレスエントリー:530ポンド(7万7000円)

燃費&航続距離

カタログ燃費:14.0km/L
タンク容量:56L
平均燃費:13.3km/L
最高燃費:15.8km/L
最低燃費:9.5km/L
航続可能距離:746km

主要諸元

0-96km/h加速:7.2秒
最高速度:230km/h
エンジン:直列4気筒1998ccターボチャージャー
最高出力:200ps/5500rpm
最大トルク:32.5kg-m/1450-4500rpm
トランスミッション:8速オートマティック
トランク容量:410L
ホイールサイズ:19inch
タイヤ:225/40 R19(フロント)/255/35 R19(リア)
乾燥重量:1505kg

メンテナンス&ランニングコスト

リース価格:1000ポンド(3万7000円/1カ月)
CO2 排出量:162g/km
メンテナンスコスト:なし
その他コスト:なし
燃料コスト:1409ポンド(20万1000円)
燃料含めたランニングコスト:1409ポンド(20万1000円)
1マイル当りコスト:15.3ペンス(22円)
減価償却費:1万2075ポンド(172万円)
減価償却含めた1マイル当りコスト:146ペンス(209円)
不具合:なし

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