現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > 25年前、850万円だったのがいやま1億円オーバー! フェラーリ「250GTO」の進化版ビッザリーニ「5300GTストラーダ」とは

ここから本文です

25年前、850万円だったのがいやま1億円オーバー! フェラーリ「250GTO」の進化版ビッザリーニ「5300GTストラーダ」とは

掲載 5
25年前、850万円だったのがいやま1億円オーバー! フェラーリ「250GTO」の進化版ビッザリーニ「5300GTストラーダ」とは

ただいま人気急上昇中のビッザリーニが、オークションに登場

2年に1度のペースで開催される「グランプリ・ドゥ・モナコ・ヒストリーク」では、それに付随する公式イベントとして、RMサザビーズ社の「MONACO」オークションも大々的に開かれます。第7回を迎えた2024年は5月10日から11日、地中海に面した見本市会場「グリマルディ・フォーラム」を舞台として展開され、総計115台もの魅力的なクラシックカー/コレクターズが出品されました。そんな中、今回AMWでは今から60年ほど前にイタリアで製作されたスーパースポーツ、ビッザリーニ「5300GTストラーダ」に注目。そのモデル概要とオークション結果について、お伝えします。

イゾ「グリフォGL」が約5000万円で落札!「コルベット」のエンジンを積んだジウジアーロとビッザリーニのWネームの希少車とは

鬼才ジョット・ビッザリーニの意地から生まれた

1963年のトリノ・ショーで、ミラノの実業家レンツォ・リヴォルタが率いるイゾ(ISO)社は、ベルトーネ時代のジウジアーロがデザインした2種類の新型スポーツカー「グリフォ」を発表した。グリフォ「A3/L」はカロッツェリア・ベルトーネのブースで、いっぽう「A3/C」はイゾ社のブースで展示された。

ジョット・ビッザリーニがフェラーリ在籍時に手がけた「250GTO」の面影を感じさせるA3/Cと、豪奢なグラントゥリズモ然としたA3/Lは、外見の共通点こそ皆無に等しいが、どちらのモデルもジョルジェット・ジウジアーロのデザインによるベルトーネ製コーチワーク。イタリア一流のスタイリングにレース用に開発された足まわり、そしてアメリカンV8エンジンのパワーが相乗的に組み合わされた、みごとな仕上がりとなっていた。

とくに、ビッザリーニ側の意向が色濃く反映されていたのは「A3/C」。その驚くほど低くてスムーズなプロフィールと、フロントミッドシップ配置の5.3L V型8気筒エンジン構成が、きっとモータースポーツでの成功につながる……、と確信したジョットは、その後18カ月間、イゾ側との合意のもとでごく少数のA3/Cを製作することにした。

ビッザリーニが製造したグリフォA3/Cは、1964年と1965年のル・マンで排気量無制限GTクラスを制することになる。また、1965年にはミュルザンヌ・ストレートにて時速305km/hに迫るスピードを披露し、その速さを証明する。

ところがそののち、ビッザリーニとイゾはレース活動方針や「グリフォ」のネーミングの使用権について紛糾。たもとを分かつことになってしまうのだが、ビッザリーニが自身の名前で「5300GT」としてグリフォを製造し続け、ロードゴーイング用の「ストラーダ」とレース用の「コルサ」の両バリエーションを用意することで、両社は妥協に至った。

ビッザリーニ5300GTストラーダは、表向きはその名のとおり「ストラダーレ(ロードカー)」とされていたが、その仕様は軽量アルミニウム製ボディワークに加工・強化されたプラットフォームシャシー、フレームにリベット止めされたセミモノコック式ボディなど、同時代のコンペティツィオーネの典型的な構成だった。

この先進的なシャシーと、ビッザリーニがフェラーリ250GTOをほぼ手作りで開発した際に得た教訓を活かした、完璧に近い重量配分や空力テクノロジーにより、卓越したパフォーマンスと驚異的なハンドリングが実現されただけでなく、北米シボレー製V型8気筒エンジンの出力は350~420psを発生し、最高速度は290km/hに達すると謳われた。

フェラーリ250GTOから出発したビッザリーニ

このほど、RMサザビーズ社の「MONACO 2024」オークションに出品されたビッザリーニ5300GTストラーダは、シャシーナンバー0264。ビッザリーニが完成させた86台のアロイボディ車のうちの1台で、1967年9月にアメリカ合衆国内に、新車でデリバリーされたと目されている。

「イゾ-ビッザリーニ・オーナーズクラブ」および「ビッザリーニ・レジストリー」によって管理・編集されている情報によると、シャシーナンバー0264は1990年までアメリカに保管され、その後にイギリスに輸入。この段階で、記録に残る最初のレストアが行われた。その後は1998年から2007年までの間、イギリスとヨーロッパ大陸のオーナーを渡り歩いたのち、2008年に著名なイタリア人コレクターのもとに落ち着いた。

そして直近の前オーナーのもとで、2015年9月にビッザリーニの専門書も上梓しているイギリスの専門家、ジャック・クーブス・デ・ハートッグ氏によって車両検分されたのち、2016年11月に今回のオークション出品者である現オーナーに譲渡されたが、その時点ではまだ以前のレストアの痕跡が残されていたという。

シャシーナンバー0264はその後、2017年8月にスイスのローザンヌにある「レベリオン・モーターズ(Rebellion Motors)」社に委託され、数年にわたる徹底的なレストア作業が開始された。

まずは、シャシーのプラットフォームが年数なりに古くなっている状態であることが判明したため、レベリオン・モーターズは同じくローザンヌの「カロッセリー・チャレンジ(Carrosserie Challenge)」社の協力のもと、みごとに修理。必要な箇所には再加工を施し、新しいボディパネルとシャシー補強材を溶接した。

添付されるドキュメントファイルに含まれている請求の大要には、完成したすべての作業が詳細に記載されており、それらを合計するとフルレストアに投入された費用は24万6000スイスフラン(現在の為替レートでは約4200万円)以上に相当したという。

フロントフェンダーにはクロームメッキ仕上げした3列のエアベントが設けられるとともに、パワーウインドウやタルボ型ミラー、クローム仕上げのボラーニ社製17インチ径ワイヤホイールなどの豪華装備もオリジナルとして完備している。

レストア完了ののち、ほとんど使用されることのなかったシャシーナンバー0264は、随所に美しく正しいディテールを残している。さらに、完全オリジナルスペックのシボレーV8・5.3Lエンジンが2基付属しており、そのうちの1基はスイス東部ザンクト・マルグレーテンの「オールドタイマーセンター・オストシュヴァイツ(Oldtimer Center Ostschweiz)」社によって、一部をリビルトされたとのことである。

新車当時、約1万500USドルという価格で販売された5300GTストラーダのパフォーマンスは、競合するほかのイタリアンGTの追随を許さなかった。そして現在、最も権威のあるコンクールやクラシック・レース・イベントでも十分に見栄えのするこのクルマは、あらゆる点で類まれなグラン・ツーリスモである。

「フェラーリ250GTOの父」と呼ばれるジョット・ビッザリーニが語ったとされる言葉は、この類まれなスーパースポーツをもっとも端的に示していると言えるだろう。「私はGTOのアイデアから出発し、それを改良することから取りかかった」

予想落札価格に一歩届かず

ビッザリーニ5300GTストラーダは、わずか86台しか作られていない希少車。その事実とスーパーカーとしての圧倒的な魅力を鑑みてだろうか、RMサザビーズ欧州本社は75万ユーロ~85万ユーロというエスティメート(推定落札価格)を設定した。

ところが実際の競売では、エスティメート下限に一歩届かない73万6250ユーロ、約1億2500万円という落札価格で、競売人のハンマーが鳴らされることになった。

それでも、今を去ること四半世紀前に購読していた日本の某自動車専門誌の広告にて、たしか信越地方のさるイタリアンクラシックカー専門店が、ビッザリーニ5300GTストラーダに「850万円」という正札を付けながらも、長らく売りあぐねているさまを注視していた筆者とすれば、現在のマーケット評価にはなかなか感慨深いものがあるのだ。

【キャンペーン】第2・4 金土日はお得に給油!車検月登録でガソリン・軽油5円/L引き!(要マイカー登録)

こんな記事も読まれています

斬新「日本の“フェラーリ”」に大反響! 「約700馬力のV8スゴイ」「日本なのに左ハンしかないんかい」「めちゃ高ッ」の声! 同じクルマが存在しない「J50」がスゴイ!
斬新「日本の“フェラーリ”」に大反響! 「約700馬力のV8スゴイ」「日本なのに左ハンしかないんかい」「めちゃ高ッ」の声! 同じクルマが存在しない「J50」がスゴイ!
くるまのニュース
本拠地の欧州で「メルセデス・ベンツのタクシー仕様」シェア急降下! なぜ? 「“ベンツのタクシー”に乗れたらラッキー」な時代が到来するのか
本拠地の欧州で「メルセデス・ベンツのタクシー仕様」シェア急降下! なぜ? 「“ベンツのタクシー”に乗れたらラッキー」な時代が到来するのか
VAGUE
「銀の皿」に「レジ横のガム&タバコ販売」に1000円以下のメニューと「ザ昭和」がたまらない! トラック野郎を癒し続ける「采女食堂」はぜひ立ち寄るべし【懐かしのドライブイン探訪その5】
「銀の皿」に「レジ横のガム&タバコ販売」に1000円以下のメニューと「ザ昭和」がたまらない! トラック野郎を癒し続ける「采女食堂」はぜひ立ち寄るべし【懐かしのドライブイン探訪その5】
WEB CARTOP
ラッセルが今季3度目のPP獲得。ガスリーと角田裕毅がQ3で健闘見せる【予選レポート/F1第22戦】
ラッセルが今季3度目のPP獲得。ガスリーと角田裕毅がQ3で健闘見せる【予選レポート/F1第22戦】
AUTOSPORT web
F1ラスベガスGPで追い上げ2位のハミルトン「予選がしっかりできれいれば、楽勝だったろうに」
F1ラスベガスGPで追い上げ2位のハミルトン「予選がしっかりできれいれば、楽勝だったろうに」
motorsport.com 日本版
中央道「長大トンネル」の手前にスマートIC開設へ 中山道の観光名所もすぐ近く!
中央道「長大トンネル」の手前にスマートIC開設へ 中山道の観光名所もすぐ近く!
乗りものニュース
ペレス、チームメイトのフェルスタッペンとは対照的に10位が精一杯「レッドブルは最高のチーム。来年は良いマシンが作れるはず」|ラスベガスGP
ペレス、チームメイトのフェルスタッペンとは対照的に10位が精一杯「レッドブルは最高のチーム。来年は良いマシンが作れるはず」|ラスベガスGP
motorsport.com 日本版
「ん、ここ工事してなくない?」 高速道路の車線規制“ムダに長い”場合がある理由とは?
「ん、ここ工事してなくない?」 高速道路の車線規制“ムダに長い”場合がある理由とは?
乗りものニュース
日本専用の新型「“MR”スポーツカー」初公開! 旧車デザイン×「ネットゥーノ」エンジン採用! 600馬力超えの「チェロSE」登場
日本専用の新型「“MR”スポーツカー」初公開! 旧車デザイン×「ネットゥーノ」エンジン採用! 600馬力超えの「チェロSE」登場
くるまのニュース
ピエール・ガスリー、予選3番手から無念マシントラブル脱落に「顔面平手打ちされたみたい」残り2戦にポテンシャルは確信|F1ラスベガスGP
ピエール・ガスリー、予選3番手から無念マシントラブル脱落に「顔面平手打ちされたみたい」残り2戦にポテンシャルは確信|F1ラスベガスGP
motorsport.com 日本版
モーターマガジンMovie 週間視聴回数BEST5 プラス1(2024年11月17日~11月23日)
モーターマガジンMovie 週間視聴回数BEST5 プラス1(2024年11月17日~11月23日)
Webモーターマガジン
F1マシンを脇に歌舞伎……来春鈴鹿のグリッドでも! 日本GPアンバサダーに就任した市川團十郎「息子と歌舞伎の扮装で踊る計画を」
F1マシンを脇に歌舞伎……来春鈴鹿のグリッドでも! 日本GPアンバサダーに就任した市川團十郎「息子と歌舞伎の扮装で踊る計画を」
motorsport.com 日本版
運営ブチギレ!? 一般車が「検問突破」何があった? 国際イベントでありえない"蛮行"発生! ラリージャパン3日目の出来事とは
運営ブチギレ!? 一般車が「検問突破」何があった? 国際イベントでありえない"蛮行"発生! ラリージャパン3日目の出来事とは
くるまのニュース
遂に“冷却機能”も装備! ハイグレード・ワイヤレス充電スマホホルダーの注目作が登場【特選カーアクセサリー名鑑】
遂に“冷却機能”も装備! ハイグレード・ワイヤレス充電スマホホルダーの注目作が登場【特選カーアクセサリー名鑑】
レスポンス
“やっちまった”タナク、僚友ヌービルにWRCタイトル明け渡す痛恨クラッシュは「マジで大惨事」
“やっちまった”タナク、僚友ヌービルにWRCタイトル明け渡す痛恨クラッシュは「マジで大惨事」
motorsport.com 日本版
「えっ、4つのリングのマークじゃない!?」 アウディが新ブランドを立ち上げ なぜ“4リングス”を使わない? 世界最大市場での戦略とは
「えっ、4つのリングのマークじゃない!?」 アウディが新ブランドを立ち上げ なぜ“4リングス”を使わない? 世界最大市場での戦略とは
VAGUE
スバル新型「すごいフォレスター」登場に反響あり! 水平対向エンジン×本格ハイブリッド搭載に「楽しみ!」の声も! 日本発売は一体いつ?
スバル新型「すごいフォレスター」登場に反響あり! 水平対向エンジン×本格ハイブリッド搭載に「楽しみ!」の声も! 日本発売は一体いつ?
くるまのニュース
「山賊もやし炒め定食」はパンチの効いた味濃いめ! 東関道「湾岸幕張PA」
「山賊もやし炒め定食」はパンチの効いた味濃いめ! 東関道「湾岸幕張PA」
バイクのニュース

みんなのコメント

5件
  • sbt********
    250GTOもオイルショック時は500万だった
    と、今は無きロッソビアンコのオーナーは言ってたね
  • pec********
    皆さん、「いやま」以降、読む気がしますか?
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村