2019全日本スーパーフォーミュラ選手権の決勝レースが鈴鹿サーキットで行われ、野尻智紀(TEAM MUGEN)が優勝した。ニック・キャシディ(VANTELIN TEAM TOM’S)は2位に入り、逆転で初のドライバーズタイトルを獲得した。
2019年のスーパーフォーミュラ王者を巡る争いも、この鈴鹿戦でフィナーレを迎えた。ルーキーチャンピオンを目指すランキング3番手のアレックス・パロウは予選でポールポジションを獲得。2連覇を狙うポイントリーダーの山本尚貴(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)は5番グリッド、昨年の雪辱に燃えるキャシディは6番グリッドにつけた。
■新人ヴィップスが早くも上位へ! 躍進は“想定内”と中野信治監督が称賛
午前中のフリー走行は曇り空の下で行われたが、決勝は一転して陽が差す絶好のレース日和となった。上位陣では野尻、ルーカス・アウアー(B-Max Racing with motopark)、キャシディがソフトタイヤスタートを、パロウ、福住仁嶺(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)、山本がミディアムタイヤスタートを選択した。そして予選で16番手に沈んでいた小林可夢偉(carrozzeria Team KCMG)は、なんとレインタイヤを装着するという奇策に出た。
スタートの1コーナーをトップで抜けたのはパロウ。以下野尻、山本、福住、塚越広大(REAL RACING)、キャシディと続いた。アウアーは一旦ストールするような形となり、後方に沈んでしまった。
ドライ路面をレインタイヤで走行した小林は1周目でピットイン。ソフトタイヤを履いてコースに戻っていった。キャシディは塚越、福住、山本を相次いで攻略し、3番手に上がった。
ピットウインドウがオープンとなる7周目からは、パロウ、山本らミディアムスタートのマシンがピットイン。8周目終了時点で、全20台がソフトタイヤを装着している状態となり、上位のオーダーは野尻、キャシディ、関口雄飛(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)に変わった。2スペックタイヤ使用義務を果たしたドライバーの中では、8番手のパロウが先頭。山本は福住の後ろ10番手となってしまった。
17周目、中嶋一貴(VANTELIN TEAM TOM’S)とハリソン・ニューウェイ(B-Max Racing with motopark)が2コーナーで接触。開幕戦では接触リタイアとなった因縁のふたりだが、今回はともに戦列に復帰することができた。
そんな中、パロウのペースが上がらない。キャシディや山本が1分42秒台のペースで周回する中、パロウのラップタイムは1分44秒台。18周目に福住、22周目に山本にオーバーテイクを許すと、その後もペースが上がらずにみるみると順位を落とした結果、28周目に2度目のタイヤ交換を行った。
このレースがスーパーフォーミュラのデビュー戦となったユーリ・ヴィップス(TEAM MUGEN)は、27周目にピットインした際にエンジンストールを起こしてしまい、大きくタイムをロスしてしまった。
残り15周前後から、ミディアムスタートのマシンが続々とピットに向かっていった。この辺りから野尻、キャシディのペースが1分43秒台後半~1分44秒台に落ち始め、野尻は残り11周、キャシディは残り10周でピットイン。ともに福住の前でコースに戻り、実質的にトップ、2番手となった。
残り8周でアウアーがようやくピットインし、上位は野尻、キャシディ、福住というオーダーとなった。山本は関口の後ろ5番手だ。
野尻、キャシディのトップ2はミディアムタイヤを履いているとはいえ、磨耗したソフトタイヤを履く福住に彼らを追いかける余力は残っていなかったのか、オーバーテイクには至らず。野尻がそのままトップでチェッカーを受けた。
そして2位でフィニッシュしたキャシディは山本を下して初のドライバーズタイトルを獲得。昨年のリベンジを果たした。一方敗れた山本はパルクフェルメ上でキャシディを祝福した後、村岡潔チーム代表に肩を寄せ合い涙を流すシーンもあった。
決勝前はタイトルに大きく前進していたパロウだったが、結果的に19位に終わり、逆転王座とはならなかった。また、パロウは今シーズンのルーキー・オブ・ザ・イヤーを受賞した。
福住は3位に入り、スーパーフォーミュラで初の表彰台を手にした。DOCOMO TEAM DANDELION RACINGは2台が上位入賞したことにより、VANTELIN TEAM TOM’Sとの激戦を制してチームタイトルを手中に収めた。
また、チェッカー前後にはハリソン・ニューウェイ(B-Max Racing with motopark)、牧野任祐(TCS NAKAJIMA RACING)、小林らが続々とコース上でストップしている姿が映し出された。
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