初回 EV時代も魅力的なブランドであり続けたい
「ブランドを、本来あるべきポジションへ戻したい。人々の心の中へ。愛される、本当のフォルクスワーゲンとして」
【画像】栄光の「バス」が電動で復活! フォルクスワーゲンID.バズ ID.4と最新のID.7も 全110枚
CEOのトーマス・シェーファー氏は、ブランドの人気を取り戻し、バッテリーEV時代にも魅力的な存在であり続けたいという意志を、AUTOCARの取材で述べている。それを具現化したモデルの筆頭が、このID.バズだろう。
沢山の人から慕われる、伝説的なモデルのイメージが、新しいバッテリーEVへ落とし込まれている。思わず笑顔になるような見た目でありながら、洗練され、技術的な水準が高い点も大きな特徴だろう。
近年のモデルラインナップへ興味を示さなかった、古くからのブランド・ファンの心にも、響くだろうか。バッテリーEV時代にも、競争力の高いワンボックスカーとして、多くの支持を集めることはできるだろうか。
筆者は、幼い頃からフォルクスワーゲンに親しんできた。生まれたばかりの自分を、病院から自宅へ連れ帰ってくれたのは、父が運転する2代目ゴルフ GTI。オリジナルのタイプII、ワーゲンバスで、家族との休日を過ごしてきた。
実家の駐車スペースには、5気筒エンジンのゴルフが当たり前のように停まっていた。現在も、最新のゴルフ GTIと2代目ポロが停まっている。
自分が免許を取ってからは、廃車の山からT3 トランスポーターを救出し、復活させた。最初のクルマは、1972年式のタイプI、ビートル。様々な困難を乗り越え、10年以上も大切にした。
フォルクスワーゲンを未来へ導く電動ワンボックス
自動車ジャーナリストという立場で、特定のブランドへ肩入れすることは基本的にない。だが、フォルクスワーゲンを特別視してきた過去は、否定しない。
最近の同社は、あまり風当たりが良くない。最新のバッテリーEVには、ソフトウエアの不具合が報告されている。ダッシュボードまわりの使い勝手にも、不満がある。弱点を補えるような個性を備えていたり、一目惚れするデザインをまとうわけでもないだろう。
従来ほどの、カリスマ性はないように思う。50年後、Tクロスで気ままに自動車旅行をした日々を懐かしむことはあるだろうか。友人とカウンターでビールを呑みながら、ID.4のインテリアの思い出話をするだろうか。
ID.バズなら、その可能性はあるかもしれない。歴代の同社のワンボックスも、多彩な思い出や裏話を生んできた。多くの人の記憶へ残る歴史的なモデルへ強い影響を受けた、大胆な見た目のこのクルマは、ブランドを望ましい未来へ導く存在といえるだろう。
フォルクスワーゲンは、ブランドの歴史の重要性も認めている。パサートやゴルフが、バッテリーEVへどのようにバトンタッチしていくのか、ビジョンも立てられている。
間もなく登場する小さなID.2も、未来を指し示す1台だ。運転の楽しいコンパクト・ハッチバックとして、わたしたちを喜ばせる精神を宿すことを、期待している。
タイプIIをそのままモダナイズしたわけじゃない
ID.バズは、リアに空冷フラット4を積んでいた、タイプIIをそのままモダナイズしたスタイリングを持つわけではない。鮮やかなツートーン塗装と、むちっと膨らんだモノフォルムを除けば、オリジナルから直接的に引用されたデザイン要素は殆どない。
それでいて、細部へのコダワリは強い。車内のドアハンドル部分には、丸い笑顔のモチーフがあしらわれている。かつてエアインテークが開けられていたリアピラーは、3本のトリムで飾られている。
レトロなデザインに、抵抗がある人もいるだろう。ちょっと気取り過ぎかもしれない。だが、わたしは好きだ。近年のクルマは、少しシリアスすぎる。明るさや楽しさを重視したID.バズと、一緒に過ごす時間は素晴らしいに違いない。
既にこれまで、長年のフォルクスワーゲン・ファン数名からも、好意的な反応を受けた。これは簡単なことではないだろう。長期テストの良い始まりだといえる。
まだ気は早いが、電動クロスオーバーに代わる訴求力を持つモデルとして、長期テストを締めくくることができるように感じている。見た目だけでなく、中身も重視されているはずだから。古いタイプ1のように、ヒーターの心配をする必要もない。
沢山の荷物も運べる、利便性の高い5シーター
5シーターのバッテリーEVとして、利便性の高さは確認した。リアシートはフラットにたたむことができ、荷室のフロア下にも大きな収納空間が用意されている。必要なら、沢山の荷物を運ぶバンとしても使える。
ID.バズ SWBの英国価格は、6万2844ポンド(約1187万円)から。筆者は近々引っ越しを予定している。犬の散歩や、通勤にも使う。長めの自動車旅行にも出かけるつもり。実用的で愛すべきバッテリーEVだと、最後に明言できるだろうか。
セカンドオピニオン
ID.バズ SWBは、5シーター。遥かに小さいハッチバックと、定員の数は変わらない。それでも、それ以外はとても素晴らしいと感じた。
見た目だけでなく、走りも好印象。自分はT6世代のフォルクスワーゲン・カリフォルニアを所有していた経験があるから、疑いなくいえる。航続距離を除いて、すべての点でID.バズの方が優れていると感じたほど。 スティーブ・クロプリー(Steve Cropley)
テストデータ
価格
モデル名:フォルクスワーゲンID.バズ SWB 77kWh プロ・スタイル(英国仕様)
新車価格:6万2844ポンド(約1187万円)
テスト車の価格:6万6394ポンド(約1255万円)
オプション装備
キャンディー・ホワイト+エナジェティック・オレンジ塗装:1800ポンド(約34万円)
インフォテインメント・パッケージプラス:1560ポンド(約29万5000円)
タイプ2充電ケーブル:190ポンド(約3万6000円)
テストの記録
電費:4.6km/kWh(WLTP値)
航続距離:410km(WLTP値)
故障:なし
出費:なし
複数社の査定額を比較して愛車の最高額を調べよう!
愛車を賢く売却して、購入資金にしませんか?
複数社の査定額を比較して愛車の最高額を調べよう!
愛車を賢く売却して、購入資金にしませんか?
愛車管理はマイカーページで!
登録してお得なクーポンを獲得しよう
いくら魅力を語れど売れなくなるには理由がある! セダン&ワゴンが日本で衰退しているワケ
クルマは本当に日本を幸せにしたのか? 戦後つくられた「クルマ強制社会」、持ってなければ生活ニーズも満たせない深刻現実とは
トヨタが新型「シエンタ」発表! 約199万円からの“小型ミニバン”なぜ人気? どんな人が買う? 発売直後の反響は
中上貴晶「ホンダ勢トップの目標を達成」次戦イタリアGPでは新型エアロ投入予定/第6戦カタルーニャGP
まさに「ファン・トゥ・ドライブ」! 銀河の果てまでドライブしたいぞ! テリーさん、レクサスLC500コンバーチブルに乗る【テリー伊藤のお笑い自動車研究所】
みんなのコメント
だいぶな高級車というか、今のVWJで1番高いやん。