新型FT-3e＆FT-Seにトヨタの明るい未来を見た──詳報！ 「ジャパン モビリティショー2023」リポート

10月26日（木）から11月5日（日）にかけて開催される「ジャパン モビリティショー2023」で発表された新型車を深掘り！ トヨタの新しいBEV（バッテリー式電気自動車）「FT-3e」と「FT-Se」に迫る！

FT-3eはアルファード＆ヴェルファイアより広い！

トヨタFT-3eは、構成する電池やeAxle（イーアクスル：モーター+インバーター+減速機）、HVAC（エイチバック：エアコン&ヒーターユニット）といった主要コンポーネントを小型化した、新たなSUVのコンセプトモデルだ。

ジャパン モビリティショー2023でトヨタ／レクサスが展示する次世代BEVのうち、コアモデルとなるのはレクサスLF-ZCだろう。トヨタFT-3eはLF-ZCをベースに、SUVらしく大きなタイヤを履かせ、リフトアップしたモデルだ。全長×全幅×全高は4860×1955×1595mm、ホイールベースは3000mm。タイヤはフロントに255/45R22、リヤに285/40R22サイズを履く。2列シートで定員は5名だ。

キャビンフォワードのシルエットが実現できているのは、eAxleやHVACを小型化した恩恵。そこから緩い角度のAピラーが立ち上がってノーズからルーフまでがワンモーションで形成されている。最低地上高はSUVとしては一般的な200mmを確保しながら、全高は1600mm以下に抑えているのが特徴。SUVとしては背が低めながら、新開発した低ハイト次世代電池の恩恵で、高さ方向には充分なスペースが確保されている。

小型化したeAxleやHVACの恩恵で前後方向にもゆとりがあり、後席のレッグルームは「アルファード」「ヴェルファイア」よりも広くできるという。

ボディサイドにはデジタルサイネージを配置し、ドライバーがクルマに近づくと充電残量や車内温度、車内空気状況などの表示を想定（内容は検討中）。クルマの知能化によってできるようになることを一例として示している。

FT-Seはトヨタが提案する次世代スポーツカーFT-3eが次世代SUVを提案するとしたら、FT-Seは高性能電動スポーツカーの提案だ。フロントフードのバッジが示すように、モータースポーツとの結びつきが強いGRのコンセプトモデルである。「サーキットで培った熱量をデザインに込めた」と、担当デザイナーは話す。

FT-Seの全長×全幅×全高は4380×1895×1220mm、ホイールベースは2650mm。タイヤはフロントに265/35R20、リヤに295/35R20サイズを履く。前後に高出力モーターを搭載した4WDで、サーキット走行に耐えうるパフォーマンスをイメージし、デザインされた。

フロントまわりはコンパクトなモーター搭載を活かし、フードを低くした。そして、前後左右フェンダーの存在を際立たせることでタイヤの存在感を強め、高性能を視覚的に表現する。リヤフェンダー側面のパネルはサーキット走行中、モーターやバッテリーの温度上昇時に自動で開き、冷却風を取り込むそうだ。画像や映像で見るより、実物ははるかに存在感があり、カッコイイ！

小型化したモーターが実現可能にする低いフードの恩恵で、運転席の視界は良好。隆起したフェンダーは、車両感覚のつかみやすさにつながるはずだ。

ヨーク型のステアリング形状が示すように、操舵まわりは機械的な結合を持たず、電気的な信号で操舵を制御するステア・バイ・ワイヤを採用する。走行に関わる機能はステアリング左側のタッチパッド、インフォテインメントシステムやエアコンなどの操作は右側のタッチパッドでおこなう。

FT-Seは新しい時代のコックピットのあり方をも提案する高性能電動スポーツカーであるのだ。

文・世良耕太　写真・安井宏充（Weekend.）　編集・稲垣邦康（GQ）