アコードに乗るとe:HEVのスポーティさを実感する
ホンダ独自のハイブリッド、e:HEVはエンジンとモーターそれぞれの特徴を活かしたシステムである。モーターが得意な低~中速域はシリーズ方式と同様にモーターで走り、エンジンが得意な高速クルージング時はパラレル方式と同様にタイヤに直結したエンジンで走行するよう使い分けている。
【最新モデル試乗】国際派11代目ホンダ・アコードは最新技術を積極投入。スポーティセダンを名乗るに十分な気持ちのいい走りの持ち主である
「e:HEVはパラレル方式がメイン」と誤解しているユーザーも多いようだが、実はシリーズ方式のほうが主体であり、低速からけっこう高い車速域まで、モーター主体で走行し、その間エンジンは発電に徹している。
ホンダは、e:HEVについて「ホンダが培ってきたエンジンの技術と電動化技術を結集するとともに、数々の新たなテクノロジーを導入することで、内燃エンジンだけでは成し得なかった、走りの楽しさを実現した」と説明する。中でも新開発の2リッターエンジンを組み合わせ、「スポーツ」の称号が付くシビック/ZR-V/アコード用は最新世代の自信作である。
新型アコードの試乗を通じて、その高い完成度を改めて実感した。アコード用e:HEV機構は、従来はモーター軸とエンジン軸で共用していたロックアップギアを独立させ、それぞれに最適なギア比とする技術でモーター、エンジンそれぞれの効率を改善している。
走行性能面では、EV領域とエンジン直結領域をともに拡大するとともに、ハイブリッドドライブの強化を図った。EV走行シーンとエンジン走行シーンの両方が拡大されたのがポイントになる。加速応答性が向上し、車速の伸びとエンジン回転数上昇の連動による爽快な加速フィールを実現した。さらにエンジンドライブモードをよりスムーズに継続させることができたという。
実際にドライブして、これまでよりもずっとアクセルレスポンスがリニアで、ダイレクト感がある走りに感心した。アクセルを踏み込んだときの加速とエンジンサウンドの高まりがピッタリ連動している。だからリズミカルに走れて気持ちがいい。従来型で感じた、エンジン回転が先行して高まり、遅れて加速がついてくる、ひと昔前のCVTのようなラバーバンドフィールはない。
これにはエンジン発電の早期化が効いている。実のところ、試乗前はEV走行領域が拡大したと聞いて、「エンジンがかかりにくくなっているのか」と思っていた。だが、そうではなかった。従来型以上にエンジンは頻繁にかかるようになっている。ただし、エンジンが始動しても回転数は低く、騒音や振動も小さい。だからモーター走行の爽快さをスポイルする心配はない。つねに走りが楽しめる。
パドル操作により6段階で回生ブレーキの強弱を調整できる減速セレクターは使いやすく、自在にドライブする楽しみを増大させている。積極的に走りたいときには、減速度が固定となるスポーツモードを選ぶか左パドルを長引きするといい。アクセルペダルの開度で減速度を調節できるようになり、より自ら操っている感覚が高まる。
ストローク感のある足回りとハンドリングも気持ちがよい。国内向けホンダ・ブランド車のフラッグシップに昇格したアコードは完成度が非常に高い。e:HEVならではの走りが楽しめるクルマに仕上がっている。
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