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【ミドエンジンを模倣】電動化のポルシェ718 独自のバッテリー設計と専用シャシー採用か

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【ミドエンジンを模倣】電動化のポルシェ718 独自のバッテリー設計と専用シャシー採用か

ミッションRが未来の718

2022年に発売される次世代のポルシェ718ケイマンとボクスターには、現在のミドエンジン車の特徴を模して設計された、電動スポーツカー用プラットフォームが採用される見込みだ。

【画像】未来の718【ミッションRを現行718と写真で比較】 全109枚

「eコア(e-core)」レイアウトと呼ばれる斬新なバッテリー配置を採用し、その走りの特性に合わせて、可能な限り低い着座位置と低重心を実現するという。

ポルシェは先日、EVコンセプトのミッションRを公開した。これは将来のワンメイクレース車両を予告するものでもあるが、未発表のケイマンEVおよびボクスターEVのスタイリングを示唆している。

ポルシェはミッションRについて、同社のデザインスタジオで並行して行われている次期EVモデルのデザインを反映していることを認めている。一部のデザイン要素は、いずれ市販モデルにも反映されるようだ。なお、サイズは現行のケイマンやボクスターに近いものになっている。

ポルシェは、718ケイマンのシャシーを改良したものをミッションRコンセプトに使用している。市販化の可能性について聞かれたオリバー・ブルーメCEOは次のように答えた。

「モデルを電動化する際、内燃機関(プラットフォーム)のキャリーオーバーは行いません。なぜなら妥協点が多すぎるからです」

「将来のスポーツカーを見据えた場合、独自のプラットフォームを開発しますが、いくつかのモジュールは他のクルマと共有します。しかし、プラットフォームは独自のものになるでしょう」

従来のプラットフォームは使用不可?

ミッションRはミドエンジン・スポーツカーのデザインを模倣しており、最も重い部品であるバッテリーをドライバーの後ろ、通常はエンジンがあるリアアクスルの前に配置している。

ポルシェの技術責任者であるミヒャエル・シュタイナーは、このような特異なレイアウトを採用した理由として、空気抵抗を減らすために車高をできるだけ低くする必要があったと述べているが、この方法では、バッテリーを床下に設置する従来の「スケートボード」のようなシャシーを採用することができない。

床下にバッテリーを置く方法は、ポルシェとアウディが共有するJ1アーキテクチャーだけでなく、既存のタイカンや今後発売されるPPEプラットフォームにも採用されている。

シュタイナーは次のように語っている。

「一般的な2ドアのスポーツカーでは車高が非常に低くなっていますが、これはシルエットをできるだけ低くフラットにすることで、空気抵抗を減らすためです」

「そのため、ドライバーをできるだけ低い位置に座らせる必要がありますが、そうするとシートの下にはバッテリーを搭載するスペースがありません。今日、多くのスポーツカーがミドエンジンを採用している理由と同じです」

「現在の技術では、バッテリーがクルマの中で最も大きくて重い部品となっています。そこで、わたし達は『eコア』というバッテリーデザインを開発しました。パッケージング的にも重心的にも、ミドエンジンの設計をほぼそのまま再現しています」

さらにシュタイナーは、このデザインが重量配分とバランスにも貢献していると述べている。

バッテリーの衝突安全上の理由も

ミッションRコンセプトでは専用のプラットフォームを採用しているが、シュタイナーによると、市販モデルではそのようなアーキテクチャーは採用しないという。

「電動化によって変わらないプラットフォームはありませんが、当社のポートフォリオの中でそれほど変わらない可能性があるのは、ボクスターやケイマンのようなミドエンジン車のプラットフォームだけでしょう」

「ポルシェは10年前、エンジンとトランスミッションのスペースをバッテリーに使えるという理由で、このミドエンジンのレイアウトを採用したプロトタイプを製作しました。しかし、社内では内燃機関、プラグイン・ハイブリッド、完全EV用に対応したコンバージョンタイプのプラットフォームは作らないことに決まっています。重量やパッケージングといった面で妥協があるからです」

「ミドエンジン車であっても、完全電動プラットフォームを設計することには十分な理由があります。これは将来的に変わるかもしれませんが、少なくとも今後数年は変わらないでしょう」

シュタイナーは、911のような後輪駆動車の模倣を試みるのではなく、ミドエンジンのデザインを検討していると述べた。これは、安全上の理由からバッテリーを車体中央の衝突構造内に収めたいと考えているためだ。

このようなレイアウトは、将来的にはランボルギーニやアウディといった兄弟ブランドにも採用される可能性があるようだ。シュタイナーは、ミッションRのようなコンセプトを、スーパースポーツカーの「方向性」を持ったレイアウトで開発することができると述べている。

「これは技術的な理由だけではありません。往々にして、『方向性』は市場の好みを汲んでおり、その方向性に沿って技術を開発しようとしているのです」

受け入れられるには軽量化が必要

718ケイマンと同程度の性能を持つ電動スポーツカーが顧客に受け入れられるかどうかを尋ねると、シュタイナーは次のように答えてくれた。

「受け入れてもらえるでしょう。しかし、そのためには軽量化が必要です。本物のスポーツカーをサーキットで走らせても、重さは感じられるでしょう。ハイウェイでは気づかないかもしれませんが、本物のスポーツカーはサーキットでパフォーマンスを発揮しなければなりません」

フォルクスワーゲン・グループが現在開発しているSSPプラットフォームは、実質的にフォルクスワーゲンが主導するMEBと、アウディ/ポルシェが開発するPPEを融合したもので、床下にバッテリーを搭載したスケートボード風のデザインが特徴だ。

また、バッテリーデザインの統一化にも取り組んでおり、生産するEVモデルの80%以上に採用することができるとしている。

しかし、そうすると、異なるバッテリーデザイン(eコア)を使用する「ミドエンジン」のレイアウトに合わせるため、新たなプラットフォームが必要になるかもしれない。

電動718はポルシェにとって大きな挑戦

2シーター・スポーツカーは、とてもコンパクトなクルマだ。そのため、ポルシェが718の電動化にあたり、内燃機関のスペースを駆動用バッテリーに置き換えようと考えるのは理にかなっている。

ケータハムとACが同じアプローチでEVを開発しているし、テスラも10年以上前にミドシップのロータス・エリーゼを出発点として初代ロードスターを設計した。

これらのケースでは既存のプラットフォームを流用しているため、エンジンの空いたスペースにバッテリーを搭載することが現実的に可能だったのだろう。

しかし、EV専用のプラットフォームを新たに開発する場合でも、同じ哲学に従えば、ダイナミックな特性を維持できる可能性が高くなる。つまり、運転席の位置を変える必要はなく、最も重い部品の位置を移動させる必要もない。

報道が事実であれば、ポルシェは次世代718の完全EVモデルと並行して、マイルド・ハイブリッドとプラグイン・ハイブリッドを並行して販売する予定であり、ハイブリッドモデルは既存のプラットフォームをベースにすると思われる。

その場合、完全EVモデルは、同じモデルラインとしてまとめるために内燃機関搭載モデルとの特性を一致させなければならない。電動718では、現行と同等のダイナミクスが求められるのだ。

電動718を内燃機関モデルよりも速くしたり、4輪駆動システムを追加したりするのは比較的簡単だろう。しかし、過去30年間、非常にダイナミックな2シーター車として親しまれてきた718のように、走りを魅力的にすることは困難な課題となるはずだ。

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