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オフロードへ本気で挑む ランボルギーニ・ウラカン・ステラートへ試乗 最後を飾る至高の喜び(2)

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オフロードへ本気で挑む ランボルギーニ・ウラカン・ステラートへ試乗 最後を飾る至高の喜び(2)

エンジンはウラカン STO譲りのV10

ランボルギーニ・ウラカン・ステラートは、外界との隔離性が悪くない。フロアにカーペットはなく、ドアパネルも簡素だが、車内へ届くノイズはポルシェ911と大差ない。むしろ、より静かかもしれない。

【画像】最後を飾る至高の喜び ランボルギーニ・ウラカン・ステラート ベースのSTO ウルスとLM002も 全113枚

しばらく走り、広大なオフロード施設があるスイートラム・モータースポーツ・コンプレックスへ。本格的なラリーマシンのシェイクダウンから、裕福なアマチュアドライバーの気晴らしまで、多様なニーズへ応えるオフロードコースが整備されている。

代表を務めるジョナサン・ベネット・エヴァンス氏は、これまで様々なラリーマシンを目にしてきたという。だが、ランボルギーニが走るのは始めてだとか。ウラカン・ステラートのことを、興味深げに尋ねてくる。

エンジンは、チタン製バルブでチューニングされた、ウラカン STO譲りの5.2L V10だと説明する。タイヤは、あらゆる地形に対応するブリヂストン・デューラーAT002を履くことも。サイドウォールの形状が機能的ではないと、彼は反応する。

シャシー底面の保護も気になるようだ。フロントには、アルミニウム製のアンダーガードが付く。ホイールアーチは、ボルトで固定されたオーバーフェンダーが覆う。通常のウラカン・エボより、車高は44mm高いこともお伝えする。

サスペンションには、BWI社製のアダプティブダンパーと、長いスプリングが組まれている。ブレーキには、表面の砂が落ちやすいよう加工された、セラミック・ディスクを装備することも付け加える。

高精度なパワートレインが信頼感を高める

一通り彼へ説明し、スウィート・ラムのコースへ突入。オフロードでの挙動は、驚くほど自然だ。ブレーキの反応が僅かに悪くなり、旋回時はステアリングホイールだけでなく、アクセルペダルを煽る必要があることへ慣れれば、全開で走れる。

ESCをオフにして、カーブが連続するダートを駆ける。V10エンジンの咆哮が背後から放たれ、アルミニウムとカーボンで構成されたシャシーに、小石や砂利の当たる音が足元では響く。

フロントタイヤがトラクションを高めると、視界を遮る勢いで砂埃が舞う。通常ならアスファルトが広がるフロントガラス越しの世界だが、今回は一面に砂利と草。スポーツ・モードでもラリー・モードでも、その面白さに陶酔してしまう。

電子アシストをオフにすると、ウラカン・ステラートの表現力が一層増す。グラベルのストレートを落ち着いて疾走し、コーナーではスピンの不安を感じさせない。高精度なパワートレインが、信頼感を高めている。

トランスミッションは、ウラカン・エボ譲りの7速デュアルクラッチ・オートマティック。電子制御のリミテッドスリップ・デフがリアに組まれ、ハルデックス・カップリングを用いた四輪駆動が走りを支える。

若干、トルク分配率は安全志向かもしれない。だが、WRCドライバー以外には、これで丁度いい。

ベネット・エヴァンスも、ウラカン・ステラートを気に入った様子。気まぐれな路面に対し、見事にタイヤを追従させるサスペンションへ感心していた。類まれな、自然吸気V10エンジンが載ることにも。

自由滑沢に振り回せるランボルギーニ

思い切りオフロードを走れば、傷や摩耗が心配になることは事実。バンプストッパーへ当たるほどの強い衝撃は、望ましくない。シンプルなアリエル・ノマドの方が、気遣いは少ないだろう。

マニュアルを確認すると、未舗装路の走行後はランボルギーニの認定ワークショップで車両を徹底的にクリーニングするように、と記されている。本当に依頼したら、どの程度の費用がかかるのだろう。

実際のオーナーが、今回の筆者のような真似をするとは考えにくい。そもそも、ウラカン・ステラートはアスファルト上でも印象的な走りを披露する。オフロードを前提に、あえて限界を下げてチューニングされたシャシーは、オンロードでも見事に有効だ。

絶妙にソフトな足まわりと、最新の電子制御技術が融合し、ランボルギーニ史上最も能力を引き出しやすいスーパーカーへ仕上がったといっていい。グリップの限界まで、背伸びをする必要はない。

思い切ったアクセルペダルの扱いと、荷重移動に伴うフロントタイヤの特性を理解すれば、期待以上の楽しいドライビング体験が待っている。ボディという塊の挙動を、明確に身体で感じ取れる。

ウラカン・エボと比較すれば、ステアリングホイールへ伝わるフィードバックは荒い。レスポンスにも、若干の遅れがある。ところが、限定的なグリップ力と強力なV10エンジンの組み合わせで、自由滑沢に振り回せるランボルギーニになっている。

ウラカンの最後に生まれた至高の喜び

プロのスキーヤーがモーグルコースを滑走するように、ウラカン・ステラートは、リズミカルに屈伸しながらコーナーを処理していく。意のままに、フロントノーズは向きを変えていく。

ウラカン STOのコーナリングも素晴らしいが、不安なく味わえるのは平滑な路面へ限られる。252psのアルピーヌA110で狙われたアプローチが、610psまで拡張可能だという事実を、このランボルギーニは証明している。

鋭敏に吹け上がるエンジンに、ソフトな足まわり。かつてのマクラーレンF1へ通じるといってもいいだろう。

日没が迫り、西海岸のブラック・ロック・サンズへ辿り着く。あいにく、観光客で宿泊施設はどこも満室になっていた。

唯一空いていたのが、ちょっと上級なポートメイリオン・ホテル。ここは、イタリアのリビエラへ影響を受けたデザインが特長で、ランボルギーニで訪れるのにピッタリの場所だった。

ステラートは、ウラカンのグランド・フィナーレを飾るのに相応しい。オフロードのためのチューニングが、オンロードでも素晴らしく機能している。エンターテイメント性の高かったジュニア・ランボルギーニが、最後に至高の喜びを提供してくれた。

撮影:ジャック・ハリソン

ランボルギーニ・ウラカン・ステラート(英国仕様)のスペック

英国価格:23万2820ポンド(約4214万円)
全長:4525mm
全幅:1956mm
全高:1245mm
最高速度:260km/h
0-100km/h加速:3.4秒
燃費:−km/L
CO2排出量:337g/km
車両重量:1470kg
パワートレイン:V型10気筒5204cc自然吸気
使用燃料:ガソリン
最高出力:610ps/8000rpm
最大トルク:57.0kg-m/6500rpm
ギアボックス:7速デュアルクラッチ・オートマティック(四輪駆動)

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みんなのコメント

1件
  • BG5PE-100
    待ってろ!
    スタックしたクルマは俺が助ける…
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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