クーペでは楽しめない素晴らしい秘密
text:Richard Lane(リチャード・レーン)
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)
新しいランボルギーニ・ウラカン・エボ・スパイダーへ座ってみる。車内は包まれ感が大きい。足元の空間は、少し不足気味のようだ。
古くからミドシップのランボルギーニがそうだったように、ウラカンも人間が座る空間の設計は、後回しだったのかもしれない。ウラカンスパイダーは特にその傾向が強い。エンジンルームとの境界となるファイアウォールが、クーペよりも前方に位置するからだ。
新しいオプションのスポーツシートは、足元空間に余裕を生んでくれるかもしれないが、試乗車には非装着。身重の高いドライバーの場合、髪の毛がソフトトップに触れてしまいそうだ。
フラットボトム形状のステアリングホイールは、しばしばドライバーの太ももに当たる。2020年のクルマとしては、許されない設計だと思う。クーペの方がまだ良いとはいえ、大差はない。
そのかわりスパイダーには、ソフトトップを閉じていても、クーペでは楽しめない素晴らしい秘密がある。リアの小さなスクリーンを下げると、バルブトレインのメカノイズや、エグゾーストの叫びを、直接車内へ届けることができるのだ。
極めて印象的なエンジンノイズを、ダイレクトに楽しめる。その音響を一度聞けば、天候に関わらず、リアのスクリーンだけは開けたままにしたいと思うだろう。
希有なランボルギーニ製V10エンジン
ソフトトップを開くことも簡単。48km/h以下で動作する電動油圧装置を使い、自動的に17秒で完了してくれる。オープンにすれば、21万8137ポンド(2901万円)のウラカン・エボ・スパイダーと、ドライバーとが一体となる準備は完了。
生々しく、髪の毛が逆立つような体感を生む、ランボルギーニ製V10に匹敵するエンジンは希有。フェラーリ812GTSタルガトップに搭載される、6.5LのV型12気筒エンジンくらいだろう。まだ試乗はしていないが。
自然吸気にも関わらず、56.8kg-mという太いトルクが、わずか1000rpmから生み出される。ターボエンジンの立場も危うくなる。
50km/h制限の区間を終えたら、4速に入れたまま、追走するホットハッチを突き放すことも造作ない。エボ・スパイダーなら、簡単な準備運動に過ぎない。
放たれるエグゾーストノイズも、まったく別物。プリミティブにすら感じられる。レッドラインとなる8500rpmの手前、7500rpm付近から最高潮を楽しめるが、3000rpmから6000rpm付近の響きも魅惑的。
重厚な脈動音も同等に楽しい。周辺空間を満たし、ドライバーへ浸透してくるようだ。この快楽を得るためなら、多少のドライビング・ポジションの我慢も許せてしまう。むしろ、些細な問題でしかない。
マクラーレン720SやフェラーリF8トリブートの直接的なライバルとなるなら、サウンド以上の特徴が必要となる。特にウラカン・エボで強く感じられるのが、路面を問わない落ち着きの高さだといえる。
効果的ながら不自然さの残るLDVI
路面のわだちや波打ちを見事に均し、ラインを乱すことなくコーナリングをこなす。ウルトラ・フラットと呼べるほどの仕草だ。
舗装の剥がれた穴を通過すれば、流石にルーフのないボディへ振動を伝えてしまうこともある。でも、それ以外ほとんどの時間は、クーペと同等の強固さを実感できる。
パワーデリバリーはリニアで、予想が付きやすい。LDVIのモニターを信じれば、フロントタイヤはほとんど駆動されることはないようだが、トラクションとグリップ力は凄まじい。
後輪操舵システムは、トルクベクタリングと同調して機能している様子。恐らく速度感応式のステアリングも連携しているようで、挙動にはどこか不自然さも残っている。例えば均一な円弧を描くようなコーナリングでは、本来より直感性に欠ける印象がある。
フロントノーズは、コーナーのエイペックスを執拗に追いかける。ウラカン・エボとして狙った性格と考えられるが、初期のステアリングレスポンスにはデジタル感がある。フロントタイヤの感触も、ライバルと比較するとドライバーを鼓舞してくれるほどではない。
カーボンセラミック・ブレーキは標準装備。効きは強力だが、サーボの効きも強すぎる。リズムカルに運転することが難しく感じる場面がある。サスペンションは、最も柔らかくなるストラーダ・モードでも、硬すぎると感じた。
モダン・ランボルギーニを象徴する
ランボルギーニ・ウラカン・エボ・スパイダーと、マクラーレン720Sスパイダー、フェラーリF8トリブート・スパイダーのどれを選ぶべきか。3台を比較していくと、とても異なる性格付けだとがわかる。
ランボルギーニは、マクラーレンへ純粋さや微妙なニュアンスで及ばない。フェラーリ並みの、自由自在のハンドリングは得ていない。
しかし、圧倒的な破壊力を持つ自然吸気V10ユニットの力を完全に解き放てる、万全を備えたシャシーがある。表層的なドラマチックさも濃い。
ランボルギーニの強みが、すべての人の嗜好に合致するわけではないだろう。しかし、極めてランボルギーニらしいといえる。ドライバーを陶酔させ、依存させてしまう力としては、ウラカン・エボ・スパイダーに勝るライバルはいないのではないだろうか。
50年後、ランボルギーニが自社の記念展を開催するのなら、このパールオレンジのウラカン・エボ・スパイダーは、ピカピカに磨かれて出展されるに違いない。飼い慣らされた野生動物。あらゆる面で、モダン・ランボルギーニを象徴する1台だ。
ランボルギーニ・ウラカン・エボ・スパイダー(英国仕様)のスペック
価格:21万8137ポンド(2901万円)
全長:4520mm
全幅:1933mm
全高:1180mm
最高速度:325km/h
0-100km/h加速:3.1秒
燃費:7.0km/L
CO2排出量:338g/km
乾燥重量:1542kg
パワートレイン:V型10気筒5204cc自然吸気
使用燃料:ガソリン
最高出力:640ps/8000rpm
最大トルク:61.1kg-m/1900-5000rpm
ギアボックス:7速デュアルクラッチ・オートマティック
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みんなのコメント
外見の奇抜さはやはりランボだけどねぇ。