マクラーレン・レーシングCEOのザク・ブラウンは、物議を醸した2021年シーズンの最終戦アブダビGPは、F1とFIAがスポーツのコントロールをチームから取り戻すための改革に着手する必要性を示していると述べている。
ヤス・マリーナ・サーキットでの劇的なF1タイトル決定戦が終わって1カ月、その反響は拡大し続けている。F1とFIAは、内部関係者やファンからの批判の波に引き続きさらされており、最終戦の完全な調査を行うというFIAの決定が下されても批判はほとんど収まっていない。調査結果は、3月に開催される2022年シーズンの開幕戦バーレーンGPまでは発表されないという。
FIA、F1アブダビGPの論争に関する調査プロセスを発表。結論の公表は開幕戦初日
マクラーレンのウェブサイトに発表されたコラムのなかでブラウンは、過去にも何度か示されたように、チーム側がF1とFIAを過度にコントロールしていることから、今こそF1におけるパワーバランスを変える時が来たと述べている。
「モハメド・ビン・スライエムが2021年12月に新たなFIA会長に選出されたことは、F1の運営方法を変革するチャンスだ」とブラウンは語った。
「2021年シーズン最後のアブダビでの出来事に注目するのは言うまでもないことで、FIAの調査対象ともなっているが、私の見解では、これは原因ではなく兆候だった」
「FIAかチームか、誰がルールを作るのかということについて、連携と明確さに関する体系的な問題がある。このことは時にははっきりとした形で、過去何年にもわたって問題自体が明示していた。組織に関する問題の兆しは、2020年オーストラリアGPと2021年のベルギーGPでも見られた。どちらもイベントの展開への準備が不足しており、解決策はその場しのぎだった」
「FIAとF1の役割を完全に明確にし、このスポーツのリーダーシップを強化する必要性があることは、モハメド・ビン・スライエムとステファノ・ドメニカリ、および彼らのチームの議題に間違いなく載っているだろう」
ブラウンは、F1の商業権保有者であるリバティ・メディアの監督のもとで成功した“リセット”が、今では「スポーツのトップにおける、より強力で指導的なリーダーシップとガバナンスへのシフト」を必要としていることが示されていると述べた。つまり、チームのパワーと影響力を抑え、"過度に興奮したチーム代表たちが大衆の前で”レースオフィシャルを操作したり、彼らにプレッシャーをかけたりすることをなくしたいとブラウンは考えている。
「レギュレーションの適用に一貫性がないことには誰も満足していないが、それには競争上の優位性のためにチームが常につけこんでいるせいもある」
「以前も言ったが、チームのパワーが強すぎるので、抑える必要がある。レギュレーションの起草とF1のガバナンスに我々は大きな役割を果たしているが、スポーツ全体にとって何が最善かという意図で常に影響力が行使されるわけではない」
「もちろんチームは協議に参加し、特に長期的な戦略の問題については、情報にもとづいたチームの視点が考慮されるべきだ」
「しかしこのスポーツがある特定のチームに支配されているような時もある。我々チームも、レギュレーション適用における一貫性のなさの原因となってきたことを忘れないでおきたい」
「何がなんでもレースをセーフティカーで終わらせないために、プレッシャーをかけたのはチームだ。不満のあるレギュレーションの多くに投票したのもチームだ」
「レースディレクターへの無線メッセージが放送されることを利用して、ペナルティやレース結果に影響を及ぼそうとしているのはチームだ。過剰に興奮したチーム代表が公の面前でレースオフィシャルにプレッシャーをかけるほどだった」
「これはF1を啓発することではない。国際的なスポーツの頂点というよりは、パントマイムのオーディションのように感じられた時があった」
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