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カワサキ「Z2」フルレストア フレーム単品で始めてわかるリアルコンディション

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 カワサキ「Z2」フルレストア フレーム単品で始めてわかるリアルコンディション

分解メンテナンス時には作業順序が大切です

 コンプリートバイクを分解した経験がある方なら、それなりの要領や手順など、ご理解いただけていると思います。しかし、過去にコンプリート車両を分解した経験が無いとなると、それはもう戸惑うことが多いと思います。完全分解ではなく、部分的な分解やメンテナンスひとつにしても、作業順序次第で、仕上がりの良し悪しにも影響が出てしまうことがあります。

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 例えば、キャブレターを分解したい際にも、キャブがほぼ露出したレイアウトのホンダモンキーと大型モデルでは、作業性に違いがあります。例えば、ネイキッドモデルでも、キャブ周辺に様々な部品が装着されているモデルでは、その作業手順に大きな違いがあります。まずは「何をどうしたいのか!?」やりたいことがわかっているのなら、無用な部品を分解する必要はありません。

 例えば、キャブレターのスロットル操作が重く感じられる時には「キャブレターを取り外して点検する」作業の前に、スロットルホルダーからワイヤーケーブルを取り外し、まずはフリーになったスロットルパイプの操作性を確認点検するべきです。

 次に、キャブ本体からケーブルを取り外し、途中でケーブルの取り回しがキツくなっていないか確認します。さらには、折れ曲がっていたり、部品に挟まれていないかなど、しっかり確認しましょう。このように、トラブルの状況によっては原因も様々なので、一番手が掛からない部分から、トラブル要素が無いか、確認点検するのが良いです。

 お話しがそれてしまいましたが、修理目的に合わせた作業進行が、大切な時間を無駄にしないコツです。カワサキ750RS/Z2-A後期モデルは、車検も残っているので、まずは実際に走らせてコンディションを確認しつつ、気になる部分はメンテナンスしました。

 電気系はメインハーネスを交換したことで不安定要素が無くなり、発電充電系もしっかり確認できました。その他にも、様々な点検やメンテナンスを行い、ようやくベーシックなコンディションが確認できましたので、いよいよ当初の予定通り、車体のフルレストアとエンジンのオーバーホール&ライトチューンへ取り掛かることにします。

単品フレームからこそ点検できる箇所だらけ

 おおよそ2時間程度の時間を要し、分解バラバラ&単品なったメインフレーム。スイングアームや周辺小物を含めた「ツヤ有りブラック部品」と、カワサキ車特有の「半ツヤブラック部品」は、パウダーコーティングにて仕上げることにしました。

 作業をお願いしたのは愛知県のパウダーコーティング・カトーさん。ぼく個人的には、以前に750SS/H2-Aのフルレストア時に、カワサキ調ブラックで作業依頼していた経験があるので、今回も安心してカトーさんへお願いしました。仕上がりは美しく、組み立て時にエンジンマウントボルトを締め付ける際にも、気遣う必要などありません。とても密着が良いペイントです。スムーズに組み立て復元できるのが、何よりも嬉しいです。

 一般的なペイントでは、ボルトを締め付けたときに塗膜がパリッと割れてしまうケースが少なくありません。一方、パウダーコーティングの場合は、スプリングワッシャが喰い込んでも塗膜が割れないほど密着力が高いのです。

 以前にフルレストアしたH2をモーターサイクルショー会場に展示する機会がありましたが、絶版旧車ファンのみならず、フレームペイントに関する質問が数多く寄せられたのには驚きました。それほどまでに美しい仕上がりだったのだと思います。同じパウダーコーティング塗料を使っても、バイクを良く知るコンストラクターさんへ作業依頼すると、その仕上がりが格別なのです。パウダーコーティングに関して言われがちな「厚ぼったい感じ」など一切ありませんでした。

 すべての部品を取り外して、フレーム単品にしてから各部のコンディションを確認点検しました。サイドスタンドのハネ上げ時に干渉してしまう(集合管仕様だと左マフラーのストッパーが無くなってしまうことでサイドスタンド先端とフレームが干渉してしまう)部分と、右側ダウンチューブの上正面にあった僅かな凹は、ロウ付けにて肉盛り&研磨した後にペイント依頼しました。補修部分は違和感無く仕上がってきました。

 また、ペイント依頼前に、単品になったフレームを台の上に載せ、各部の点検を行いましたが、骨格に目立つダメージは無く、よくありがちなヘッドパイプ下正面のガセットプレートへの亀裂も発生していませんでした。やはり走行距離が少なかった個体であることを、単体フレームすらも理解できました。

 パウダーコーティング・カトーさんにお話しを伺うと、外装パーツ(タンクなど)を取り付けたときに、見えなくなる部分への溶接修理が年々増えているそうです。ガソリンタンク下中央付近の三角メインフレーム部を溶接補強している例も数多くあるそうです。

 正面からの衝撃に対して、メインフレームアッパーが耐えられず、ヘッドパイプが「おじぎ」することもあります。その影響で、ヘッドパイプ下正面のガセット板金に亀裂が入りやすいのが初代空冷Zシリーズです。

 事故や転倒で正面から突っ込んだ車両は、フレームの背骨部が湾曲して、ダウンチューブが押し込まれている例が多く、下正面の純正ガセットには亀裂が入ってしまうことも多いそうです。初代空冷Zシリーズの場合は、通常の走りでも長年の経緯でクラックが入りやすい箇所もあるので、補強を入れるか? それとも入れないか? 実は相当に迷いました。しかし、今回は敢えて補強を入れずに、ペイント依頼することにしました。

取材協力/パウダーコーティング・カトー

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みんなのコメント

1件
  • zuq********
    レストア趣味ですが年代物のバイクを中途半端にレストアすると最初は良くても後で不具合が出る事もあります。組み上がった後の修理は時間も手間もかかりますのでフレーム単体の段階で修復する、予防整備をしておくのが安心です。ただエンジンスタートして走り出さないとわからない事もありますので、可能であれば分解前のエンジンスタートや電装系の点検が有効ですね。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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