ステランティス・ジャパンは2022年8月29日、シトロエン・ブランドのフラッグシップとなる新開発のDセグメントのクロスオーバー「C5 X」を発表した。なお発売は10月1日から。
新型C5 Xと、左からマーケティング担当のトマ・ビルコ氏、ポンタス・ヘグストロム社長、同車のインテリア・カラー、素材開発を担当したシトロエン本社の柳沢知恵デザイナー新型C5 Xは、セダンの持つエレガンス、クーペのような後傾したルーフライン、ステーションワゴンの実用性、そして大径タイヤを装着し、高めの最低地上高とすることでSUVの力強さを組み合わせた独創的なクロスオーバー・デザインで、従来の保守的なDセグメントに新しい息吹を吹き込も意欲的なモデルだ。
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このニューモデルには、ガソリンとPHEVという2種類のパワートレインがラインアップされ、DセグメントやSUVセグメントの顧客が期待する現代性やステータス、そして革新性を体現している。
なおC5としては3代目となるがこのニューモデル名は「C5 X」とされ、モデル名に添えられた「X」は、シトロエンCXに始まるブランドの「X」の系譜を継承していることと、セダンやステーションワゴン、SUV のシルエットを融合させたクロスオーバーであり、シトロエン・アドバンストコンフォートの集大成とも言えるモデルということができる。
デザインの原型は2016年のパリモーターショーに出展された「CXPERIENCE CONCEPT(Cエクスペリエンス・コンセプト)」をベースに生み出され、2021年4月に中国でワールドプレミアが行なわれている。中国では2021年6月から東風シトロエン成都工場で生産されて発売され、ヨーロッパでは2022年から販売が開始されている。
フロントマスクはC4に相似したV字シェイプのライティング・シグニチャーが特徴で、ブランドとしてデザインの統一性を図り、ボトムのクローム処理によって風格を生み出している。
Dセグメントにふさわしいロングノーズ、ボンネットとボディサイドに刻まれたキャラクターライン、そして大径ホイールとブラックホイールアーチがダイナミックな印象を与え、ルーフに沿って流れるクロームラインがアクセントになっている。大型のスポイラーを上下に備えたテールゲートに加え、サイドにまで大胆に回り込むコンビネーションランプがリアビューの特徴だ。
全体的なプロポーションはエレガントな曲面で構成され、過剰な造形やクロームメッキ装飾などを排除するなど他のDセグメントと一線を画すデザイン言語を貫徹している。
また外径720mmという大径タイヤ、通常のセダンより高めの最低地上高165mmにより、力強いスタンスを生み出している。
外径720mmと大径の205/55R19サイズを採用ボディサイズは、全長4805mm、全幅1865mm、全高1490mm、ホイールベース2785mmという、Dセグメントの中心に位置するサイズとなっている。低重心でスタイリッシュなロングボディと流麗なフォルムにより、大人5人が快適に過ごせる広々とした空間を確保し、リヤ席は競合モデルを上回る足元スペースが実現している。
広いガラスエリアに囲まれた明るいキャビンは、水平基調にデザインしたミニマル主義のダッシュボードと、フロントドアまで回り込ませたウッド調のデコラティブパネルがゆとりある空間を演出。室内にさらなる開放感をもたらすためにリヤクォーターにもウィンドウを設け、360度のガラスエリアを実現している。
そして高次元の静粛性を追求し、複層構造の遮音ラミネーテッドガラスを採用し(SHINE PACKに標準装備)、外部からのノイズを抑えている。さらにSHINE PACKには、サンシェード付きのスライディング・ガラスサンルーフを装備している。
シートは、シトロエン独自のアドバンストコンフォートシートを採用。ベースに低反発効果のある高密度ウレタンを使用し、表層部に15mmの厚さでやわらかなスポンジを挟んだ座面となっている。高密度で厚みのある構造が生み出す姿勢保持性とコンフォート性能は、長時間の移動でもリラックスでき、リビングルームでくつろいでいるかのような快適な座り心地を実現。またロングホイールベース化により、後席のニースペースは先代のC5セダンに比べ66mm拡大させるなど、リアシートの快適性も飛躍的に向上している。
SHINE PACKのフロントシートは、空気圧で腰部をサポートするマルチポイント・ランバーサポート付きの電動シート(前後/高さ/バックレスト角度調整)に加え、シートヒーターとベンチレーションを装備するなどプレミアム・クラスを上回る装備となる。さらに運転席には、乗車時にシートを自動的に後退させ、スムーズな乗車をサポートするウェルカムファンクションも搭載している。
凝ったC5 Xのバッジシェブロンからヒントを得たシートのステッチ華美さ抑えた繊細な和の心に通じるインテリア表皮ラゲッジ・スペースの寸法や機能はステーションワゴン同等の使い勝手を設計規準としている。フラットなラゲッジ・フロア、低めで広い機能的な開口部、フラットな側面などにより、通常時で545L、リヤシートを倒すと最大1640Lの積載量を実現。
また、ワイドに設計したテールゲートが荷物の積み込みを容易にし、リヤバンパーの下に足をかざすとゲートが自動開閉するハンズフリー電動テールゲートを装備。また、ラゲッジ・フロアに設けたレールによってスーツケースなどの出し入れもスムーズに行なうことができる。
インフォテイメントは、C4よりもさらに大きくワイドで、プジョー3008と同様の12.3インチデジタルディ高精細タッチスクリーンをダッシュボード中央の上部に備え、スマートフォンなどのように指先のスクロールやスワイプなど直感的な操作をすることができる。複数の情報を同時に表示させるウィジェットも可能だ。
コネクテッド・ナビゲーションシステムを標準装備し、リアルタイム交通情報を活用したルート検索および案内が可能。さらに音声認識システムを搭載し、呼びかけることでシステムを起動させることができる。
また目的地、エアコンの温度設定、ラジオ局の選択、ハンズフリー通話、天気予報など、さまざまな機能を音声で作動・変更・停止することができ、もちろんミラースクリーン機能により、Apple CarPlay/Android Autoをシームレスにつなぐことが可能だ。
さらに運転に必要な情報をフロントウィンドウに投影するエクステンデット・ヘッドアップディスプレイを初採用している。車速やナビゲーションのルート、認識した道路標識(制限速度など)、ドライバーアシスト機能の作動などを、約4.5m先の路面上に浮かび上がらせる。
運転支援システムは、全モデルに最新のセーフティ&ドライバーアシストを採用。前走車との車間距離を保つアクティブクルーズコントロールは、走行ポジションを維持するレーンポジショニングアシストと、渋滞時の停止、再発進を自動で行うトラフィックジャムアシスト機能を統合している。
リヤバンパーのコーナーにはレーダーを配備し、後方からの接近車両を検知してドアミラーのLEDを点灯させるブラインドスポットモニターを装備。従来のソナーをレーダーに置き換えたことで検知範囲は最大75mにまで拡大している。さらに後退時には死角のエリアから接近する車両や歩行者を検知して警告するリアクロストラフィックアラートなどの新機能を備えている。
新型C5 XはEMP2 Ver3プラットフォームを採用し、シトロエンならではの”魔法の絨毯”と形容される最新のシステム、プログレッシブ・ハイドローリック・クッション(PHC)を全車に標準装備し。PHCはダンパー内にセカンダリーダンパーを組みこむことで、従来のシステムでは吸収しきれなかったショックを抑制し、フラットライドを実現している。
PHEVモデルは、このシステムをさらに進化させ、走行モードに応じてダンパー内の油圧をコントロールするアドバンストコンフォート・アクティブサスペンションを初採用している。4つのモードを選べるこのサスペンションは、路面をフラットに走行するフィーリングを実現するため、走行中のダンピングを弱めるとともに、コーナリングには瞬時に減衰力を高めるなど、速度域や路面状況に応じて柔軟なダンピング調整が可能となり、洗練された極上の乗り心地を実現している。
1.6Lのピュアテック・ターボ・エンジンパワートレインは、ガソリン・モデルはピュアテック1.6Lの4気筒DOHCガソリン・ターボエンジンを搭載し、最高出力180ps/最大トルク250Nmを発生する。トランスミッションは8速ATを組み合わせている。
PHEVは1.6Lのピュアテック・ターボエンジン(180ps/250Nm)と出力110ps/320Nmのモーター、8速AT(e-EAT8)との組み合わせだ。e-EAT8はトルコンの代わりに湿式多板クラッチを採用しているのが特徴だ。システム出力は最高出力225ps/最大トルク360Nmで、WLTCモード燃費は17.3km/Lとなっている。
容量12.4kWhのリチウムイオン・バッテリーを搭載し、EV走行可能距離は65kmとなり、日常での使用ではバッテリーのみで走行できる。なお充電は200V普通充電のみに対応している。
PHEVのドライブモードは、電動モーターで走行をする「エレクトリックモード」、エンジンとモーターを活用し燃費効率を最適化する「ハイブリッドモード」、乗り心地を重視した「コンフォートモード」、ダイナミックな走りを楽しむ「スポーツモード」の4種類だ。もちろんアドバンストコンフォート・アクティブサスペンションは、ドライブモードに連動して乗り心地を制御する。また、住宅街などでEV走行をするために、エンジンによる走行で発電した電力を蓄電する「e-SAVE」機能を新たに搭載している。
また充電や、乗車前のキャビン内のエアコン制御などは室内のタッチスクリーン、またはスマートフォンのアプリで操作できるようになっている。
なお価格は、競合するDセグメントのモデルに対し十分に競争力のある価格設定となっていることも注目すべきだろう。
価格
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