奴田原文雄選手がパイクスピークに帰ってくる
6月24日に決勝日を迎えるパイクスピーク・インターナショナル・ヒルクライム(パイクスピーク)は、アメリカ・コロラド州パイクスピークという山にあるパイクスピーク・ハイウェイを舞台に繰り広げられるヒルクライム・タイムアタックイベント。そのスタートは1916年と、アメリカ・インディアナ州で開催されているインディ500(インディアナポリス500マイルレース)に次ぐ長い歴史を持つレースイベントだ。毎年アメリカの独立記念日前後に開催されており、今年は6月最終週の日曜日に開催となる。このパイクスピークに参戦する日本人ドライバー、今回は、奴田原文雄選手を紹介しよう。
奴田原選手は1986年にラリーデビューし、日本国内のラリー選手権や世界ラリー選手権へ参戦、2006年には東洋人初のFIAモンテカルロラリー優勝、そしてこれまでに9度の全日本チャンピオンを獲得し、現在も全日本選手権に参戦を続けているトップラリーストだ。過去にパイクスピークへの参戦もしており、2012年には#230 トヨタ・モータースポーツTMG EVP002を駆り、10分15秒380のタイムでEV(電気自動車)クラスチャンピオン(総合6位)を獲得している。
その後2016年には、トヨタ86をベースにTRDが製作した「14R-60」で参戦。車両はもともと筑波サーキットのようなミニサーキットでのアタックをイメージして製作されており、参戦クラスが市販車無改造クラスということもあって“素”の状態のままの参戦。12分33秒139のタイムでタイムアタック部門タイムアタック2クラス5位(総合70位)という結果となった。
昨年もエントリーまではしていたものの、マシンが用意できないということで参戦を見合わせることに。そして今回、2年ぶりに参戦決定。チーム名は「230(ふみお)サムライスピード」。ゼッケンは230であり、前回の参戦と同様。マシンは侍のイラストと日の丸がデザインされたカラーリングが施された日産リーフ。
船積み直前にそのマシンを緊急取材。きちんと形にはなっていたが、納車されたのがGWの連休直前。その後急遽レースマシンに仕立てあげ、それでも5月半ばに北海道で試走まで行ったという。
前回の参戦に続いて今回の参戦も、戦闘力としては今ひとつというイメージはぬぐえない。奴田原選手も、「勝てる勝てないってことじゃなくて、それ以前に魅力的なレースなんですよ、パイクスピークってのは。また、ここに帰ってきたいという思いもある」という。その年の予算であったり、限られたリソースの中で地道に参戦をしていこうという思いでの参戦のようだ。もちろん、総合優勝を狙える体制ができればそれに越したことはないが……。
参戦でターゲットとして見ているのは、100回記念大会である。今大会は96回目であるので、順当にいけば4年後だ。この参戦では、今回のリーフは2012年に電気自動車で勝ったこともあり、これからのレースということを鑑みて、という側面もあるようだ。今回はまだツルシの状態に近いが、来年以降も手を入れて電気自動車の可能性を探るということも考えている。奴田原文雄&サムライスピードの挑戦は、まだまだ続く。
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