この記事をまとめると
■日本市場から撤退してしまったフォードのアイコンといえば、それはマスタングだ
1台は3億超えの値段で取引! 1台は普通のボロ車扱いでメキシコへ! 「スティーブ・マックイーン」の2台のマスタングの数奇な運命
■本国ではマスタングはフルモデルチェンジした第7世代が発表されている
■そこでここでは50年以上にわたるマスタングの歴史を振り返り、各モデルを紹介する
若者にも買えるスペシャリティとして誕生したマスタング
残念ながら日本市場からは撤退してしまったものの、現在でも多くのファンを持つのがアメリカのフォード。そのなかでも代表的な存在としてあげられるのは、やはりスペシャリティカーの「マスタング」だろう。
参考までに最新のマスタングは、2022年9月に8年ぶりのフルモデルチェンジを受けており、それが正規輸入されないというのは、ファンにとってはいささか残念なところ。日本上陸復活を祈りながら、今回はこのマスタングの半世紀以上にわたる歴史を振り返っていこう。
初代マスタングが誕生したのは1964年のことだった。それはコンパクトなファルコンをベースとしたスタイリッシュな2ドアのスペシャリティカーで、若い年齢層のカスタマーの購買欲も刺激する安価なベーシック価格も大きな話題となった。このベーシック価格にエンジンやミッション、ディスクブレーキといった各種のメカニズムや装備類を選ぶことができるフルチョイス・システムを利用して、カスタマーは自分の好みと予算に応じたマスタングを発注することができたのだ。
最初にマスタングに用意されていたエンジンは、170立方インチ(2.8リッター)の直列6気筒のほかに、260立方インチ(4.3リッター)と289立方インチ(4.7リッター)の両V型8気筒。
1965年には直列6気筒エンジンが200立方インチ(3.3リッター)に排気量拡大されたほか、V型8気筒も3種類のチューニングを用意した289立方インチに統一されている。ボディにファストバックが追加されたのもこの年だ。
また、1967年にはボディがさらに大型化され、エンジン・バリエーションにも390立方インチ(6.4リッター)のV型8気筒を追加。翌1968年には直列6気筒が250立方インチ(4.1リッター)にまで排気量を拡大し、2種類のチューニングでパワー志向をさらに強めている。
フォードはそれを正式にセカンドジェネレーションとは呼ばないが、1969年のマスタングには非常に大きな変化があった。まず、誰もが気づくのはボディの大型化で、1971年モデルではついにホイールベースも延長された。ボディタイプは基本となるハードトップのほかに、これまでファストバックと呼ばれていたスポーツルーフ、そしてコンバーチブルの3タイプ。スポーティな仕様のグレード名で「マッハ1」が登場したのもこのときだ。
この時代のフォードは、マスタングの販売をより積極的に行うために、モータースポーツによるプロモーションを幅広く展開していた。キャロル・シェルビーの手によるGT350や、フォード自身が開発したBoss302や同429などは、主戦場であったトランザム・シリーズに参戦するために製作されたホモロゲーションモデル。ちなみに429立方インチ(7リッター)という排気量は、歴代マスタングのなかでも最大のものとなる。
マスタングに最初のフルモデルチェンジが行われたのは1974年のことだった。この時期、世界はオイルショックの最中。当然のことながら自動車には小型低燃費が強く求められていた。マスタングももちろん例外ではなく、イタリアのカロッツェリア・ギアに委ねられたボディはよりコンパクトに、しかしながらマスタングが本来目的としていた軽快なスペシャリティカーの雰囲気を強く演出したものに変貌を遂げていた。
ボディはハッチバックとハードトップの2タイプ。エンジンも140立方インチ(2.3リッター)の直列4気筒と169立方インチ(2.8リッター)のV型6気筒のみとシンプルな構成だった。だが、マスタングのファンにはそれではやはり物足りなさが残ったのだろう。フォードは翌1975年には302立方インチ(5リッター)のV型8気筒を復活させたり、1976年にはコブラ・パッケージを設定するなどさまざまな策でファンを刺激した。
第4世代の原点回帰でスタイリッシュクーペとして復活
1979年に誕生したサードジェネレーションのマスタングは、それまでとは一転、直線を基調としたヨーロッパ感覚のデザインが大きな特徴だった。ピントなどと共通のフォックス・プラットフォームを採用し、ボディサイズはさらに小型化。フォード車としては初となるターボ仕様の140立方インチ(2.3リッター)直列4気筒エンジンを搭載したのも忘れてはならないトピックスだった。
だが、このエンジンラインアップは、1980年モデルでは早くもそれが見直されてしまう。200立方インチ(3.3リッター)のV型6気筒と302立方インチ(5リッター)のV型8気筒という構成がそれで、後者には後にハイアウトプットを意味する「HO」のグレード名が与えられることになる。
1983年にはコンバーチブルボディが初代モデル以来の復活を遂げ、1984年には現在でもお馴染みの、「SVO(Special Vehicle Operations)」による高性能モデルも誕生。このようにさまざまな話題を提供しながら、サードジェネレーションのマスタングは、最終的には1993年まで生産が継続されたのである。
1994年から2005年まで販売されたフォースジェネレーションのマスタングは、初代モデルに回帰したとも思われるディテールを数多く持つエクステリアデザインが大きな魅力だ。プラットフォームは先代と同様に、小型車用のフォックス・プラットフォーム。実際にはそれを改良したものとされる。
搭載エンジンは232立方インチ(3.8リッター)のV型6気筒と302立方インチ(5リッター)のV型8気筒の2タイプ。後者にはHOとコブラの異なるチューニングが存在した。また、1996年モデルではV型8気筒エンジンが281立方インチ(4.6リッター)に縮小され、その代わりにSOHC24バルブヘッドが与えられるチューニングを実施。同1996年には実に309馬力という最高出力を発揮するSVT製作による281立方インチ(4.6リッター)V型8気筒DOHC32バルブエンジンを搭載したコブラが、5速MTとの組み合わせで追加設定されている。
リビングレジェンド。つまり「生ける伝説」をコンセプトに誕生したフィフスジェネレーションのマスタングは2005年に登場した。プラットフォームはこの新型マスタングのために新開発され、エクステリアデザインは、そのコンセプトをそのままに初代マスタングをより強く意識したものに変化。
エンジンはベースモデルでも244立方インチ(4リッター)のV型6気筒SOHCに。高性能仕様のGTには281立方インチ(4.6リッター)のV型8気筒SOHCが搭載されている。アメリカ本国ではMTの選択も可能で、スポーティで手ごろなモデルとして、つまりマスタングのそもそものコンセプトを継承したモデルとして高い人気を誇ったという。
2013年モデルでは2009年モデルに続きマイナーチェンジが実施され、灯火類のLED化などディテールの改良がここで行われた。
続く第6世代のマスタングは、2015年モデルから2022年モデルまでが存在するから、まだ十分に新車としての記憶があるファンも多いだろう。エコブーストエンジンなど、さらに環境に配慮したパワーユニットを搭載。そして、これは日本市場にとっては画期的だった、右ハンドル仕様の設定など、大きな話題に満ち溢れたモデルだったが、残念ながらその正規輸入が開始される前に、正規輸入代理店のフォード・ジャパンは日本から撤退するという事態になってしまった。
2022年9月、数えて8代目となるマスタングが発表された今、やはり望まれるのはフォードの日本市場への復活だ。
ちなみにエンジンは、140立方インチ(2.3リッター)の直列4気筒と、305立方インチ(5リッター)V型8気筒の2タイプ。
フォード・ジャパンが撤退するというニュースが流れる直前、オーストラリアでその右ハンドル仕様を試乗する機会があったが、右ハンドル化によるハンデはほとんどなく、自然なドライブとアメリカ車らしいダイナミックな走りが楽しめたことを今でも思い出す。フォードの日本へのカムバックを心から願いたい。
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