予選と決勝を同日開催と過密な プロフェッショナルシリーズ
ますます盛り上がりを見せつつあるトヨタ86&スバルBRZのワンメイクレース「GR 86/BRZレース(GR 86/BRZ Race)」。毎戦80台以上が参戦するため、FIA/JAF公認の国際格式・全日本選手権の各カテゴリーに参戦歴があるドライバーが参戦するプロフェッショナルシリーズと、アマチュアドライバーが参戦するクラブマンシリーズの2クラスに分けられている。
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第4戦目となる岡山県・岡山国際サーキット。梅雨の最中の7月1~2日開催ということもあり、雨が降ったり止んだり。非常にマシンセッティングが難しい闘いとなった。
西日本地域でのモータースポーツ人気を引き受けている岡山国際サーキット、通称オカコクは、年々少しずつ設備も施設も改善しつつある。GR 86/BRZ Raceでこのサーキットが「地元」となるチームやドライバーは数多い。チームでいえば岡山トヨペットだけでなく、隣県の神戸トヨペット、そしてネッツ兵庫があり、ドライバーでは#47蒲生尚弥選手(トミカネッツ兵庫BS86B)が居る。テクニカルなコースだけに地元勢は有利に違いない。 今年2月にコースが全面的に舗装し直されたこともあって、その変化もテストなどで経験済みの地元勢に有利だ。 ただし今回のレースには、ひとつのトラップが仕掛けられていた。それは6月30日(金)と7月1日(土)の2日間、鈴鹿サーキットでスーパーGTの合同テストが実施されていたことだ。 プロフェッショナルシリーズにはスーパーGTに参戦しているドライバーが数多い。そのため予選を土曜日に設定することができず、日曜日の朝に予選、午後に決勝レースというワンデーレースとなった。 スーパーGTに参戦しているドライバーが忙しくなっただけか?? と思えなくもない。 しかしレースはそんなに単純ではなかった。土曜日はすでに他のレースが行われているレースデーなのだが、プロフェッショナルシリーズのために夕方に専有走行枠が設定された。 ここでマシンの最終的なチェックをするわけだが、そのひとつに路面のチェックもある。そのためスーパーGTの合同テスト2日目をパートナーに任せて、オカコクにやってきたドライバーも少なくなかった。そして、結果として、この走行枠を走ることができなかったドライバーは、大きく沈んでしまった。
目まぐるしく変化する天候 セッティングが決定できない
なにしろ梅雨時期である。合同テストに参加するので金曜日に走れないことを見越して、火曜日からテストに入っていたチームもあったようだが、雨が降ったり止んだり、なかなか思うようにテストが進まない。さらに金曜日の朝イチには、スコールのような雨が降り、路面状況を大きく変えてしまっていた。 木曜日まで好調だった#60服部尚貴選手(OTG DL 86)は、スーパーGTでは運営側なので合同テストを離れるわけにもいかない。結果21位に沈んでしまった。このレースからグッドイヤーとダンロップはニューバージョンのタイヤを登場させ、事前のテストではトップ争いができるタイムを出していただけに、残念な結果となった。
真夏のような強い日差しの下で始まった予選、路面温度が高いこともあって、アタックは1周というのが常識的な線だ。そこで真っ先にタイムを出したのは地元・蒲生尚弥選手(上の写真)で、1分51秒319。アタックする選手は続くが、そのタイムには届かない。
昨年のオカコクの勝者であり、今季初参戦となった#90阪口良平選手(大阪トヨタ86レーシング・上の写真)が1分51秒576を出すが、わずかに届かない。チームが地元の#906新田守男選手(AREA86倉敷)がそれを上回る1分51秒451。 昨年まで阪口良平選手を擁してトップ争いをしていたチームだが、チーム体制を一新しドライバーをチェンジした今年はここまで苦戦が続いていた。それが地元オカコクで見事な予選タイムをマークした。
最後にアタックした#1佐々木雅弘選手(小倉クラッチREVO86BS)も、蒲生尚弥選手のタイムにわずかに届かずに2位。新田守男選手が3位、阪口良平選手が4位となった。ちなみに蒲生尚弥選手は2013年のオカコクで優勝しているが、ポールポジションは今回が初めてだった。
決勝スタート2時間前に降雨 ウェットかドライか悩む選択
プロフェッショナルシリーズの決勝レースが始まる2時間前、クラブマンシリーズの決勝Aレースが行われた。その中盤、大粒の雨がパラつき始め、コースに降り注いでいた。そして決勝グリッドに並んだマシンたちもまた、コースイン直前に降った雨に濡れていた。 チームとドライバーはセットアップをドライに合わせるのか、ウエットに合わせるのか、それとも中間的なものにするのか、判断が迫られた。 予想はたやすいことでないことは、みんなが判っていたに違いないが、スタートまでの短い時間で結論を出さなくてはならない。そして、多くのチームがグリッド上でタイヤの内圧の修正をしていた。
スタートは2番グリッド、イン側の佐々木雅弘選手(上の写真)がポールポジションの蒲生尚弥選手を抑えて1コーナーでトップに立った。そこから少しずつ2台の距離は拡がっていく。バトルは2コーナーで終了していたように見えた。そしてチェッカーフラッグは、このままの順序で受けることになった。気まぐれな天気も、決勝レースは曇りのままで、雨が降ることはなかった。
3番グリッドからスタートした新田守男選手は、100名近いサポーターの見守る中、今シーズンの初の上位進出を、表彰台を獲得するために、3位をキープしてレースを進めていた。しかしグリッド上で雨を予想して高めたタイヤの内圧は、トップ集団の中でラップタイムは苦しいのは明らかだった。
新田守男選手の背後に迫っていたのは、6番グリッドからオープニングラップで4位に上がった#31青木孝行選手だった。前戦でも予選6位から見事優勝し、2連勝を果たした。好調をそのまま維持している。 2位蒲生尚弥選手が少し遠のいた6周目、1コーナーで青木孝行選手がオーバーテイクに成功、さらに#76小河諒選手(神奈川トヨタ☆DTEC86R)も続いたため、新田守男選手は5位へとポジションダウンした。 レースはそのまま進み、3位には4戦連続の表彰台となった青木孝行選手、4位に小河諒選手、5位が新田守男選手となった。同じくウエットでセットした阪口良平選手もレースペースが苦しくなり、最終的に9位でフィニッシュした。また土曜日に走れずに予選11位に沈んだ#97近藤翼選手(神奈川トヨタ☆DTEC86R)は、6位にまで順位を上げた。
しかしレース後の審議で、青木孝行選手に30秒加算のペナルティが下り、16位という結果に。これはスターティンググリッド上でスタート3分前の提示後に作業を行ったためだった。最後の作業が間に合わなかったゆえのペナルティだった。同じようなチームがいくつか居た(ペナルティにはなっていない)のだが、それには今回のレースではコースインが変則的だったことも影響したのだろう。
ともかくシリーズは佐々木雅弘選手の2勝、青木孝行選手の2勝、そこに近藤翼選手と蒲生尚弥選手がどう絡んでいくのか?? 不発に終わったグッドイヤーとダンロップのニュータイヤも、そのポテンシャルを発揮するのか?? 次戦は北海道・十勝スピードウェイで7月29日(土)~30日(日)に開催される。土曜日に予選と第5戦決勝、日曜日に第6戦決勝という変則的なダブルヘッダーになる。
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