最も手に届きやすい場所にあるウラカン
text:Richard Lane(リチャード・レーン)
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)
ランボルギーニは以前から、エントリーモデルのスーパーカーへ最も甘美な派生モデルを設定することを好んできた。
2009年にさかのぼれば、高い支持を集めたガヤルドLP550-2バルボーニがある。オリジナルのベビーランボ、ガヤルドが登場してから6年後に登場した、スペシャルモデルだ。
続いて登場したウラカンLP610-4と、だいぶ磨き込まれたウラカンLP580-2との間には、2年ほどの差しかない。最近、熱量の高いドライバーを悩ませるタネでもある。
先ごろ大幅に刷新を受けたウラカン・エボとして、クーペとスパイダーがリリースされたばかり。ところが早速ランボルギーニは、最新の宝刀を発表した。ウラカン・エボRWDだ。
従来までは「2」という数字で示されていたが、新しいウラカン・エボは名称の通り後輪駆動。しかもこのウラカンは、最も手に届きやすい場所にある。4輪駆動の通常のエボより、3万4000ポンド(459万円)も安いのだ。
ウラカン・エボRWDの英国価格は、16万4400ポンド(2219万円)。マクラーレン570Sの14万9000ポンド(2011万円)と、フェラーリF8トリブートの20万3500ポンド(2747万円)の間に位置する。
悪くない値段に思える。沢山のプションが用意されているから、あくまでもスターティング・プライスだけれど。
エンジンを外から眺めることができる、トランスペアレント・カバーは4860ポンド(65万円)。コンポジット・ブレーキディスクは5412ポンド(73万円)。デジタルラジオを付けるだけでも648ポンド(9万円)ほど必要となる。
聞きたくなるトップエンドでの咆哮
今回の試乗車の価格は、それらのオプションを上乗せして22万3000ポンド(3010万円)なり。
ウラカン・エボRWDが失ったのは、フロントタイヤを駆動するドライブシャフトだけではない。標準のエボには採用される4輪操舵システムと、かなり効果的に機能するトルクベクタリング・システムも省かれている。
車重はそのかわり33kg軽く納まる。美声を奏でる5.2LのV10エンジンからは、29psが引かれている。それ以外の部分は、チタン製のバルブなども含めて、ウラカン・ペルフォマンテから引き継いでいる。
最高出力のダウン幅は小さい。値の張る4輪駆動のウラカン・エボへ、スペックを気にするドライバーを誘導するために設けられた、差別化だろう。
ウラカン・エボRWDの最高出力は610psで、最大トルクは56.9kg-m。0-100km/h加速は、通常のエボは2.9秒だが、エボRWDも3.3秒でこなす。筆者も含めて、これだけあれば不満は感じないはず。
ウラカン・エボRWDは優れたドライバーズカーではある。だが、MRというレイアウトを享受するには、時間をかけて走り込む必要がある。
電子制御のシステムをすべてオフにすることで、好戦的なボディの内側に秘めた能力を完全に引き出せるようになる。サウンドも運動性能も非常に極めが細かく、乾燥した路面であれば、4輪駆動がなくてもトラクションにも不満はない。
エボRWDを走らせれば、ついV10エンジンのトップエンドで放たれる咆哮を聞かずにはいられない。大排気量の自然吸気エンジンは、4000rpmであっても暴力的に凄まじい。回転数が増すほどに、興奮も高まっていく。
現実的なスピードで流れるように楽しめる
このV10は、これまで製造されたロードカー向けのエンジンとして、最も素晴らしいユニットの1基だ。疑う余地はない。
デュアルクラッチのトランスミッションも輝かしい部分。大きく細身なシフトパドルは、弾く度に喜びを感じる。重み付けは丁度良く、超クイックに変速を決めてくれる。痛快なシフトショックを伴い、再び8500rpmのレッドラインめがけて回転数は高まっていく。
サスペンションは、スポーツでは一般道には硬すぎる。コルサは、もろに振動がドライバーを襲う。
穏やかに流したい場合、ストラーダモードを選べばダンパーは柔らかくなり、扱いやすさが向上。トランスミッションはエンジンの太いトルクを活かして、しずしずと仕事をこなしてくれる。
低速域での運転のしやすさは極めて優秀。短いホイールベースと速度を問わず機敏な身のこなしが、市街地でも走らせやすい。一方のアヴェンタドールは、大型タンカーが狭い運河を通るかのようですらある。
このウラカン・エボRWDで最も秀でた特徴といえるのが、より現実的なスピードで、流れるようなドライビングを楽しめること。熱狂度合いも穏やかではあるが。通常のウラカン・エボなら、クルマの本域を味わうには、危険な速度域に足を突っ込む必要がある。
後輪操舵がないから、中速域でのコーナリングはやや緩さを感じられる。一方で前輪のドライブシャフトがない分、切り始めはよりクリーンで軽快。バネ下重量も軽くなっているから、路面の起伏に対する滑らかさでも上だ。
サンタアガタの実力を瑞々しく
前方で車体を引っ張ろうとする力が発生しないことで、リアタイヤがクルマを押し出すような、ぐっと沈み込ませる感覚も備えている。ボディが完璧にフラットに保たれているとはいえない。それでも、リアタイヤで走らせているという満足感は遥かに高い。
アクセルペダルを踏み込みすぎれば、リタイヤはグリップ力以上に回ろうとする。繊細さは、通常のウラカン・エボ以上だ。
グリップ力は凄まじく、完全なオーバーステア状態とするには、重心移動を利用しながらクルマを激しく攻め立てる必要がある。後輪駆動だから、路面状態によってはテールが激しく振られる可能性もある。集中していないと、リカバーは難しいだろう。
フェラーリF8トリブートの方が、オーバーステア状態での遊び心はより寛大。本物のシリアスさ、という点では及ばないとしても。
典型的なランボルギーニより高い勇気が試され、濃密さを味わえるウラカン・エボRWD。サウンドや運動性能以上に、磨き込まれた操縦性こそ、最大のストロングポイントとなる。
ウラカンの購入を考えているなら、ウラカン・エボRWDがディーラーに並ぶまで、待っても良いと思う。サンタアガタの実力が、瑞々しく示されたモデルだ。
ランボルギーニ・ウラカン・エボRWD(欧州仕様)のスペック
価格:16万4400ポンド(2219万円)
全長:4520mm
全幅:1933mm
全高:1165mm
最高速度:325km/h
0-100km/h加速:3.3秒
燃費:7.2km/L
CO2排出量:330g/km
乾燥重量:1389kg
パワートレイン:V型10気筒5204cc自然吸気
使用燃料:ガソリン
最高出力:610ps/8000rpm
最大トルク:56.9kg-m/6500rpm
ギアボックス:7速デュアルクラッチ・オートマティック
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