2019年11月17日(日本時間11月18日未明)に行われたF1第20戦ブラジルGPは、レッドブル・ホンダのマックス・フェルスタッペンの優勝で幕を閉じたが、レース終盤、ドラマチックな結末が用意されていた。ピエール・ガスリー(トロロッソ・ホンダ)の2位入賞、ホンダの1-2フィニッシュ達成を追う。
残り10周での激しい2位争いは劇的な結果に
レース終盤、60周目、セーフティカー後の攻防でフェルスタッペンとハミルトンの優勝争いに決着はついたが、残り11周、2位以降の争いはまだまだ続いていた。
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この時点での順位は、2位ハミルトン、3位アレクサンダー・アルボン(レッドブル)、4位セバスチャン・ヴェッテル(フェラーリ)、5位シャルル・ルクレール(フェラーリ)、6位ガスリー。しかし、ハミルトンはミディアムタイヤのままステイアウトしていたため、難しい状況に立たされていた。
ところが、有利なはずのフェラーリ2台がここで接触。ともにタイヤをバーストさせてストップ。これで再び出されたセーフティカーでハミルトンがタイヤ交換に入ったことで、順位は2位アルボン、3位ガスリー、4位ハミルトンとなる、
このままならばホンダ勢の1-2-3フィニッシュとなるが、レースはここからもうひと波乱。セーフティカー明けの残り2周、最後の攻防で、ハミルトンが素早くガスリーをかわし3位に順位を上げ、さらに2位のアルボンに仕掛けたが、インフィールドで両者は接触してしまう。
アルボンはスピンして後退、ハミルトンはガスリーに先行されて、2位ガスリー、3位ハミルトンという展開に。そして残り1周、ガスリーはなんとかハミルトンの追撃をしのいで、自身初の表彰台を獲得したのだった。
なお、3位でフィニッシュしたハミルトンにはレース後、アルボンとの接触により5秒のタイムペナルティが課され、7位に後退している。
F1で初めての表彰台を獲得したピエール・ガスリーはレース後、「僕にとってF1で初めての表彰台をトロロッソ・ホンダと共に獲得できて、本当にうれしいです。最後のバトルではホンダのパワーユニットを信じていました。毎戦さまざまな戦いをしてきましたが、いつも『その時がくればきっと叶うはず』と信じていましたが、今日実現できました。本当に素晴らしく、色々な感情が入り混じった気分です。チームのことはいつも『イタリアの家族』だと思っていましたし、彼らの情熱と、常に最大限までプッシュする姿勢が大好きです。今日の結果は、僕が彼らの日頃の努力にお返しできる、最高の感謝のプレゼントです。F1で走ることを夢見て、そしてその表彰台を目指してきました。でも、いざそれが叶った今は抱えきれないほどの色々な感情でいっぱいになり、何と表現していいか分からないくらいです。言えることは、今日が人生最高の日だということでしょう。僕がレーシングドライバーを目指してから支えてくれたすべての人に感謝しています。皆さんのおかげで今日の表彰台を獲得することができました、ありがとうございます」とコメントしている。
トロロッソを担当するホンダの本橋正充チーフエンジニアは「今日のレースは、最後まであれだけの接戦を制しての2位ということで、感無量です。また、トロロッソとのシーズン2度目の表彰台獲得ということもあり、特別な想いです。今週は金曜からパワーユニットにトラブルが出ていたりもしましたが、チームやドライバーの協力のおかげでなんとかリカバリーできました。ガスリー選手については昨年のトロロッソとのプロジェクトスタートから2年間一緒にやってきて、昨年は4位といういい結果を出すことができました。ただ、今年は彼自身、チームの移籍などもあり苦しい時間があったと思います。トロロッソに戻ってきてからは徐々に調子を上げてきての今日の結果ですので、本当におめでとう、ありがとうという想いです。いい結果を出すことはできましたが、ホンダとしてはまだまだ高いところを目指さなくてはいけないと思っていますので、ここからも進歩を続けていければと思っています」と語ってくれた。
なお、ガスリーのチームメイト、ダニール・クビアトも10位入賞。ホンダエンジンのパフォーマンスを示すとともに、チームに貴重なポイントをもたらしたクビアトは「16番手からスタートした今日のレースは、簡単にはいかないと予想していました。あまり語ることは多くありません。難しいレースでしたが、セーフティカー後のリスタートで3台オーバーテイクすることができ、1ポイントを獲得することができたのはポジティブに捉えています。トロロッソにとって今シーズン2度目の表彰台獲得です。中団チームの中でそれを成し遂げたのは僕たちだけではないでしょうか。日頃の努力が実ったこの成果はとても喜ばしいことです。今日のレースで多くのポイントを獲得し、チームのランキングは6位を奪還することができました。今日の結果はチームにとって大きな前進の表れになりました」とコメントしている。
また、残り2周まで2位を走行しながら、ハミルトンとの接触で14位に終わったアレクサンダー・アルボンは「悔しいのはもちろんですが、怒っているわけではありません。ただ、とても残念です。表彰台獲得に値するレースができていたので、どうしてもチームのために成し遂げたかったのです。セーフティカー解除後にリスタートしてから、フェラーリとのバトルではオーバーテイクもできて、レースを楽しむことができました。ピットインをした後のルイス(ハミルトン選手)はグリップもよさそうだったので、ターン1でオーバーテイクされてしまうかもしれないと予想はしていましたが、最低でも3位は獲得できるだろうと思っていました。ルイスとの距離にも余裕があったので、特に心配はしていませんでした。コーナーで彼からのアタックを阻止するためにインを閉めたところ、ブラインドスポットに気づかずお互いが接触してしまうことになってしまいました。もちろん彼の行動はわざとではなかったことも理解しています。レースでは起こってしまうことであり、今日はついていない日だったのだと思います。終わってしまったことなので、次のレースに向けてポジティブに取り組んでいくことが必要です。マックス(フェルスタッペン)おめでとう!彼の今日の走りは優勝するにふさわしい、素晴らしいパフォーマンスでした」とインタビューに応えている。
次戦は最終戦第21戦アブダビGP(決勝12月1日)となるが、このレースも楽しみになってきた。
F1第20戦ブラジルGP決勝 結果
優勝 33 M.フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ) 71周
2位 10 P.ガスリー (トロロッソ・ホンダ)+6.077s
3位 55 C.サインツ(マクラーレン・ルノー)+8.896s
4位 7 K.ライコネン(アルファロメオ・フェラーリ)+9.452s
5位 99 A.ジョビナッツィ(アルファロメオ・フェラーリ)+10.201s
6位 3 D.リカルド(ルノー)+10.541s
7位 44 L.ハミルトン(メルセデスAMG)+11.139s
8位 4 L.ノリス(マクラーレン・ルノー)+11.204s
9位 11 S.ペレス(レーシングポイント・メルセデス)+11.529s
10位 26 D.クビアト(トロロッソ・ホンダ)+11.931s
14位 23 A.アルボン (レッドブル・ホンダ)+14.927s
2019 F1ドライバーズスタンディング
1位 L.ハミルトン(メルセデスAMG)387
2位 V.ボッタス(メルセデスAMG)314
3位 M.フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)260
4位 C.ルクレール(フェラーリ)249
5位 S.ヴェッテル(フェラーリ)230
6位 P.ガスリー (トロロッソ・ホンダ)95
2019 F1コンストラクターズスタンディング
1位 メルセデスAMG 701
2位 フェラーリ 479
3位 レッドブル・ホンダ 391
4位 マクラーレン・ルノー 140
5位 ルノー 91
6位トロロッソ・ホンダ 83
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