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フォルクスワーゲン 新型ポロ試乗レポート 8年振りのモデルチェンジでBセグメントの常識をまた打ち破る

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フォルクスワーゲン 新型ポロ試乗レポート 8年振りのモデルチェンジでBセグメントの常識をまた打ち破る

2018年3月20日、フォルクスワーゲンは8年振りにモデルチェンジした新型ポロを発売した。タイプAWと呼ばれる新型ポロは、2017年6月にベルリンでワールドプレミアされ、2017年末からヨーロッパで発売が開始されている。<レポート:松本晴比古/Haruhiko Matsumoto>

■6代目はMQBプラットフォームに

ホンダ雪上試乗 3つの四駆システムを使い走りにこだわるホンダらしさを体感

その新型ポロが早くも日本市場に投入されることになった。日本に導入されるのは1.0L 3気筒TSIエンジンに7速DSGの組み合わせだ。グレード展開は、トレンドライン(受注生産)、コンフォートライン、ハイラインの3機種で、トレンドラインはセーフティパッケージなど運転支援システムをの装備は選べないが、209万8000円と国産車並みの価格に設定。フル装備モデルのハイラインは265万円となっている。

新型ポロは、MQB-A0プラットフォーム、つまりMQBのコンパクトカー用プラットフォームを採用し、ボディフォルムはワイド&ローの、よりスマートでダイナミックな佇まいになっている。

ちなみに従来型ポロ(6R)は2014年8月のビッグマイナーチェンジで、プラットフォームのフロントセクションを改良しMQBコンセプトを先取りした形になっており、搭載エンジンもMQB対応ユニットに変わっている。だが、今回の新型からフルMQG仕様になったわけだ。

ボディサイズは全長4060mm、全幅1750mm、全高1450mm、ホイールベース2550mmで、全幅は65mm拡大され、全長は+65mm、ホイールベースは80mm延長され、その一方で全高は10mm低められている。

特にホイールベースの延長により、室内空間は大幅に拡大され、ラゲッジ容量も280Lから351Lへとボリュームアップ。もはやかつてのCセグメント・ハッチバックと同等レベルの居住性、実用性を実現しているといえる。

新型ポロは、新世代コックピットを採用し、オプションのインフォテイメント「ディスカバーPro」を装備できる他に、スマートフォンを接続してナビ情報や最新情報検索ができる「フォルクスワーゲンCar Net」に対応するなど、ゴルフ・クラスと同等の装備に進化している点も特長だ。

またドライバー支援システムも、一部はパッケージオプションながら、ゴルフ・クラスと同等の装備になっており、特にハイラインは全車速追従機能付きアダプティブクルーズ・コントロールを標準装備するなど、先進安全システムでもBセグメントでトップレベルとなっている。

■試乗インプレッション

試乗車は、新しいテーマカラーの「エナジェティック・オレンジメタリック」のハイラインで、オプションの「ディスカバーPro」も装備したフル装備車だ。

走り出してまず感じるのは車体の軽さ、フロントの軽さだ。その理由は、やはり1.0L 3気筒エンジンの搭載が大きいと思う。この軽さ感は、加速やコーナリングなどいろいろなシーンで効いている。

まずエンジンだが、従来型ポロはこれまで各種のエンジンを搭載してきた経緯があり、SOHCの1.2L 4気筒TSI(105ps)、DOHCの1.2L 4気筒TSI(90ps)、1.0L 3気筒TSIブルーモーション(95ps)などだが、メインはあくまでも1.2L 4気筒エンジンだった。

しかし今回の新型は1.0L 3気筒TSIに絞られた。本国仕様では1.0LのNA(65ps)、天然ガス仕様の1.0L、4気筒の1.5 TSI(150ps)、1.6TDI(80ps/95ps)など多様なバリエーションがあるが、1.0 TSIはその中のメインエンジンとされている。しかも、この1.0L TSIも日本向けの95psと、よりハイパワーの115ps仕様があるという多彩ぶりだ。

日本に導入される1.0 TSIは最高出力95psで、最大トルクは175Nm。従来型の前期タイプに搭載されたSOHC 1.2Lエンジンと同じトルクになっている。さすがに加速時は3気筒エンジンのビートだが、トルク感はしっかりある。ただ、エンジンの特性はより低回転型になっているので、エンジンを引っ張った時の伸び感、爽快感は4気筒にはかなわない。そういう意味で、新型ポロの3気筒は、より実用域に絞ったエンジンといえる。

7速DSGとの組み合わせも従来どおりで、Dレンジはエコモードで、早め早めのシフトアップを行ない、Sモードではよりエンジンを引っ張り、早目にシフトダウンする設定であるのも変わりはない。

シャシーに大きな変更はなく、ステアリングのフィーリングもこれまでと同じで、車速にかかわらず自然で正確なステアフィールだ。タイヤは195/55R16とエアボリュームもたっぷりとあるサイズを履く。タイヤ空気圧の指定はフルロードのF:250kPa、R:270kPaから軽荷重時のF:220kPa、R:200kPaまでの幅があるが、試乗車は軽荷重用の設定だったが、それでも少しタイヤと路面の当たりが思ったより強めだった。

これはタイヤの特性か、あるいはダンパーの慣らし不足なのか判別できなかったが、機会があればもう少しタイヤ空気圧を変えて試してみたいところだ。

走行中の静粛さはこれまでもクラスでトップレベルだったが、その点は新型ももちろん継承されている。また、乗り心地のフラット感や安定感も相変わらずクラストップの水準にある。

■進化したインテリア、装備

インテリアは、従来型より拡大されている。ボディサイズはほぼゴルフ4と同じだが、インテリアの広さもゴルフ4並だ。インスツルメントパネルは相変わらずビジネスライクだが、手に触れるアッパーパネルなどはソフトパッドで覆われ、スイッチ類やエアダクトなどの仕上げも、上級クラスに勝るとも劣らない質感を備えている。

従来型と変わった点は、インスツルメントパネルの高さが少し高くなったことで、なんとなく前方視界が狭くなったような印象だが、視界そのものはAピラーの位置の後退などにより、むしろ向上している。

シートも改善されている。これまでは座面の前後長が少し短めだったが、新型はそうした感触はないし、座った感覚も太もも裏側の支持がしっかりされるようになっている。

ドライバー支援システムでは、全車速追従型ACCは、自動発進・停止機能付きへと進化しており、歩行者検知機能付きプリクラッシュブレーキを全車標準装備に。また新たに後退時接近車両アラート付きのブラインドスポットアシストなども装備されるなど、このクラス随一の充実ぶりで、これも新型ポロのハイライトだ。

新型ポロは、デザイン的には6R型からの正常進化であることが見ただけで直感できる。フロントはやや幅が広がったデザインだが、リヤのコンビネーションランプの処理などはLED化されていることを除けば、従来型と大きなテイストの変化はない。

ボディパネルのシャープなエッジ処理と圧倒的ともいえるパネル精度がもたらすボディの質感も健在で、ポロ独自の精密感を生み出している。また新型ポロの走りも、従来モデルの延長線上にあり、違和感なく走り出すことができる。こうした点は、10年を経過しても飽きない、時代遅れにならないというフィロソフィーの現れだ。

ただ、ヨーロッパ市場ではBセグメントのハッチバックではルーテシア(クリオ)がその圧倒的なデザイン性や存在感のアピールが成功してトップを奪っている。新型ポロはマーケットシェアを逆転できるだろうか?

フォルクスワーゲン ポロ 関連情報
フォルクスワーゲン 関連情報
フォルクスワーゲン・ジャパン公式サイト

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