■ドライバーの異変を感知したら、ボタンひとつでバスが停止する?
自動車メーカーは常に新しい技術を開発しており、その最新技術はバスにも採用され、ハイブリッドシステムや車線逸脱装置、アイドリングストップやLEDヘッドライトなど、多くの最新装備が使用されています。
なかでも、運転手の過密スケジュールが原因とされる事故が多発している近年、注目を集めているのが「ドライバー異常時対応システム」で、非常事態時にドライバー以外の乗員が非常停止スイッチを使い、強制的にクルマを停車させることができる仕組みです。
「ドライバー異常を検知する機能」「車両を減速停止させる機能」「システムの状態を報知する機能」の3つの機能で構成されるシステムで、まず、非常停止スイッチが押されると、車内には警報と緊急停止のアナウンスが流れ、車外への周知としてハザードランプの点滅やクラクションの連続作動が行われます。
そして、スイッチが押されてから3.2秒以内に運転手からの応答がなければブレーキが作動し、ゆっくりと停止します。
最新車種であれば標準装備されている場合も多いため、乗車時は万が一に備えて非常停止スイッチの有無を確認してみましょう。
次に、多くの人が乗り降りするバスで気になるのが、車内の空気の汚れです。
体調が悪くて病院に向かうためにバスに乗車する人もいれば、風邪気味なのに楽しみにしていた旅行に参加しているという人もいるでしょう。そんな時に役立つのが「除菌イオン発生装置」です。
高濃度のプラズマクラスターイオンによって、車内に浮遊しているウイルスやホコリがキャッチされ、常に奇麗な空気を維持してくれます。
また、空調システムを作動している間は常に除菌イオンが発生しているため、カビ菌やアレル物質の抑制といった効果も期待できます。
ほかにも、最近の長距離バスには「コンセント」の設置が当たり前になりつつあります。コンセントは足元や肘掛け付近に設置されることが多く、ノートPCやスマートフォンを常に使用する人にとっては、かなり便利な装備です。
電源は「家庭用コンセント」と「USBタイプ」の2種類が主流で、家庭用コンセントであればアダプター充電器が必要となりますが、USBタイプであればケーブルひとつで充電が可能。バスのコンセントは充電専用となっているため、電化製品などには使用できません。
※ ※ ※
大型バスやトラックの最新装備について、日野自動車の担当者は以下のように話します。
「現在、2018年発売以降の大型バスであれば、ドライバー異常時対応システムは標準装備されています。
2012年、2016年の長距離バス事故などをきっかけに、ニーズが高まり、標準装備することになりました。
その他の最新装備も、お客様であるバス会社の要望のひとつひとつに対応しているため、オーダーメイドに近い状況です」
※ ※ ※
長距離バス事故の影響などによって安全性に注目が集まる大型バスは、かつてはオプション装備であったシステムも標準化されているようです。
しかし、安全装置があるからといってドライバーを酷使して良いわけではありません。まずは、ドライバー異常時対応システムを使う日が来ないよう、社会全体で運転手のケアに注力すべきでしょう。
近年のバスは驚くほど進化を遂げています。今回紹介した以外にも、座席の隣同士がパーティションで仕切された車種や、飛行機のファーストクラスをイメージした個室タイプの車種などが人気を集めている状況です。
現在はシートひとつにもこだわりが詰まっており、乗客にとっていかに快適な空間であるかが問われる時代となっています。
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ドライバーの急な体調不良時は、このボタンを押すとハザードが点灯し、センサーが車間や路端の距離を割り出しゆっくりと左に寄せて停止する。
このバスの装置の場合はどうなのでしょう?
善意の意図なのは勿論承知するが、もしも走行中に乗客が押したボタンでの非常停止で事故が起きた場合の責任の所在や法的対応など、実は課題が多いのでは。
たかがブレーキとはいえ、運転免許証を取得した運転手が行っている「業務」との位置づけなのだから。