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「バイク版テスラ」爆誕? ハーレーが台湾と手を結びEV新会社設立のワケ

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「バイク版テスラ」爆誕? ハーレーが台湾と手を結びEV新会社設立のワケ

 ハーレーダビッドソンが電動バイクの新会社を米国で設立し、上場企業として株式を公開した。同時に、台湾シェア1位のキムコと手を組み、2026年に10万台のEV販売を目指すことも発表。

 ミニから超高級の大型バイクまで取り揃え、二輪EVのトップブランドとなる「バイク版テスラ」の誕生か? さらに国内メーカーのヤマハがプロトイタプのEVを発表するなど新たな動きが。最新の電動バイク情報を一挙に紹介しよう。

【車名当てクイズ】この名車、迷車、珍車、ご存じですか? 第59回

文/沼尾宏明、写真/HARLEY-DAVIDSON、YAMAHA、HONDA

[gallink]

ハーレーがキムコとタッグを組み、2026年に販売10万台を狙う

 世界的な二輪メーカーであると同時に、アメリカを代表するブランドでもあるハーレーダビッドソン。巨大なクルーザーが余りにも有名だが、近頃は他メーカーに先駆けて大型の電動(EV)スポーツバイクのライブワイヤーを市販化するなど、新しいセグメントへの進出が盛んだ。

 ライブワイヤーは米国で2019年、日本では2020年末に発売開始。最高出力105psを誇り、0→100km/h加速はわずか3秒のモンスターだ。そして2021年5月、車名そのものを企業名に掲げる新会社「ライブワイヤー」を立ち上げた。

 これは、ライブワイヤーを含むEVバイクをハーレーから独立させ、二輪EV専門ブランドとして世界の電動バイク市場をリードするのが狙い。バーチャル本社をインターネット上に設け、IT技術のメッカであるカリフォルニア州シリコンバレーにも拠点を置く。

従来モデルは「ライブワイヤーワン」として、旗艦の位置付けでラインナップされる。プロジェクトハッカーはプロトタイプ

 さらに2021年12月13日、新しい上場会社としてライブワイヤー社がニューヨーク証券取引所にIPO(新規株式公開)することを発表した。特別買収目的会社のABIC(AEA-Bridges Impact Corp)を通じて、合併などの企業結合契約を締結し、ライブワイヤー社が米国最初の上場2輪EV企業になるという。

 加えて、ライブワイヤーと、台湾のバイクメーカーであるキムコが、電動バイク開発に関するパートナーシップを結ぶことも公表された。

 キムコは、エンジン搭載のスクーターを中心に20年連続で台湾の新車販売1位を獲得するブランド。ただしEV販売では同じく台湾のGogoroに大きく水を開けられている。キムコとしては、ハーレーとのタッグで台湾EV市場の巻き返しを図るのが目的だろう。

台湾のキムコは、電動モーターサイクルや、EVバイク初の2段変速機を備えたF9(写真)をショーで発表したが、まだ市販化には至っていない

 資金はABICが委託されている4億ドルのほか、ハーレーが1億ドル(約114億8000万円)、およびキムコが1億ドルを出資。株式は約74%をハーレーが保有し、ABICの株主が17%を、残りの4%をキムコとABICが保有する。合併会社の企業評価額は約17億7000万ドル(約2032億6000万円)、契約完了時の資金調達後価値は約23億1000万ドル(約2653億7000万円)に及ぶ。

 事業に関する取引は2022年前半に完了する予定。これで太平洋を挟んだグローバルなEVパートナーシップが形成されることに。2026年には全世界で販売10万台、2030年には19万台を目標とする。

 今回の上場により、「ライブワイヤーは新製品開発のための資金を調達し、市場投入モデルの計画を加速する自由が得られる」(ハーレーダビッドソン会長兼CEO ヨッヘン・ツァイツ氏)という。

現時点でのライブワイヤーの販売台数は387台ながら、4年後には258倍の10万台超という強気の目標を設定

モジュール方式でミドルや小型クラスなど多彩なモデルを展開

 今後の市販化プロジェクトも明らかになった。

 ライブワイヤーワンに続く第2弾としてミドルクラスの「ライブワイヤー S2 Del Mar」を投入予定。さらに、キムコと提携したスケールダウン版の「S3」、最新技術で航続距離などを改善した新たなフラッグシップ「S4」をリリースしていく。

発売予定時期などは未公表だが、今後は3車種の投入を予定している。第2弾のS2 Del Marは、拠点のあるカリフォルニアの町が車名の由来

 これらのモデルには「Arrow」という新たな共通プラットフォームが採用される。

 モーターをはじめ、バッテリー、インバーターなどがユニットごとに独立し、これらを用途に応じて組み合わせることで多彩なバリエーションを展開可能。バッテリーは大容量のセルを使用し、50、100、350、さらに400V以上の電圧を選択できる。そして冷却方式は空冷または水冷に対応。拡張性が高く、コストの抑制も可能だ。

投資家へのプレゼンテーションに登場した新プラットフォームの「Arrow」。ライブワイヤーS2など今後のモデルに採用される

Arrowは、エンジンに見える部分がバッテリーで、前部にステムをボルトで固定。電脳とラジエーターを前方下部に、モーターを後部に装着する

 Arrowは、従来のライブワイヤーワンと違い、バッテリーを強度メンバーとすることでフレームは最小限。軽量コンパクトな車体が期待できる。また、形状が2020年春にスケッチ公開されたフラットトラックスタイルの「EDT600R」と形状がよく似ている。

2020年に発表されたEDT600Rのスケッチ。EDT=エレクトリックダートトラッカーの意で、Arrowアーキテクチャが使われている模様だ

 Arrowのバッテリーユニットには「Revelation700」という文字が見える(ちなみに現行ライブワイヤーバッテリーは「Revelation」と呼ばれる)。これは、EDT600Rの「600」が「700」にシフトされたと予想できる。この数字は、恐らく内燃機関の排気量に相当すると思われ、700ccクラスの車格と動力性能を備えたEVとなるだろう。

 なお、キムコは自社の電動モデルにもS3プラットフォームを使用する予定。さらにライブワイヤー社は、ハーレーが2019年に買収したキッズ向けの電動スクーターブランド「STACYC」も取り扱う。

ペダルなし電動バランスバイクのStaCyc。子供が地面を足で蹴って進み、慣れたら電動で低速走行が可能だ

 子供時代からライブワイヤーのEVに親しみ、成長に応じて小型→ミドル→大型とステップアップできる。そんな電動バイクの総合ブランドになることをライブワイヤーは狙っているハズ。

 今だ電動バイクの覇権争いは先が見えず、混沌としているが、ライブワイヤーが今後リードを広げる可能性は十分ありそう。企業価値がさらに高まり、ライブワイヤー社が「二輪版テスラ」として持てはやされる日が来るのかも知れない。

12月5日に横浜ホットロッドカスタムショーで空冷スポーツスターのファイナルエディションを発表したハーレー。旧来のエンジンモデルと別会社にすることで多額の投資を募り、生き残りを賭ける

ヤマハが2022年春から125クラスのEVを国内でもリース販売

 ライブワイヤーの上場は、国産メーカーにとって脅威だが、ヤマハ、ホンダも動きを見せている。

 ヤマハは2021年12月15日、125ccクラスの二輪EVを報道向けに初公開した。同社は台湾のGogoroからOEM供給を受けて125クラスの電動バイク=EC-05を台湾で販売中だが、自社開発の同クラスEVは初めて。2022年春から欧州と日本で実証実験を兼ねたリース販売を予定しており、以降は台湾や東南アジア圏での投入を予定している。

ヤマハが発表した125クラスのEV。2019年の東京モーターショーで公開した「E01をベースに開発を進めてきた

車体サイズはこんな感じ。50cc級より明らかに大きく、安定感が高そう

 スペックなどの詳細は未発表ながら、現在発売中の電動スクーター=E-ビーノのようなバッテリー着脱式ではなく、プラグイン充電を採用。航続距離も不明だが、E-ビーノのカタログ数値29kmより圧倒的に長い模様だ。

 また、この車両とは別に、50ccクラスのEVスクーターを欧州で販売する。こちらは着脱式バッテリーを採用する予定で、一般販売となるか。

ホンダは2023年にも個人向けEVを日本で販売か?

 世界最大の2輪メーカーであるホンダは、三部敏広社長が2021年4月の社長就任時に、「2024年までにパーソナル領域の50ccおよび125ccクラスに3機種の電動バイクを、さらにFUN領域でも商品を投入する」と発表。情報筋によると、「2023年にも市販化する」との噂だ。

 スクータータイプのほか、スポーツバイク風のモーターサイクルの登場に期待したい。

 現在、ホンダは一般ユーザー向けのEVバイクを販売していない(法人向けのリース販売はあり)。だが、中国市場では個人向けのEVスクーターを販売中。ホンダの中国における二輪車生産&販売合弁会社である「五羊ホンダ」が2021年8月から発売を開始した。50ccクラスのU-BEは日本円で約5.5万円~、125ccクラスのU-GOは約13万円とリーズナブルな価格設定が魅力だ。

50ccクラスのU-BEは、ペダル付きで定格出力3.5kW。最高速は25km/hながら、航続距離80kmを誇る

U-GOは本格的。125cc相当と126cc超相当の2種が用意され、後者の最高速は53km/hをマークする。フル充電で最長65kmの走行も可能

 ライブワイヤーの包括的な戦略に比べ、国内メーカーはまだ出遅れている印象。トヨタが一挙にBEV16車種を発表し、世界に衝撃を与えたことは記憶に新しいが、それに匹敵するインパクトを見てみたいと思う。

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みんなのコメント

6件
  • 爆誕。。。子供じゃないんだからそう言う単語を記事に使ってほしくない。
    そんな単語使うのは月刊てれびくんやコロコロコミックくらいなもんですよ。
  • バイクの電動化は台湾がリードすると思う、日本メーカーも現地法人を通じていろいろやっている。日本政府が重い腰上げてからじゃ遅いからね、バイクメーカーはそういう面で日本政府に何も期待していない、そうして世界で戦ってきた。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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