WEC世界耐久選手権のトップカテゴリーであるハイパーカークラスに7号車と8号車、計2台の『トヨタGR010ハイブリッド』を投入しているTOYOTA GAZOO Racingは、6月12~16日にフランスで開催される第92回ル・マン24時間レースで通算6度目となる総合優勝を目指す。
F1のモナコGP、アメリカのインディ500と並び“世界三大レース”のひとつに数えられるル・マン24時間は、WECのシーズン最大のイベントだ。トヨタは1985年からル・マンへの挑戦を開始し、これまでに8回のポールポジションと17回の表彰台を獲得。そして2018年から5連覇を果たしている。
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通算6勝目を目指すことになる今回大会に向けては、引き続き7号車を駆るマイク・コンウェイ/小林可夢偉/ニック・デ・フリース組と、現WECチャンピオンであるセバスチャン・ブエミ/ブレンドン・ハートレー/平川亮組8号車の各トリオが参戦することになる。なお、彼ら6名のドライバーのうち5名が、ル・マンでの優勝を経験済みだ。ブエミは通算4勝、ハートレーが3勝、コンウェイ、小林と平川は各1勝を挙げている。
トヨタが走らせるGR010ハイブリッドは、100パーセント再生可能燃料を使用する3.5リッターV6ツインターボエンジンと最大200kW(272ps)のハイブリッドモーターの組み合わせた四輪駆動システムが採用されているル・マン・ハイパーカー(LMH)規定車。このクルマのライバルとなるのは、同じくLMH車両を走らせる昨年の覇者フェラーリをはじめ、プジョー、イソッタ・フラスキーニ、北米IMSAシリーズ生まれのLMDhカーでWECに参戦しているキャデラック、BMW、ランボルギーニ、アルピーヌ、そして今季すでに2勝をマークしているポルシェという面々だ。
3月に行われた開幕戦カタール以降、トヨタを含めた9つのハイパーカーは毎戦のように激戦を展開しており、まもなく迎える“シーズンハイライト”のル・マン24時かレースでもふたたび、激しいバトルが繰り広げられることが予想される。
そのル・マンでは、TOYOTA GAZOO Racingヨーロッパの副会長であり、ル・マン3連覇を成し遂げた10人のうちのひとりである中嶋一貴が、6月15日(土)のスタート時にフォーメーションラップを先導するグランドマーシャルを務めることが決定している。
ル・マンの長いレースウイークは6月7日(金)から2日間かけて行われる公開車検からスタート。8日(土)午後にはル・マン市内でパレードが行われる。翌日は“テストデー”となり、サルト・サーキット(正式名称:ル・マン24時間サーキット)で6時間におよぶテストが予定されている。
公式セッションとなるフリープラクティスは12日(水)に1回目と2回目が設定され、この間に予選が実施される。この予選は翌日のプラクティス3と同4の間に行われるハイパーポールに進出する上位8台のマシンを決定するもので、ハイパーポールでは決勝レースを上位からスタートする8台のスターティンググリッドおよび第92回大会のポールシッターが決定する。24時間にわたる決勝レースは15日土曜16時(日本時間23時)にスタートが切られる予定だ。
トヨタは16日、このレースでの勝利を目指すTGRチームを応援するパブリックビューイングを、神奈川県のトレッサ横浜、静岡県は裾野市民文化センター、さらに岐阜県のカラフルタウン岐阜で実施する。イベントの詳細は決まり次第、5日に公開されたル・マン24時間特設サイト(https://toyotagazooracing.com/jp/wec/special/2024/24h-lemans/)で案内される。
■「何が起こるかわからない」「ル・マンの女神が微笑んでくれることを願う」/TGRドライバーコメント
●小林可夢偉(チーム代表兼7号車ドライバー)
「東富士、ドイツ・ケルン、そして多くのトヨタファミリーとパートナーの皆さま全員がこの1年間、全力でル・マンに向けて準備に取り組んできました。これから10日間にわたる、強力なライバルとの戦いが待っており、トップを争うためには最高の状態で臨まなければなりません。ル・マンで新たな勝利を勝ち取るためには、チームスピリットと経験、努力のすべてが必要ですが、我々は全員がそれを成し遂げるべく決意を固めています」
「世界中から集まったファンの皆さまの応援により、ル・マンは独特の雰囲気を持つ特別なレースになります。市内中心部で行われる車検から表彰式まで、つねに応援を背に感じながらレースを戦います。その一員として、またあの場所に参加するのが待ちきれません」
●マイク・コンウェイ(7号車ドライバー)
「ル・マンはつねにシーズン最大のレースであり、もっとも楽しみなレースだ。我々はこのル・マンのためにクルマを開発しているといっても過言ではない。チーム全員が良い結果を望んでいるが、イモラで我々も最大のパフォーマンスを発揮すれば勝てる、ということを証明した」
「非常に速いライバルとの大変な戦いが待ち受けていて、困難であることはわかっている。100パーセント最高の仕事をしなくてはならないし、ル・マンでは運も必要になる。高い目標とともにイベントに臨み、可能な限り最高の結果を目指すつもりだ。コントロールすることが難しい要素も多いけれど、それがレースというものだし、ベストを尽くすよ」
●ニック・デ・フリース(7号車ドライバー)
「ル・マンは世界でもっとも格式高く、象徴的なレースのひとつなんだ。WECを戦うすべての人にとって1年で最大のレースであり、誰もが勝利を望んでいる。それはもちろん我々にとっても同じことだ」
「僕にとってトヨタのレーシングドライバーとして初めてのル・マンなので、とてもわくわくしている。2022年にテストドライバーとしてチームに加わり、その年はLMP2クラスでル・マンを戦ったが、今年は総合優勝を目指して戦うことになる。多くのチームとマニュファクチャラーによるバトルが繰り広げられることになる、耐久レースにおいてとてもエキサイティングな時代を今は迎えている。長いレースウイークだけど楽しみだし、ル・マンの女神が微笑んでくれることを願っているよ」
●セバスチャン・ブエミ(8号車ドライバー)
「ル・マンは特別なレースであり、チームを構成する全員とその家族の協力の上に成り立っている。このイベントは一緒に旅をするようなもので、勝つためには限界までプッシュする必要があるんだ」
「100年におよぶ独自の歴史を誇り、30万人を超えるファンの皆さまが見守るなかで、60台以上のレースカー、そして、多くのマニュファクチャラーが競い合う偉大なレースだ。加えて、舞台となるコースも素晴らしい。コースは公道も使っていて、1年のうち1週間しか走ることができない。走った感触も、今ではなかなか見かけられない、昔ながらのサーキットそのものだ」
●ブレンドン・ハートレー(8号車ドライバー)
「ル・マンは僕たちのハードワークの目的そのものだ。ル・マンは恐らくシーズン全体よりも大きな位置づけにある。今季のスタートが最高のものではなかったとしても、準備は万端だと感じているし、チームメイトやチームのすべてのメンバーと全力を尽くして表彰台の中央を目指し戦いたいと思っている」
「昨年は本当に信じられないほどの大観衆だったが、今年はさらにライバルが増えることで、また世界中から熱狂的なレースファンの皆さまが集まってくることだろう。さまざまな感情をもたらしてくれる特別なレースだ。準備はできているよ」
●平川亮(8号車ドライバー)
「私にとって5度目のル・マンで、TGRでは3度目となりますが、シーズンの中の本当にエキサイティングなレースウイークが待ちきれません。24時間を戦い終えて、表彰台の頂点に立ったときの感覚は他の何物にも代え難いものです。耐久レースドライバーなら誰もが夢見るものであり、私はそれを2022年に達成することができました。勝利を経験している身として、ふたたび表彰台に上りたいのは当然ですが、それが容易ではないこともわかっています」
「全開で24時間レースを戦えば、何が起こるかわかりませんし、ハイパーカーの戦いは熾烈です。しかし、チームは本当に懸命な作業で準備を進めてくれましたし、あとは結果を出すためにベストを尽くすだけです」
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