■市販カーナビの市場はこの5年ほど堅調に推移している
スマートフォン(スマホ)の登場は、人々のライフスタイルに大きな変革をもたらしました。現在の私たちの日常は、仕事からプライベートまで、スマホなしでは成り立たないくらいになっています。
もちろん、カーライフも変わりました。スマホの大画面化、高性能化で、地図アプリは見やすくなりました。さらにインターネットを使った目的地の探しやすさや、ビッグデータをもとに最適なルートを探索する機能により、スマホをカーナビ代わりに使うことは、いまではごく当たり前になっています。
またその一方で、純正ナビはクルマとの一体化が進み、「単なるナビ」ではなく、クルマとさまざまな情報をやりとりするインターフェイスになっています。そしてAndroid Auto、Apple CarPlayへの対応で、純正ナビとスマホの融合も進みつつあります。
こうしたことから、カー用品店などで購入し、クルマに取り付ける、いわゆる市販ナビの市場はかなり縮小しているのではないかと思っている人も多いでしょう。ところが、実態は異なるようなのです。市販型カーナビを展開するパナソニックの担当者は次のように話します。
「ここ5年ほど、市販ナビの市場はPND(パーソナル・ナビゲーション・デバイス、持ち運びできる小型ナビ)を含め、140万台前後で推移しています」
意外なことに、市場規模は横ばいだというのです。PNDはスマホによる代替が進んでいることを考えたら、据え置き型の車載カーナビの販売台数は逆に伸びているとも考えられます。
■スマホ全盛のいま、なぜ市販カーナビが売れている?
なぜスマホに「押されている」ように思える市販カーナビが堅調なのでしょうか。パナソニックの担当者は次のように話します。
「ここ数年、純正ナビは大画面化が進み、車両と連携した安全運転機能を搭載したモデルが登場していますので、純正ナビに満足できないということではないと思われます。
やはり車種専用の純正ナビより、サイズ、機能、価格の面で選択肢が多いこと、またクルマの車齢が伸びていることで、カーナビの買い替え需要や中古車への装着需要があり、アフターマーケットならではの価値に対するニーズが根強くあると理解しています。
ちなみに弊社のカーナビゲーション『ストラーダ Fシリーズ』は、ユーザーの半数が新車購入とは異なるタイミングで装着しています」
つまり、スマホをナビ代わりに使う層や純正ナビを選ぶ層以外の人々に、一定の需要があるということなのです。
ではどんなクルマのオーナーが、市販カーナビを選んでいるのでしょうか。パナソニックの担当者は続けます。
「取り付け実績では、トヨタ『ハイエース』、ホンダ『N-BOX』、トヨタ『プリウス』、日産『セレナ』などが上位に入っています。
このうちハイエース以外は『販売台数そのものが多いこと』に起因していると考えられますが、ハイエースについては純正ナビに7インチの設定しかないこと、キャンピングカーに使われるなど趣味性の高いクルマであることが、装着率を高める大きな要因になっていると考えます。
また映像入出力端子も備えているので、テレビやブルーレイの映像を大きなモニターに高画質で映し出せることなど、拡張性の高さも魅力となっているのではないでしょうか。ハイエースのほかに、ランドクルーザーやデリカなど、同じく趣味性の高いクルマでも、装着率が高くなっています」
※ ※ ※
2019年秋に登場したパナソニックの最新モデル「ストラーダF1X」シリーズは、2DINサイズで10インチディスプレイと400車種以上の対応を可能としています。
パナソニック以外にも、ミニバンを中心とした車種専用で11型という大画面までを用意するアルパインの「ビッグX」シリーズ、新たにYouTube再生などにも対応したカロッツェリアの「サイバーナビ」シリーズ、同じカロッツェリアの「楽ナビ」シリーズ、ケンウッドの「彩速ナビ」シリーズなど多くのメーカーから、映像や大画面、音質などエンターテイメント要素にこだわりのある、特徴のあるカーナビが市販されています。
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