レッドブルのモータースポーツアドバイザーを務めるヘルムート・マルコは、レッドブルとマックス・フェルスタッペンが世界選手権でマクラーレンと戦うなかで、「まったく新しい世界」に入ってしまったのではないかと懸念している。チームとドライバーは、チーム・パパイヤの覇権を受け入れることに苦しんでいる。
この変化はF1第18戦シンガポールGPで顕著に表れていた。マクラーレンのランド・ノリスは予選でフェルスタッペンをコンマ2秒上回ってポールポジションを獲得し、その後フェルスタッペンに約21秒という圧倒的な差をつけてレースで勝利を飾った。またレースのある時点では、ノリスとフェルスタッペンの差は29秒にまで膨らんだ。これは、レッドブルの相対的なパフォーマンスの低さが憂慮すべきほど続いていることを示しており、チームはこれでオーストリアGP以降8戦続けて優勝を逃したことになる。
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マクラーレンのパフォーマンスレベルに困惑したマルコは、先週、最大のライバルに対するレッドブルの苦戦についてフェルスタッペンと「長い会話」をしたという。マルコはドイツのウェブサイト『formel1.de』に対し、チームの現在の苦境に対するフェルスタッペンの反応を明らかにした。
「特にミディアムタイヤでのランドの優位性は異質だ。彼は1周あたり0.9秒から1秒の差を我々につけた。たとえ我々のマシンが仮に最適化されていたとしても、彼はミディアムタイヤであのタイムを出すことはできなかっただろう。そして我々はみんな、彼がどうやってそれを成し遂げたのか疑問に思っている」
「ノリスが1周あたり0.9秒から1秒も我々を上回るというのは、まったく新しい世界だ。そして忘れてはいけないのは、第2スティントでは(シャルル・)ルクレールがランドと同じくらい、もしくはもう少し速かったということだ」
「だから我々にとって、2位は勝利のようなものだと言ってもいい」とマルコは語り、チームにとってこの状況がいかに異常であるかを強調した。
マクラーレンの台頭は、4月にマイアミで本格的に始まった新フロアとその後の包括的なパッケージの導入といった、順調に実施された開発プログラムによるもので、そのどれもがMCL38の優れたバランスを損なうことはなかった。一方でレッドブルも、アゼルバイジャンGPを前にRB20に新しいフロアも導入した。これはわずかな変更で、マルコは「正しい方向への一歩」と表現したが、マクラーレンが懸念するほどのものではなかった。
「彼らは懸命に努力し、確かな洞察を得た」とマルコは述べた。
「完全に新しいフロアではなかったが、一部は新しかった。しかし、決定的な要因はオースティンでのパフォーマンスになると考えているし、他にも多くのことが控えている」
第16戦イタリアGPでは、フェルスタッペンは優勝者のルクレールから約38秒遅れの6位でフィニッシュしたが、レッドブルF1のチーム代表クリスチャン・ホーナーはこれを「最低の時期」と評した。マルコも、相対的なパフォーマンスとレース運びの面で、このレースはまったくの惨事だったと認めた。
「いつ以来か、最悪のレースだった。私にはわからない。戦略、ピットストップ、スピード、すべてにおいて、いつそれほど間違いを犯したのか思い出せない」
「だが我々は正しい方向へ戻ってきている。マシンは、比較的小さな変化や6度や7度の温度差でパフォーマンスに影響が出る状態ではなく、より広い動作範囲を必要としている」
「そして、マックスが攻撃できるように、速度と能力も向上させる。彼には、フロントエンドがしっかり路面を捉えるマシンが必要だということは分かっている。2位になることだけに頼るのは、不十分なことだからだ」
実際、フェルスタッペンはシーズン最後の6レースで2位に入るだけで、4度目のタイトル獲得が確実となる。しかし、コンストラクターズランキングにおけるレッドブルの戦いは、ますます困難になってきている。レッドブルは現在マクラーレンに41ポイント差をつけられており、過去6戦で獲得したポイントは119ポイント少ない。チームメイトのセルジオ・ペレスの不調もその差に大きく影響しており、レッドブルのタイトル防衛にさらなるプレッシャーをかけている。
マルコはチームの見通しが暗いことを認めた。
「現在のパフォーマンスからすると、(コンストラクターズタイトルは)おそらく終わっている。しかし、マックスがふたたびレースに勝ち、セルジオが3位か4位を獲得できれば、状況はまた変わるだろうと私は楽観している。だが今のところ焦点は主にドライバーズタイトルに当てられている」
「しかし、もしそれを達成できれば、そしてそれはマックスが少なくともあと2レースで勝った場合にのみ可能だと私は信じているが、コンストラクターズ選手権でももう少し期待が持てるようになるだろう」
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