期待の新星デビューは苦しいスタート
いまや世界中に人気が広まったモータースポーツ競技「ドリフト」だが、ご存知のように日本発祥のカルチャーである。ストリートからサーキットへ。ドリフトを一躍メジャースポーツに引き上げた立役者といえば「D1グランプリ」。前身となる「全日本プロドリフト選手権」がスタートしたのが2000年のこと。20年目となるアニバーサリーイヤーが開幕(D1グランプリとしては19年目)した。
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例年よりも遅めの開幕となった2019シーズン。決戦の地は筑波サーキットで、ホームストレートでの振りっ返し3連発、そして高速での1コーナーへの飛び込み、さらにヘアピンまでジャッジ区間が続くという屈指のロングコースだ。
D1は「DOSS」という専用機器によって採点が行なわれるため、アングルのついたドリフトをいかに持続できるかがポイント。さらに今年からは追走トーナメントでもDOSSを採用し、より明確でギャラリーにも分かりやすいジャッジとなった。
ラウンド1、2の筑波は、土日でそれぞれ”単走→追走”が行なわれる方式。梅雨の真っ只中という時期で、日曜日の追走トーナメント以外、ほぼウエットコンディションだったが、昨年で現役D1ドライバーを引退した「のむけん」こと野村謙さんがアンバサダーとして登場し、オープニングから大いに盛り上がりをみせた。
土曜日のラウンド1で大暴れしたのが、マシンも一新の日比野哲也選手(Team SunRISE RACING)。去年までの苦戦がウソのようなハッチャケぶりで、単走総合2位、追走でも次々と優勝候補を退けて準優勝を飾る。ベースは日産のS14シルビアだが、ロケットバニー製のアメ車風ボディキットでギャラリーを魅了していたのも印象的だった。
しかし、そんな日比野選手との大接戦を制したのが、昨年のシリーズチャンピオン、横井昌志選手(D-MAX RACING TEAM)。大きな変更点はないというS15シルビアだが、今年もスピードとアングルはズバ抜けていた。
さらに注目のニューマシンでは、斎藤太吾選手(FAT FIVE RACING)、川畑真人選手(Team TOYOTIRES DRIFT-1)のGRスープラ勢がいるが、いずれも追走で日比野選手に敗北。翌日のラウンド2でも斎藤選手が単走で敗れるなど、A90スープラの活躍まではもうしばらく時間がかかりそう。
また、フェラーリF550の投入で話題の今村陽一選手(MMM RACING)にも視線が集まったが、足回りにトラブルが発生。VRエンジンに換装し、わざわざ右ハンドルへ変更したというユニークなマシンなのだが、こちらも改良を待つことにしよう。
なお、日曜日のラウンド2でも横井選手、日比野選手が好調をキープ。これに小橋正典選手、末永直登選手というTeam ORANGE勢が食い込む展開となった。ようやくドライコンディションに変わってきた追走トーナメントでは、勢い余ってのコースアウトや接触が相次ぐ波乱含み。決勝戦では植尾勝浩選手(valino Z.S.S Racing)がフェンダー破損により走行できず、万事休す。
結果、横井選手が土日追走の完全制覇を成し遂げた。次戦は真夏の十勝スピードウェイ(7/27、7/28)。ハイスピードバトルに期待したい。
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