新会社スタートを前に、次々と明るみに出る不正行為
ビッグモーターは伊藤忠からの200億円の支援を受け、4月下旬には新会社となりコンプラ最優先の会社として再スタートを切る。
新会社がビッグモーター社の中古車売買事業を引き継ぎ、旧会社はビッグモーター社が関わる不動産の管理や保険金不正請求や点検整備料金の過剰請求など、これまで明らかになっている数々の「戦後処理」に対応することになる。
ビッグモーター社は昨年10月以降、国交省の行政処分でのべ100以上の指定工場取り消しや事業停止を受けており、保険業法違反による行政処分によって11月30日に全店舗において保険代理店としての資格を喪失している。
今年に入ってからは1月31日に街路樹伐採や枯死問題で初の逮捕者が出ており、指示を受けて実際に伐採や枯死をさせた店長も書類送検されている。さらに、3月4日には街路樹伐採に関わったとして兼重宏一前副社長らの書類送検も公表された。
3月1日には都内の店舗で働く整備士6名に違法残業をさせていたとして 東京労働局が会社と工場長を労働基準法違反の疑いで書類送検。
そして、この原稿を書いている本日3月15日には公正取引委員会からビッグモーターに対して無償での草むしりや不当な作業料金の値下げを強要してきたことが下請法違反(不当な経済上の利益の提供要請の禁止など)にあたるとして再発防止などを求める勧告が出された。
続々と悪事が暴かれている状況だがまだ、表面に出ていない不正や悪事、法令違反は膨大な数がある。今後、行われてきた悪事が続々と公表され、多くの対象者が処分を受けることになるだろう。複数の元社員や顧客による民事訴訟も各地で進行している。
株式会社ジェイ・ケイ・エイチとは?
このような中、新会社への準備も進んでいるわけだが、3月上旬「伊藤忠の支援を受けて発足するビッグモーターの新社名では?」「新社名は3月18~19日頃に決まると聞いています」という情報が関係者から筆者のところに入ってきた。
その名前は「株式会社ジェイ・ケイ・エイチ」。実にシンプルでそっけない名前だ。これが、新社名なのか? 少し検索してみたが、それがビックモーターの新社名であるとは全く出てくることはない。
そこで、筆者が関係者に確認したところジェイ・ケイ・エイチとは新社名の「仮称」であるという。仮称といっても気になるので念のため登記の記録を取り寄せて調べたところ…同じ名前の会社がいくつか出てきたが、その中で気になるものがあった。
それは今年1月26日に「(株)ジェイ・ケイ・エイチ」という会社名で登録されている法人だ。
登記情報の一部を紹介する。
・会社設立の年月日 令和6年1月25日
・目的
1.株式保有による事業活動の支配管理
2.古物売買業
3.前各号に掲げる事項に付帯関連する一切の事業
・役員に関する事項 取締役 〇〇〇〇
・発行可能株式総数 1000万株
・発行済株式の総数並びに種類及び数 10株
・資本金の額 金5000円
・株式の譲渡制限に関する規定 譲渡による当会社の株式の取得については株主総会の承認を得なければならない
目的の2番に「古物売買業」とあるが、古物=中古車のことである。中古車売買に必要な許可証にも「古物営業許可(自動車)」と「古物」の名称が使われている。
同じ住所に156の法人名が登記されていた!
このジェイ・ケイ・エイチという会社がビッグモーター社の新会社と関わりがあるのは間違いなさそうだが、気になるのは代表取締役として登録されている人物である。
この人物の名前と登記された法人の住所で検索すると多数の会社名が出てくる。そこにビッグモーターや伊藤忠との関連は全くなさそうである。
ジェイ・ケイ・エイチとは何をする会社なのだろうか? 取材を進めていくうちに、ジェイ・ケイ・エイチが登記されている住所にはなんと168もの法人が登記されていることが分かった。一例をあげてみよう。
合同会社ジェイ・ヴイ・エム/合同会社ジェイ・ヴイ・オー/一般社団法人ジェイ・エイチ・ディー/合同会社ジェイ・アイ・エフ/合同会社ジェイ・アイ・ジー/株式会社出水リアルティ/合同会社ジェイ・イー・ティー/合同会社ジェイ・エックス・ジェイ…
ここで登記されている法人名の9割以上が「ジェイ」をつけている。
事情通によるとこの「ジェイ」とは、伊藤忠と共にビッグモーターを買収する企業再生ファンドのジェイ・ウィル・パートナーズ(JWP)の「ジェイ」なのだそう。
JWPが再生を手掛ける会社、清算に関わってきた会社の社名の最初にはほとんど「ジェイ」がつけられている。つまり、ビッグモーター絡みの新会社ジェイ・ケイ・エイチは企業再生と清算のための会社で「伊藤忠とJWPが出資するための箱会社」ということらしい。
箱会社であるがゆえ、実際、上記168の会社の多くは設立から数年で役目を終えて登記記録が閉鎖されている。
新社名はいつ発表? 新会社の人事はどうなる?
メディアを含め多くが注目するのは、伊藤忠傘下となった新生ビッグモーターの新社名だ。
関係者に聞くと、3月12日の時点では「未定」とのことであった。また現役社員からは「社内では3月18日頃に決まるのでは」、業界紙記者からは「3月18~19日には到底無理では?」という声もあがっている。
なお、新会社になっても、基本的には現在の店舗や工場はそのままで、社員の処遇もほとんどが現状の部署や役職などが承継されるとされる。もちろん、スポンサーの意向のもとに収益性を考慮して店舗の統合や人事異動は行われるだろう。
また、伊藤忠は支援の条件に「創業家との断絶」を第一に挙げている。新会社が事業を受け継ぎ、創業家の影響力を排除することから、現在の経営陣においても兼重親子との関係が深かった幹部や店長が退職を促されることもありそうだ。
事情に詳しいビッグモーター元幹部は筆者に以下のように話した。
「ヤバいことをしていた社員がどんどん逃げ出しています。1月の終わりに街路樹伐採の件で環境整備推進委員のK氏が逮捕されてその部下の店長が複数逮捕され、さらには労働基準法違反や下請法違反でも処分者が続々と出てくる状況の中で『次は自分か』とおびえている人も多いです。
関わってきた社員は逃げる(退職)べきかとどまるべきかで悩んでいるようですよ。でも会社を辞めたからといってそれらの罪から逃れることはできませんけどね」
AUTOCAR JAPANでは引き続き、独自取材を中心にビッグモーターに関する情報をお伝えしていく。
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