そんなにたくさん売れたわけじゃない。でも、何年経ってもみんなが覚えている。今回は忘れじの異業種プロジェクトWiLL第一弾をご紹介していこう!
※本稿は2023年11月のものです
文/小沢コージ、写真/TOYOTA、ベストカー編集部、撮影/奥隅圭之
初出:『ベストカー』2023年12月10日号
今見ても衝撃デザイン!! アサヒビールも携わってたのよ!! トヨタWiLL Vi夢みたいなクルマだった
■財界のエラいヒトたちが思いついちゃった合同プロジェクトの落とし子
異業種による合同プロジェクト「WiLL」から生まれたトヨタ WiLL Vi。あくまでも「WiLL」ブランドのクルマであり、車体にトヨタのエンブレムなどはない
この独特のハリボテ感、憶えてますCAR! 今から23年前、話題を独占したトヨタWiLL Viよ。今じゃあり得ない異業種合同プロジェクトで、経団連のトップが昼メシ食ってる時に思いついたようなオモシロ企画。しかも異様に安くて壊れない。
当初あのトヨタはもちろん清涼飲料のアサヒビール、化粧品の花王、旅行代理店の近畿日本ツーリスト、家電の松下電器という国内ビッグ5が集まり、後にコクヨと江崎グリコも追加され、合計国内7社が集結して行われた一大マーケティングプロジェクトだ。
今もソニーとホンダがくっついて夢のEV作るような時代だから、乱世はなんでもあり得るけどその後これほどの面白コラボはない。
なんせこのあと約4年で同じオレンジ色のWiLLロゴを付けたアサヒのスウィートブラウンビール、花王の空気を洗うミスト、近ツリのシドニーオリンピック観戦ツアー、グリコのチョコレートやタブレットが出たってのが凄い。
そして我らがトヨタの第一弾が個性派セダンのVi。しかもコイツがまだフツーに中古車市場に出回っており、激安&ハイクォリティで買えるのだからありがたすぎる。
■今回見つけた個体は奇跡のコンディション!
最もヘンテコなアングルは真横。こんなリアルアニメデザイン見たことない……。この絶壁感にノーズの短さ……あり得ない!
今回も栃木のレア車専門店で本体価格40万円弱の個体を発見。それも壊れがほぼないどころか、21年落ちの距離7万kmでも内装はヒビ割れ&ほつれナシの奇跡。
改めてエクステリアを見るとトヨタ単独企画じゃ絶対やらない玩具デザインに驚く。モチーフはかぼちゃの馬車で宮崎アニメに出てきてもおかしくないハリボテ感。
前後の折り紙みたいなブリスターフェンダーはもちろん、ドアパネルのリブにしろコンテナデザインを意識したペラい造形。また角度が鋭すぎてセンサーが無駄に反応してしまい洗車機に入らないと言われたリアのクリフカットが凄い。
今見ても絶壁感は素晴らしく、モーター位置が難しいのかリアワイパーもない。車内もリアがヤケに狭く、もともとコンパクトなベースのヴィッツをさらに個性的デザインに振っているのがよくわかる。
加えて楽しいのは外観もビックリのインテリア。この手はいすゞビークロスがそうであるように、見た目は凄くて中はフツーってことも多いが、期待を裏切らないのがWiLL!
外観パーツもサイドミラーにダイハツオプティ、ウィンカーにホンダビートのものを流用し上手にコストダウン。
■外見に負けない個性の「美味しそうな」インテリア
フランスパンがモチーフと言われて超納得のインパネ。アンパンマンに出てほしい!
インパネモチーフはフランスパンで、甘い香りが漂いそうなアンパンマン色のインパネはもちろん、3本スポークステアリング中央にはブタ鼻のような縦溝が入り、アニメのような世界観。
ディテールもイチイチよくできていて、メーターはわりとフツーだがホワイトパネルのファンシーなものだし、インパネシフトを握った感触はほぼ果物のびわ。ドア内側ハンドルはオシャレな革調ベルト素材で、コイツが20年以上経つのに切れたりベタついてないのも凄い。
また外観デザインのユニークさを感じさせるのが運転席とフロントウィンドウの近さでこの感覚今じゃ味わえない。
かたや、走りも味わいこそは変わらず薄っぺらいが、壊れそうなムードがないのがトヨタの凄さとよさ。骨格は当時の衝撃吸収ボディGOAには当てはまらないヴィッツベース。それだけに凄い剛性感やステアリングフィールこそないが軽快さはなかなか。
ステアリングは軽く、路面の継ぎ目を越える時こそ多少の安っぽさを露呈するが、今乗っても普通に使うには充分。
エンジンは88psに12.5kgmのパワー&トルクを発揮する1.3L直4で、それを4速ATで駆動。正直速くもキレもないが、23年後もフツーに走れるのが奇跡。リアも狭いが大人が乗れるし、トランクも普通に付いてる。
正直マニアック需要がなさ過ぎて値段は安いが壊れないし、こんな面白くて笑えるクルマほかにないかもよ。
■壊れません! 中身はヴィッツなので(笑)
今回お世話になったガレージ・コヌマさん(栃木県足利市八椚町210-1)
国産大衆レア車からフィアットなど輸入車や旧車を取り揃えるマニアな庶民の味方、栃木のガレージ・コヌマさん。
今やViは全車20年落ち以上だが「WiLLは荒く使われてないし、中身ヴィッツなので壊れません。タマに運転席ドアが下がるくらいで」。「インテリアも丸洗いすればピカピカになる」ので超お気楽!
(ガレージ・コヌマ)
●Kozzi評価
・タイムスリップ度:★★★
・レア度:★★
・お金かかりそう度:★
・乗って楽しい度:★★
今見ても「アニメから飛び出てきた感」はブッチギリ。ただし古さはなし。1万5000台以上売れたのでタマはまだあるし壊れない。
●トヨタ WiLL Vi主要諸元
・カテゴリー:コンパクト5ドアハッチバック
・全長×全幅×全高:3760×1660×1600mm
・ホイールベース:2370mm
・車両重量:950kg
・エンジン:1.3リッター直4DOHC横置き
・最高出力/最大トルク:88ps/12.5kgm
・ギアボックス:コラム式4速AT
・駆動方式:FF
・サスペンション:前/マクファーソン式 後/トーションビーム
・国内累計販売台数:1万5000台以上
・開発テーマ:「かぼちゃの馬車」
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