高性能SUVに押され気味のステーションワゴン
text:Tom Morgan(トム・モーガン)
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)
G20型のBMW 3シリーズ・ツーリングが英国へとやってきた。英国編集部でオススメのステーションワゴンだが、高性能SUVの人気の高まりとともに、支持者は減少傾向にある。それでもBMWは3シリーズの各グレードにツーリングを用意し、25%程度のユーザーが選択すると予想する。
ドライバーが得る高い満足度と、ラゲッジスペースとの両方を必要とする場合、有力な候補となってくるのが3シリーズのツーリング。優れたコンパクトサルーンとシャシーを共有しているところがポイントだ。
メカニカルな部分での違いは、若干強化されたアンチロールバーと、柔らかくなったフロントサスペンション。リアタイヤへ掛かる荷重の増加を加味したセットアップが施されている。
BMW 330dに搭載されるのは3.0Lの6気筒ディーゼルターボ。G20型になって、英国に導入される6気筒エンジンとしてはエントリー・ユニットとなった。ガソリンエンジンの330iは、4気筒へと切り替えられている。
Mスポーツ・プラスエディションと呼ばれる今回の試乗車は、19インチのアルミホイールを装備。前回ドイツで試乗したクルマは、Mスポーツだったが18インチホイールだった。前回の320dに引き続いての試乗といこう。
サルーンとの走行性能の差は最小限
最上級グレードということで、アダプティブ・サスペンションに強化版のブレーキ、バリアブル・スポーツステアリング、アクティブ・ディファレンシャルなども装備。英国では2019年末に登場する、M3に近いM340に次ぐ高価な3シリーズとなる。
ツーリングを運転した感覚は、ほとんど3シリーズのサルーンと同じ。最も明確に感じられる違いはコーナリング時の操縦性だが、程度はわずかだ。
われわれはサルーンの身のこなしを理解しているだけに、シャシーが実現している精度の高い操縦性やダイレクト感が、ツーリングでは陰りがあるように思えるくらい。だとしても、ツーリングの操縦性もグリップ力も、十二分に高い。
ダイナミクス性能では、最も優秀なステーションワゴンであることには変わりない。大きな荷室を獲得しても、ドライバーの充足感の減少は極めて限定的なのが嬉しい。
先代よりも全長、全幅、全高の3サイズで大きくなったG20型。リアシートを立てた状態での荷室も増え、500Lとなった。ボルボV60に迫る容量だといえる。リアシートを折りたためば1510Lにまで拡大し、これに勝る同クラスといえば、スコダ・スパーブ・エステートくらい。
テールゲートの開口部は大きく、段差は小さいから。荷物の積み下ろしも容易。リアシートは電動で折り畳まれる。テールゲートは2分割式で、リアワイパー下の小さなボタンを押すとリアガラス部分のみが開く。素早く荷室にアクセスできて機能的だが、ボタンの存在感がないから、機能自体を忘れてしまいそうだ。
上質で心地よく回る6気筒ディーゼル
リアシートの空間も広く、180cmを超える身重の大人が座っても、足回りも頭周りも不足のない空間が残される。サンルーフを選択しても大丈夫。
インテリアの素材感も高く、このクラスで最高の快適さを備えているといっていい。最新のインフォテイメント・システムは、カスタマイズの自由度は小さくても、ビジュアルの雰囲気はメルセデスやアウディのものと同等のインパクトがある。
モニターはタッチ式となり、指で触れての操作も可能となった。ロータリーダイヤルも残されているから、従来的な操作も可能だ。とてもモダンなインテリアで、USB-Cコネクターを利用すればスマートフォンなどのデジタル機器の充電もできる。
USBポートは3箇所に用意されているが、ドライバーが利用できる範囲にあるのは1口のみ。アップルカープレイは最初の1年は無料で利用できるが、アンドロイドオートには対応していない。
軽油を燃やす6気筒エンジンのパワーの発生は非常に滑らかで、最大トルクも低回転域から得られる。ディーゼルとしては珍しく、回転上昇も意欲的。発進と停止が繰り返されるような場面では少し力み過ぎなところもあるが、慣れてしまえば調整も簡単に行えるだろう。
回転数が増えたり高速道路を走らせても、静かで上質な印象は変わらない。スポーティなドライビングモードを選ぶと、8速ATの反応は素早くなり変速も適切に行われるから、追い越し加速時にヤキモキすることもない。
多くのユーザーには320dで不足なし
コンフォートモードを選ぶとおっとりとした性格になるが、特に意識せず運転しても14.1km/L程度の燃費を期待できる。より軽量な4気筒エンジンを搭載する320dで、4輪駆動を選ばなければ、さらに良好な燃費を得られるということでもある。
しなやかにサスペンションは動き、低速域でも乗り心地は安定している。荒れた路面の快適性でいえば、アウディAアバントの方が一枚上手ではある。試乗車にはアダプティブ・ダンパーが備わっていたが、効果としては19インチの大径アルミホイールとランフラットタイヤのバタつきを相殺してくれる程度。
ステーションワゴンの使い勝手の良さも欲しいけれど、ドライバーとしての満足感も欲しい。そんな人にうってつけなのがBMW 3シリーズのツーリング。サルーンに1500ポンド(20万円)程度の追加予算で手に入るから、毎月の支払額でも大きな違いはないはず。
操縦性は、わずかな差だがサルーンの方が良い。330dの3.0Lエンジンは実力もかなり高い。だが、多くのユーザーにとっては、経済的な320dツーリングの方が暮らしにマッチするだろう。
BMW 3シリーズツーリング330d xドライブ Mスポーツ・プラスエディションのスペック
価格:5万4955ポンド(747万円)
全長:4709mm
全幅:1827mm
全高:1435mm
最高速度:249km/h(リミッター)
0-100km/h加速:5.4秒
燃費:17.8-18.5km/L
CO2排出量:172g/km
乾燥重量:1745kg
パワートレイン:直列6気筒1993ccツイン・ターボチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:264ps/4000rpm
最大トルク:59.0kg-m/1750-2750rpm
ギアボックス:8速オートマティック
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