中国・南京に本拠地を置くのが「バイトン」だ。2019年9月のフランクフルト自動車ショーで披露されたBEV(バッテリー駆動のEV)のSUV「M-BITE コンセプト」が、広州モーターショーにも出展され、いわば中国への”凱旋帰国”を果たした。
2017年創業のバイトンは、「小鵬(英語名:Xpeng)」や「上海蔚来汽車 (英語名:Nio)」などとともに、スタートしたBEVメーカーだ。
M-BITE コンセプトは全長4875mmの、ミドルクラスサイズのSUV。バイトンには、SNSなどの事業で知られる「テンセント」や電子機器の「フォックスコン」といった企業が出資しているという。ショーで話題を呼んでいた「M-BITE コンセプト」は、全長4875mm、全高1665mmのボディに、最高出力95kWのバッテリーを搭載するパワフルなモデルだ。
スタイリングは、ルーフの前後長をやや短めにしているのが特徴。最近、中国でもよく見かけるレクサス「RX」のようだ。
フロントマスクは、スクラッチのようなパターン入りなのが個性的である。将来は、この部分をスクリーンに置き換え、メッセージなど表示することも考慮されているようだ。
灯火類はフルLED。ドアハンドルは格納されている。躍動的なスタイリングを担当したのは、ルノーで「スポール スパイダー」を、そのあとBMWで「iシリーズ」などを担当したフランス人デザイナーだ。ほかにも日産自動車をはじめ、数多くの自動車メーカーから経験者をリクルートしているのは、ほかの中国の自動車系スタートアップの例にもれない。
価格は500万円超!なによりM-BITE コンセプトで驚かされるのはダッシュボードである。乗員の正面には世界最大をうたう48インチの曲面ディスプレイが装着されている。実際に目にすると、その大きさはいうまでもなく、表示される情報量の多さに圧倒される。
ダッシュボード上にある48インチの液晶パネル。ギアセレクターはスウィッチ式。くわえてドライバーは、ステアリング・ホイールの中央部に設けられた大型モニターで、各種の操作が出来る。したがって、48インチのモニターは乗員全員を楽しませるための装備と考えたほうがいい。
助手席シートは、後席乗員とのコミュニケーションがよりはかれるよう、垂直心軸に対し10度回転する。バイトンはインテリアについて、「パーソナル デジタル ラウンジ」と呼ぶ。中国EVメーカーの、デジタル技術の活用ぶりにはあらためて驚く。
モーターはフロントとリアにひとつずつ、計ふたつ搭載する。ただし、中国のEVスタートアップは、製造工場と整備工場の確保という問題に直面している。そこがうまくいかなくて、企画段階で倒れてしまうブランドもあるぐらいだ。
バイトンのブースで話を訊くと、「南京工場ではまもなく生産がスタートする予定で、そこで作るクルマは中国向け。欧米向けは韓国に工場を建設する予定で、計画を進めています」と、広報担当者が教えてくれた。
ステアリング・ホイールにも、液晶パネルが付く。エアコンなどの調整は、フロントセンターアームレストにある液晶パネルでおこなう。M-BITE コンセプトの価格は4万5000ユーロ(約542万円)からで、高級車の価格帯だ。デジタル・コクピットなど、ほかのクルマにはない装備によって市場での競争力を持てる、とメーカーでは考えているようだ。
現在、中国のEVメーカーは、政府の新エネルギー車(EV含む)購入補助金削減の件で、若干暗雲が立ちこめている。しかし、都市部で内燃機関のナンバーを取得するには、多額の費用と、長い待ち時間が必要とされる。
ガソリン車の場合、ナンバー取得のために3万元(約46万円)が必要になるのに対し、緑色ナンバープレートの「新エネルギー車」はせいぜい2000元(3万円)で、取得もあっというまという。この流れが続くうちは、EVも売れ続けるだろう。
文・小川フミオ
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