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ZF トラック・バスの次世代車はどうなるか? 隊列走行にEV化、自動運転も?

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ZF トラック・バスの次世代車はどうなるか? 隊列走行にEV化、自動運転も?

自動車を取り巻く状況は目まぐるしく変化し、社会全体で変革が起こり、ビジネス形態まで変えようとしている。盛んに耳にするCASEやMaaSといった次世代に向けた取り組みは、カーメーカーにとってもはや必須となり、それは商用車にも同じことが言える。マス・マーケットである乗用車より、場合によっては商用車のほうが、早くこれらの先端技術が現実のものになるものもあると思う。そこで、商用車へ部品提供する世界的な自動車部品サプライヤーのZFへ、商用車の事情を聞いてみた。インタビューは商用車事業部トラック&バン ドライブライン・テクノロジー営業統括ディレクターのフランク・マンガー氏だ。<レポート:高橋明/Akira Takahashi>

『CASE』 Connected、Autonomous drive、Share&Service、Electricそして『MaaS』Mobilty as a Serviceという用語。次世代車には必須の要件であり、如何に対応していくのか?そこでどういったビジネスが展開可能なのか?という技術の進化を使った、新しいビジネス展開が始まろうとしている。

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これまでauotproveでは乗用車を中心とした視点で記事展開をしているが、中でも自動運転、電動化、そして常時接続という技術は比較的身近に感じ、『便利』だとか『新しい』、といったことを体験している。こうした技術はTier1からの技術と部品提供から成り立ち、カーメーカーと協業して市場にリリースされている。そしてこれらの技術は並行して商用車にも提供され、部分的には先行して開発されているものも存在するわけだ。

■ZFのコーポレートビジョン

そうした技術、部品を提供するTier1のビッグ3のひとつZFでは、『SEE THINK ACT』というワードをキーにして次世代技術の開発が進められている。この詳細はすでにお伝えしているが、特に、自動運転と電動化ではこのビジョンがベースになっているわけだ。
※参考:ZFグローバル試乗会レポート vol.1 自動運転、EV化への未来像

SEEは見る、つまりセンシング。カメラやレーダーを使って自車位置周辺情報を収集し、THINK=考える、集めたデータを解析し、どのように動かすか?をアルゴリズムで制御していく。そしてACTは文字通り動く、ということでZFが持つ従来からのドライブラインやシャシーテクノロジーでクルマが動くということを現している。

その各分野で新しい技術が開発され、より効率的に、安全に、クルマが動くようになり、ZFのコーポレートビジョンとして『On the Road to VISION ZERO』につながる。事故ゼロ、エミッションゼロという目標だ。

これらの技術は商用の小型トラックから大型トラックにまで共通しており、乗用車と同じレベルで技術提供できる状況ではある。だが、法律や規制などサプライヤーの範疇を越える部分で実用化できないこともいくつか存在しているという。

■今やるべきこと

商用でもCASEは重要であることは言うまでもないが、自動運転、電動化と同時にコンベンショナルなドライブライン、シャシーテクノロジーでもまだ、やらなければならないことがあると、フランク・マンガー氏は言う。

ーーフランク・マンガー
「コンベンショナルなICE(内燃機関)の改善はまだまだ必要で、この先もICEが中心になっていきますが、ZFの得意とするドライブライン、シャシー技術でも協力できることがたくさんあります。ICEの燃費改善はトランスミッションの変更でも大きな効果が得られます。ZFでは小型トラックには8速ATがあり、BMWの乗用車に採用された実績のあるトランスミッションで、大トルクに対応し耐久性に優れ、そして軽量で、パワーテイクオフの機能も備えています」

実際に日野デュトロにこの8ATを搭載したテスト車にタカハシは試乗したことがあり、普通のAT車として運転できる。小型トラックを乗用車のように運転できるということ自体が進化しているわけで、通常はMTがほとんど。470Nmもの大トルクに対応しているので、積載した状態でも全く不満はない。ちなみにトランスミッション本体の重量は96kgと軽量だ。

対象となる小型トラックは、IVECOデイリートラックや、いすゞエルフ、日野デュトロなどで、イベコ・デイリートラックでは6AMTからこの8ATに換装して燃費は5%から8%の改善があったという。また欧州で増えつつあるCNGエンジン車にも対応できるとしている。燃費やドライブフィールなどのメリットを考えればイニシャルコストよりランニングコストで採算が合うのではないかと想像してしまうが・・・

またZFでは大型トラック用に「TraXon」という組み合わせによってさまざまなソリューションを提供できるモジュラー式トランスミッションを持っている。

ーーフランク・マンガー
「12速から16速を基本としたトランスミッションで、スターティングデバイスとして、スターティングクラッチ、デュアルクラッチ、モーター内蔵のハイブリッドモジュールなどがあり、パワーテイクオフも装着が可能になっています。また特殊トラック用にはトルクコンバーターも用意してあるので、いろんな用途の大型トラックに対応することが可能です」

こうしたICEを使ったトラックのドライブラインを改良することで燃費改善=CO2削減にもつながるわけで、マニュアルトランスミッションの多い日本のトラックにはAMT、ATの採用を勧めているという。

■自動運転

大型輸送トラックの自動運転では、サービスの提供という部分も絡んでくる。というのは、現実問題としてトラックのプラトゥ―ニング=隊列走行はCar to Car通信とレーダー、カメラなどで実現可能だが、普及していない。これは欧米とも同じ状況で、隊列を何mにするか?ということすら決まっていないのでインターチェンジで合流できない、という不具合もでてくる。そして欧州では国境を越えるケースではそれぞれの法律もあるので、統一したルールがないと実現できないという壁がある。

一方で、採掘現場や倉庫、流通センター、駐車場などのような限られた場所では完全自動運転は始まっているという。無人の建機での作業はロボットカーでもあり未来感が強い。そして倉庫でのフォークリフトの電動化も進み始めている。もちろん、ここにはAIの存在もあり、ルーティンをこなすことから始まり、その先の自動運転の世界へ歩みは始めている。

これらの限定的な場所であれば自動運転、電動化が可能であり、そして運用、管理も含めたサービスの提供ということもTier1が可能になってくる。もちろん、トラックメーカー、フォークリフト製造メーカーもそうしたサービスの提供は考えているはずで、これがいわゆるMaaSの初期段階かもしれない。

■コネクテッド

ZFではe-walletというソリューションを持っている。電子決済できるシステムで、日本で言えばETCや、電子マネーなどに共通する。想定している用途は駐車場代の支払いやEVステーションでの充電費用、あるいはドライブスルーでの買い物など幅広く用途はあるが、こうしたソリューションをIBMやUBSとの連携で、サービス提供を計画している。

こうしたサービスは自社クラウドを使うとか、銀行系クラウドや、カーメーカーのクラウドなどに接続され、利用されていくもので、SOSコール、常時接続ナビゲーションなどと考え方は同じベクトルにある。しかし、サービスの提供という点ではTier1自体がサービスの運営、提供することも可能であり、またカーメーカーの黒子に徹することも可能で、そうした意味でも常時接続のコネクテッドの未来は、ビジネス形態を変えるきっかけにもなっているというのが現状だ。もちろん、決まった答えはない。また、カーメーカーとならんで、こうしたメガサプライヤーもサービスビジネスには参入が可能になってくるわけだ。

■ZFのソリューション

こうした現状を踏まえ、少しずつ電動化、自動運転、コネクテッドへと進んでいるのは商用車でも同じことだというのが理解できるが、具体的に現在提供している部品を少し覗いてみた。

――フランク・マンガー
「商用車用ドライブラインのAxle Driveは、アクスル内に搭載されたモータードライブユニットで、軽量化と既存部品との組み合わせが可能なものです。Central Driveは、従来のトランスミッションと置き換えが可能なドライブユニットで、既存車両で換装ができます。Drive Axleはアクスルにモーターを内蔵し、コンパクトなため車両設計の自由度が高いです。例えば、低床フルフラットのバスで、現在はディーゼルエンジン搭載車用にリヤアクスルがありますが、このDrive Axleに置き換えが可能で、モーター走行が可能になります。つまりディーゼルバスが電動バスになるわけです。それとハイブリッド・トランスミッションです。こちらはモーター内蔵タイプになります」

というように、アクスルにモーターを搭載、トランスミッションにモーターを搭載といったいくつものシャシーがあり、しかも既存モデルを電動化できるという自由度の高いアプリケーションが揃っているわけだ。あとは採用する企業側の判断があるが、乗用車では先進技術を我先にと欲しがっている状況に対し、商用ではそのトラック、バスを使ってどういったビジネスがあるかという、別ベクトルの判断が入るため、企業ごとに判断が異なるというのが現実のようだ。この先もバス、トラックに注目してみるのも面白いだろう。

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