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カングーの好敵手はいかに? プジョー・リフター試乗記

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カングーの好敵手はいかに? プジョー・リフター試乗記

プジョーのMPV「リフター」が日本に上陸した。ルノー「カングー」が長年独占してきた“オシャレMPV市場”での優位性とは?

気持ちのいいエンジン

4輪だったら、ジムニーやジープ。2輪だったら、ハンターカブやトリッカー。目的をしぼって開発されたモデルは、“好き者”の興味を惹きつける。日本発売が開始されたプジョー「リフター」もクルマ好きなら目が離せないモデルだろう。

2019年10月18日から日本でも販売開始されたリフターは、MPV(マルチ・パーパス・ビークル)のジャンルに属する。大きなハッチゲートを持つラゲッジ・ルームは広大だ。積載容量は通常でも597リッターと大きく、さらにリアシートをたためば2126リッターにまで拡がる。

日本仕様のボディは、全長4405mm、全幅1850mm、全高1890mm。本国には4750mmのロングボディもあるが、日本ではこのサイズで十分だろう。1.5リッター直列4気筒ディーゼルターボエンジンに8段オートマチック変速機を組み合わせ、前輪を駆動する。

ベースは商用車のプジョー「パートナー」だ。車幅が大きいのは、競合でもあるルノー「カングー」とおなじく、欧州の物流現場で使われる標準的な幅1200mmの木製パレットを収めることが前提だからだ。

でも、リフターに乗ると、商用車的な要素はほとんど感じさせない。日本仕様に選ばれたディーゼルユニットは、最高出力130psであるいっぽう、最大トルクは300Nmもある。それゆえ、かなり力強い。

最大トルクは1750rpmで発生する設定だけに、エンジン回転2000rpmの手前からパワーの出方が、予想いじょうに気持ちいいのは、試乗してのうれしい発見だった。小さくないボディであるものの、十分力がある。

プジョーのディーゼルエンジンは出来がよく、BMWとまではいかないまでも、比較的上の回転までよくまわる。リフターのユニットも同様で、ひっぱっていくときの加速感がきもちいい。バイブレーションもノイズもうまくチューニングされていて、不快感もない。

乗り心地も感心した領域だ。商用車がベースの場合、硬いケースが多々ある。リアにトーションビームという、スペース効率のよい実用的な形式を採用しつつ、設定はていねいで、速度にかかわらず不快な思いはいっさいしなかった。これにも感心。

このあたりの調整は、たとえばフランス製MPVとして競合になるルノー「カングー」よりうまいなぁと感じた。リフターには欧州で「GT」というスポーティなモデルがあるぐらいで、仕様に応じたこまかなチューニングがなされているのだろう。いまの日本向けは快適仕様だ。

完成度はリフターが上

カングーと較べると、全長はリフターが120mm長く、ホイールベースも85mm上まわる。全高もリフターが30mmほど高い。ボディは、後席左右がスライドドアなのは両車共通。リアゲートはリフターがはね上げ式なのに対し、カングーは横ヒンジの両開き式と異なっている。荷室容量は、ボディサイズがやや小さいのにカングーのほうが上で、通常660リッター、後席をたたむと2866リッターという。

大きく異なるのは、エンジンだ。カングーは1197cc直列4気筒ガソリンターボエンジンと6段オートマチック(あるいは6段マニュアル)変速機を搭載している。まあ、排気量からすればがんばっているパワープラントであるものの、リフターのディーゼルユニットのほうが、実際の速さもフィールも上だ。

かつ、リフターには、歩行者検知機能つき衝突被害軽減ブレーキをはじめ、アクティブ・クルーズ・コントロール、レーン・キープ・アシスト、リアビューカメラといった安全装備がそなわる。さらにオプションとはいえ、メーカーが用意するカーナビゲーションシステムや、Apple CarPlay、Android Autoに対応するスマートフォン接続機能も選べるのだ。天井を使ったモノ入れも、リフターのほうがよく考えられたレイアウトで容量も大きい。

カングーをことさら下げるつもりはないけれど、あえて比較すると、開発年次の差を感じてしまう。リフターの336万円に対して、カングーは264万7000円(MT車は254万6000円)。価格差は大きい。ルノー・ブランドが好きで、かつ目的は荷物を運ぶことと割り切れるなら、もちろんカングーで十分。でも、これからの数年をともにする新車を探しているなら、プジョーがいいだろう。

もし荷室の大きな欧州製ミニバンを探しているなら、リーズナブルな選択はフォルクスワーゲン「トゥーラン」だ。荷室容量は917リッター(とはいえ2列目をたたんでも1857リッターとリフターに届かない)。1.4リッターガソリンエンジン車は299万9000円からだ。いいクルマである。

でも、フランス製MPVに、えもいわれぬ魅力を感じるというファンがいるのは事実だ。そこが趣味の道具としてのクルマの楽しさだ。そのファンの期待に応えてくれるのが、プジョー・リフターである。

文・小川フミオ 写真・安井宏充(Weekend.)

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