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ISのエンジンは快感製造機!? スープラのフィーリングが最高! 最強エンジン搭載の国産車3選

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ISのエンジンは快感製造機!? スープラのフィーリングが最高! 最強エンジン搭載の国産車3選

 日本だけでなく世界的に減っているがゆえ、貴重かつ贅沢な存在である大排気量NAエンジンのレクサスの5L、V8は本当に最高なのか? このテーマを検証すべくIS500、GRスープラ、GT-Rを試乗&チェック!

※本稿は2023年9月のものです
文/清水草一、写真/ベストカー編集部 ほか
初出:『ベストカー』2023年10月26日号

ISのエンジンは快感製造機!? スープラのフィーリングが最高! 最強エンジン搭載の国産車3選

■ご存知清水草一氏が三種のエンジンを乗り比べる!

エンジン形式もV8、直6、V6と三車三様。エンジンの気持ちよさに定評のある3台を清水氏がイッキ乗りしてそれぞれを熱く語る!!

 トヨタがレクサスのIS500およびLC500、RC Fに搭載している5L、V8自然吸気エンジン(2UR-GSE)は、現代におけるシーラカンス……と言ったら聞こえが悪いが、超絶貴重な絶滅危惧種であり、カーマニア的には特別天然記念物であり、世界遺産と言っても過言ではない!

 なにせ、現在も大排気量自然吸気エンジンの生産を続けているのは、アメリカン・マッスルカーを除けばフェラーリ(プロサングエ)とランボルギーニ(モデル末期のウルス)、そしてトヨタだけ。

 なかでも1000万円を切る価格で、実用的なセダンボディのIS500は、世界にただひとつ残った人類の宝である!

 しかもこのエンジンは、ただのV8ではない。えも言われぬ快感をもたらす快楽製造装置だ。これほど気持ちいいV8エンジンは、過去にさかのぼってもフェラーリV8しか思い浮かばない。そんなものがまだ新車販売されているだけで涙が出る。

 というわけで、そんな世界遺産的エンジン、ほかに評価の高いスープラ&GT-Rのエンジンとともにフィーリングチェック&採点したい。

■世界的に貴重な大排気量NA(2UR-GSE)

IS500は拍子抜けするほど運転しやすく静粛性も高いが、アクセルを踏み込み回転を上げるにつれて超絶気持ちのいいエキゾーストノートに変貌

 IS500の2UR-GSEは、決してカリカリのスポーツエンジンではない。スポーティネスとエレガンスのバランスを取った、陶酔系のエンジンと言うべきだろう。

 スペックは最高出力481ps、最大トルク54.6kgm。充分すぎるパワーとトルクだが、現代の水準に照らせば決してトップパフォーマンスではない。自然吸気という時点で、トップを狙うのは到底ムリ。それよりも快感を優先したセッティングになっている。

 レスポンスは充分鋭いが、「猛烈に」ではなく、どちらかというと鷹揚なイメージだ。パワー/トルク感にいたっては、穏やかにすら感じる。この適度なレスポンスとパワーのおかげで、V8自然吸気のフィーリングや回転の上昇を、じっくり楽しむことができるのだ。

 キモは、なんといってもサウンドだ。エンジンをかけた瞬間の咆哮はそれなりに獰猛だが、日常域はジェントルでサイレント。完全な高級セダンである。

 しかし3000rpm以上まで引っ張ると、V8自然吸気らしい心地よくも微妙に甲高いサウンドが響いてきて、4000、5000rpmと、回すほどに高まる。そのまま淀みなく吹け切って8速ATがガツンとシフトアップ。スバラシイ!

 スポーツモードに切り替えれば、快音はさらに高まり、フェラーリV8を穏やかにしたような、優雅なソプラノの響きとなる。

 IS500に乗って真っ先に思い浮かべたのは、フェラーリ308QVのエンジンをディチューン(クロスプレーン化等)して搭載したランチア・テーマ8.32だ。フェラーリエンジンでありながら超絶エレガントなその回転フィールは、陶酔の一言だった。IS500は、あの再来だ!

 この陶酔のサウンドは、サウンドジェネレーターやスピーカー音ではなく、吸排気管から響いてくる本物の音だというのだから驚く。カーマニアとして、開発陣の努力に涙が止まらない。本当の本当に最高です。2UR-GSEを世界産業遺産に登録申請してください。

●珠玉の2UR-GSEの進化の系譜

2007年にレクサス IS Fに搭載されて初登場した2UR-GSE。以降、2014年登場のRC F、2015年登場のGS F、LC500と採用されてきた

 2UR-GSEは2007年にIS Fに搭載されて初登場。5L、V8DOHCは423ps/51.5kgmのスペックだったが、2014年に登場したRC Fで481ps/54.6kgmへの大幅スペックアップ。最新モデルのIS500もRC Fと同スペック。

 2UR-GSEを搭載するそのほかのモデルでは、2015年登場のGS Fは477ps/54.0kgm、LC500は477ps/55.1kgmと車種によって多少の差が付けられている。

 トランスミッションは、LC500が10速ATで、ほか3台は8速ATだ。

●2UR-GSE採点(10点満点)
・レスポンス:8点
・回転フィール:10点
・高回転の伸び:9点
・パワー感:7点
・トルク感:7点
・官能性:10点
・エンジン総合評価:10点
・クルマと合わせた評価:10点

■6MTとのマッチングが最高(B58)

現代のATは6MTと大差ないと思っていたが……クルマの楽しさを堪能するには6MTで乗るべきと断言したくなるほどいい!! BMWのシルキー6の素晴らしさをご賞味あれ

 GRスープラRZの3L、直6ターボはBMW製。個人的には、近年のBMW直6ターボに対して、フィーリング面で不満を持っている。

 マニアックな話だが、超初期のツインターボ時代はターボ化によるマイナスはほとんどなく、突き抜けるターボのパワーとトルクに大感動した(個人的に335iカブリオレを購入)。

 ところがその後、ターボがツインではなくツインパワー(シングルタービン+可変バルブ機構)になったことで、性能は出ているけれど、フィーリングの奥深さが消えた。それは高回転域で顕著。中速域まではステキだが、トップエンドまで回しても「回るだけ」という感覚になった。

 GRスープラRZに関しても、同様の感想を持っていたが、今回試乗したのは、2022年に追加された6MTモデル。個人的に初試乗で、スープラそのものの魅力を大いに見直すことになった。

 アイドリング状態で軽いブリッピングをかますと、「バルン! バルン!」と、昔懐かしいチューニングエンジンのようなサウンドが響き、この時点で早くも涙が出そうになった。走り出しても感激の涙は止まらない。

 現代のATは超速でロックアップをかますから、MTだからってレスポンスがダイレクトになるはずはないのだが、なぜかよりダイレクトに感じてしまう。

 中回転域でアクセルを踏み込んだ時に炸裂するトルクと、同時に感じる直6のウルトラスムーズネスは「うおおおお! これぞBMWのシルキー6!」と叫ぶしかない。気持ちいいぜ!

 ただ、トップエンドまでブチ回した時の平板さは相変わらず。中速で大炸裂&快感、トップエンドで「あれ?」という特性は、基本的にはダウンサイジングターボのソレ。日常的なレスポンスやトルクは最高に気持ちいいが、本気になるとどこか肩透かし感がある。

 しかしそれでも、BMWの3L、直6ターボをMTで味わったのは久しぶりで、「やっぱりこれが王道だな」と痛感させられた。見直したぜ、GRスープラ!

●B58採点(10点満点)
・レスポンス:10点
・回転フィール:8点
・高回転の伸び:7点
・パワー感:9点
・トルク感:9点
・官能性:8点
・エンジン総合評価:8点
・クルマと合わせた評価:9点

■無敵であることが最大の美点(VR38DETT)

騒音規制に適合させた2024年スペックは従来モデルよりも静かだが、アクセルを入れるとやっぱりGT-Rだった

 正直なところ、GT-Rの3.8L、V6ツインターボを、あまり気持ちいいと感じたことはない。速さはピカイチだし、もちろんチューニング素材としてはブッチギリで世界ナンバーワンだが、エンジン快感フェチとしては、回転フィールの快楽を求めて乗る種類のエンジンではないと断言する。

 そこにあるのは暴力的な加速だ。しかも現代の水準に照らすと、かなりドッカンターボの部類に入る。GRスープラRZからGT-Rに乗り換えると、それがよくわかる。

 GRスープラは、アクセルを踏めばどの回転域からでも瞬時に反応するが、GT-Rはタービンの動きがだいぶ重い。

 2020年モデルのビッグマイナーチェンジで、そのあたりが劇的に改善されたのに、それでもやっぱり現代のターボとしては動きが重く、アクセルを踏み込んでから大パワーが炸裂するまでタイムラグを感じる。

 ただし、タービンがしっかり回った時のパワーはレベルが違う。GT-Rのエンジンはそういうキャラクターで、それが最大の魅力だ。

 快感面で重要な意味を持つサウンドについては、初期モデルからずーっと、特段のものはなかった。「ひいいいいいい~ん」というサウンド(複雑な4WD機構の抵抗音を含む)はGT-R独特ではあるが、演出にこだわった感じはほとんどなく、自然に漏れているだけに思える。

 サウンドを含めた回転フィールを表現すると「工場」だ。黙々とパワーを生産する工場なのである。相手をブチ抜いた時は快感だが、相手がいないとちょっと寂しい。

 やはり、GT-RのVR38DETTの美点は、ひたすら「無敵」という点にある。快感など無視して、性能だけを追求した兵器のような特性に凄味を感じる。2024年モデルは、騒音レベルを抑えるために特殊なサイレンサーを採用し、さらにその感覚が強まったかもしれない。

 この情け容赦のないGT-Rのエンジンフィールを、快楽に感じる者もけっして少なくないはずだ。なにしろ無敵なのだから。

●VR38DETT採点(10点満点)
・レスポンス:8点
・回転フィール:7点
・高回転の伸び:9点
・パワー感:10点
・トルク感:10点
・官能性:5点
・エンジン総合評価:10点
・クルマと合わせた評価:8点

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みんなのコメント

2件
  • エガちゃんねらー
    乗った事無いけどR35は凄いと素直に思う
    じゃあ金があったら33から乗り換えるか、
    と聞かれたらノーと答える
    ここ数年でやっとAE86乗りの気持ちが分かった
  • TEI********
    海外ではISは5Lを持ってしても全然評価されてないけど
    シャシー含めて10年以上前の骨董品使い回しだからかな
    その間にライバル達は二度もモデルチェンジしてるのだからしゃーないわな
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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