■なぜ「緑」ではなく「青」?
クルマが道路を走行するうえで欠かせない信号機。車両用の場合、色の配置は基本的に「緑・黄・赤」という順番ですが、この緑を日本では「青信号」と呼ぶ人が多くいます。
海外などでは、緑と呼ぶのが一般的なようですが、なぜ日本では青信号なのでしょうか。
信号機の歴史は、クルマが開発される以前から存在していたようです。1868年にイギリスで馬車の交通整理のために設置されたものが、世界初の信号機とされています。
当時は電気式ではなくガスを光源とし、手動で「緑」と「赤」の信号を切り替えていたようです。
その後、1918年にアメリカのニューヨーク5番街にて、世界初の自動交通信号機が設置され、このアメリカの信号機は、1935年に東京都日比谷交差点に日本初の自動交通信号機として設置されました。
信号機には当時から「緑・黄・赤」の3色が使用されており、CIE(国際照明委員会)でも明確に指定されています。この3色はすべて人間が視認しやすい長さの「波長」を持っており、距離が遠くても視認しやすいため選ばれたとされています。
それぞれの色について、「緑」は色相環図などでは赤とほぼ正反対の色となっているため、赤と区別しやすいように決められたといわれ、「黄」は、色相環図のなかで赤と緑の中間にあたる色とされ、識別しやすいといった理由です。
最後の「赤」は血と同色で人間が識別しやすく、遠くからでも見えやすい色とされています。赤信号は日本のような左側通行では一番右、アメリカのような右側通行では一番左にありますが、これはより広範囲から確認できるよう道路の中央付近に配置し、視認性を高める狙いによるものとされています。
なお、信号機に使用が許されている色は「緑・黄・赤・白・青」の5色で、交通信号には「緑・黄・赤」の3色、航空信号等には「白・青」の2色の使用が許されています。このルールは世界共通で、どこへ行っても同じ信号機を見かけるのはこのためです。
しかし、「緑」は海外では共通認識とされているのに対し、日本ではユーザーの間だけでなく法令上でも「青」と呼ばれています。なぜ、青と呼ばれているのでしょうか。
実は、もともとは法令上も「緑色信号」と呼ばれていましたが、1947年に道路交通法の前身である「道路交通取締法」の制定時に「青色」へ変更されます。
変更された理由は、一般的に「青信号」が根付いていたためとされていますが、それには日本文化が影響しているようです。
日本では古くから「青野菜、青リンゴ」など、緑色のものを青色と表現する文化があります。この日本独特の表現が日本人の習慣に根付いていたため、馴染みやすくするために「青信号」になったという説が有力です。
世界的には「グリーンライト」「グリーンシグナル」などと呼ばれるように、緑として認識されています。
また、交通管理技術の研究開発をおこなう公益法人・日本交通管理技術協会の資料によると、交通用信号機は戦前のうちから全国の主要都市に普及し、1941年の時点で警視庁管内には370か所あったそうです。
■LED信号にはどんなメリットがある?
近年では、白熱電球ではなくLEDを使った信号機が増えていますが、LEDにはどんなメリットがあるのでしょうか。
信号機を製造する株式会社京三製作所は、次のように話します。
「最大のメリットは『擬似点灯』が起こらなくなったという点です。直射太陽光が信号機に当たった際に、青黄赤の全てが光って見える現象を擬似点灯といいます。
昔の電球式の信号機の場合、電球の光が信号機内部の反射鏡に跳ね返り、その光が色つきレンズを通すことで、私たちは赤色とか青色などの色を認識していました。そのため、直射太陽光が当たると青黄赤の全てが光って見え、擬似点灯がよく発生していました。
それがLEDになり、色つきレンズや内部の反射鏡を使わなくなったことで、擬似点灯が起きなくなりました。
加えて、LEDになったことで省電力、長寿命になりました。60ワットだった消費電力が10ワット以下になり、6分の1以下になったのです。
電球式は数か月に1度、電球が切れる前に定期的に交換していましたが、LEDの信号機は本格的に設置されてから20年が経過しても、まだ1度も交換されていません」
さらに、日本信号株式会社は以下のように話します。
「構造上の見直しにより軽くなっています。電球式では20kg程度の重量でしたが、現状のものは10kg程度となっています」
軽量化することで、災害時に倒れた際の衝撃も緩和できるなど、さまざまなメリットがあるようです。
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みんなのコメント
つまり、日本人にとっては青と緑は同じ意味なんです