新車試乗レポート [2022.09.13 UP]
【試乗レポート シボレー コルベット】ゴルフにも行ける本格スポーツカー
文●九島辰也 写真●ユニット・コンパス
1953年に誕生したコルベットは、来年70周年を迎える。ひとつのネーミングでこれだけ息の長いモデルは多くない。しかも8世代を数えるが、それぞれのモデルサイクルが長いのも特徴。そもそもが特別なクルマなだけに長い開発期間を必要とするのがその理由だ。
伝統を継承しながら新しい発想を取り入れた8代目
シボレー コルベット
そんなコルベットは日本にも多くのファンはいるし、歴代モデルもたくさんある。おかげで取材と試乗をした経験は数多い。そしてそのどれもが魅力的であることは言うまでもない。
さて、C8コルベットである。このモデルは伝統を継承しながらもまったく新しい発想で仕上がった。開発者の視線の先にあるのはレーストラック。そこでの圧倒的なパフォーマンスアップを求めてこのクルマは開発されたと考えられる。
もちろん、「コルベット=レース」の図式は昔からある。60年代のトランザムレースもそうだし、1999年のコルベットレーシング結成もそうだ。翌年からスタートしたル・マン24時間レースへの挑戦やアメリカ・ル・マンシリーズ参戦がクルマ開発に直接影響してきたのは言うまでもない。C5RからフィードバックされC5 Z06が誕生した後、ボディ剛性の高いC6、C7へと進化した。
ミッドシップ化がもたらした変化とメリット
シボレー コルベット
そんな流れの中で生まれたC8はコルベット史上初のミッドシップエンジンとなる。コークボトルシェイプと言われたロングノーズ&ショートデッキのFRパッケージングとは異なるスタイリングだ。
よって、真横から見てもらうとわかるように、これまでとはキャビンの位置が違う。ドライバーの後にエンジンを積むことで、フロントピラーの付け根はこれまでより前方に移動した。これでドライバーの頭はホイールベースのほぼセンターにポジショニングされる。そしてそれは前後重量配分にも影響する。目指したのは50:50ではなく、40:60。起源は、50年代初頭のフォーミュラマシンで、それがレーストラックを速く走らせる上でのメリットと考えた。
コンバーチブルは見た目から想像できない快適さを備えていた
シボレー コルベット
今回の試乗車はリトラクタブルハードトップを持ったコンバーチブルである。グレードは3つあるが、トップエンドに位置する。試乗は、東京と千葉の一般道、高速道路、ワインディング。昨年秋ぶりのテストドライブだ。
走り出してしばらく経つと、乗り心地の良さが際立った。見た目からは想像できない快適さである。これはマグネティックセレクティブライドコントロールと呼ばれるサスペンションが関係する。ダンパー内部の磁性流体がリアルタイムで粘性を調整するのだ。で、これがドライブモードセレクターで変動。デフォルトとなる“ツーリング”では柔らかさが強調され、サーキットを意味する“レーストラック”では硬さが顔を出す。
さらに言えば、ドライブモードの変更で、パワステの強弱、ブレーキフィーリング、シフトタイミング、エンジン音の大きさが変わる。個人的な嗜好で細かな調整ができるのだ。
なのでいろいろ試してみるとこのエンジンの懐の深さがわかる。ガッツリ上まで回すことも低回転域をトルクで貼るようなこともできてしまうのだ。しかも自然吸気のフィーリングをあらゆるシーンで感じられる。
エンジンは“LT2”と呼ばれる6.2リッターV8で最高出力502psを発揮する。リンケージを使ってカムを動かすコルベット伝統のOHV方式だ。この他では、大径のスロットルボディ、効率よく空気を流す排気マニフォールド、ドライサンプなどを採用。C7でも使われたドライサンプはオイルパンの無い分エンジンを低く積めるメリットもある。
シボレー コルベット
スペックと成り立ちはレーシーだが、日常使いにも耐えられる仕上がり
シボレー コルベット
以上がC8コルベットの概要と印象。かなりレーシーではあるが、ミッドシップを選択したものの日常使いも自由にできる。この仕上がりはお見事。エンジン後方のスペースにはゴルフバッグが一つ積めるのも見逃せない。コルベットで休日ゴルフ場へ、なんてのは優雅なカーライフかもしれない。
自動車ジャーナリストの九島辰也氏
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みんなのコメント
もちろん運転手付き。
コーヴェットやムスタング マッハ Ⅰ に乗ってるのはバカ息子だったりする。
土曜日も仕事だった時代ね