今季、F1チームにとって大きな話題となっていた設備投資の緩和について、10チームを3つのグループに分けて設備投資に使える金額を分けることになったが、アルファタウリF1のピーター・バイエルCEOはこの取り決めを不満に思っているようだ。
予算上限の導入により、ウイリアムズのように設備投資で後れを取っていたチームがインフラを改善して上位チームに追いつくことが不可能となっていた現状に対し、解決策が検討されてきた。
■設備投資のための追加支出OKに! 下位F1チームは2000万ドルの追加支出を認められる。上位チームは600万ドル加算
FIAとチームは最終的に、2020年~2022年シーズンの結果で10チームを3つの”部門”に分け、設備投資額の上限を定める形に落ち着いた。
2024年に関してはレッドブルとメルセデス、フェラーリが属する”上位ディビジョン”のチームは5100万ドル(約76億円)、中位グループは5800万ドル(約86億円)、アルファタウリやアルファロメオ/ザウバー、ハース、ウイリアムズの下位4チームは6500万ドル(約97億円)の投資がそれぞれ認められている。
つまり上位チームと下位チームの差は1400万ドル(約21億円)であり、これが上位チームとの差を埋めるための資金として使われることになる。
しかしFIA在籍時に予算上限や財政規則の作成に携わったアルファタウリのピーター・バイエルCEOは、アルファタウリがこの追加資金の恩恵を受けることができないという。
「最初の疑問は、本当にお金があるか、ということだと思う」
「というのも、予算計画のために株主総会に出席した際、我々はその資金をまったく予想していなかったからだ。だから正直なところ、あまり賛成ではない」
「ご存知のように、私は予算制限の立案者のひとりであり、競争条件を公平にすることを目指した。今は、時には調整が必要なことも理解しているし、実際そうした」
「しかし、それを理解するのは難しいと思う。計画を立て、どこにお金を使うかに集中する。そして1ヵ月後、すべてが変わっているんだ。『私は計画を立てた。この人たちは私が知らないことを知っていたのかもしれない』と感じるんだ」
ウイリアムズはすでに設備投資用の資金を確保しており、ザウバーはアウディによる買収に先立ちヒンウィルの拠点を増強することに熱心だが、アルファタウリが追加資金を見つけるのはそれほど簡単ではないとバイエルは言う。
「我々にとっては、かなり難しいのは間違いない」
「同時に、トップチームから見れば公平ではないかもしれない。というのも、予算制限を定める最初の段階で、フェラーリやレッドブルといったチームの予算額を見たからだ」
「文字通り、彼らがどうやってすべての予算を制限内に詰め込むのか理解できなかった。だが彼らはそれをやってのけた。そして今、状況は再び変わりつつある。全体的な状況にはあまり満足していないよ」
バイエルはまた、アストンマーチンとマクラーレンが、設備投資の制限に関して特例が設けられていた風洞を新たに建設したことについても言及した。
「この件に関する難しい問題は、ドアが開かれたからには出費をしなければならないということだ」
「なぜなら予算制限は支出を制限するものであり、支出はパフォーマンスを決めるものだからだ」
「制限が開放されたら、風洞のようになる。ローレンス(・ストロール/アストンマーチンF1オーナー)は風洞を手にした。突然、新しい風洞が出現したんだ。それまでは誰もが未来はCFDだと言っていたにも関わらずね! そしてもっとお金をかけようというわけだ」
バイエルは、もしチームが資金を見つけることができた場合、ファエンツァの施設のどこを改善すればいいかは分かっていると話した。
「私は常にウィッシュリストを持っている」
「おそらく、私の頭の中でそのトップは、とても素晴らしいシミュレーターだと思っている」
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