ドライバーにも好印象な7シーター・ミニバン
確かに、スタイリングは色っぽくないかもしれない。しかし、2代目フォルクスワーゲン・トゥーラン(ゴルフトゥーラン)は、驚くほど実用的で運転しやすい。ドライバーにも好印象な7シーター・ミニバンをお探しの方へ、好適なモデルといえる。
【画像】かなり使える「自在な7シーター」 VWゴルフトゥーラン 同時期のゴルフ 競合のグランドC4も 全122枚
トゥーランは、英国では該当クラスのベストセラーに輝いている。2代目は2015年に登場しているが、中古車の人気も高い。
英国仕様の場合、エンジンのバリエーションは多彩で、幅広いニーズに応える。どれを選択しても、不満ない動力性能を発揮してくれる。
モデル初期に載った1.2Lと1.4Lのガソリンターボは、静かで上質。市街地移動が多い使い方に適している。1.6Lと2.0Lのディーゼルターボは、トルクが太く燃費に優れ、高速道路での移動が多い人へ向いている。
1.6Lディーゼルターボの最高出力は、当初109psだったが、2016年に114psへ上昇。2019年には、ガソリンターボが1.0Lと1.5Lの2択へ改められた。2021年以降の英国仕様は、150psを発揮する1.5 TSI 150のみへ絞られている。
これもトルクフルで、大人7名が乗車しても加速力は充分。低回転域から、しっかり四角いボディを引っ張ってくれる。ちなみに、0-100km/h加速は8.9秒がうたわれる。
運転した印象は、ステアリングの反応を予想しやすく、適度に引き締まった姿勢制御で安心感が高い。乗り心地はしなやかで、グリップも充分だ。快適性を重視するなら、16インチ・アルミホイールの方がベターだろう。
使い勝手に長けた車内空間が真骨頂
トゥーランがベースとするのは、7代目フォルクスワーゲン・ゴルフと同じプラットフォーム。ダッシュボードや内装には適度な高級感があり、操作性も良い。
英国で選べるトリムグレードは5種類。エントリーグレードの「S」でも装備は充実し、安全機能にも抜かりない。唯一スチールホイールを履くが、デジタルラジオ対応インフォテインメント・システムにパワーウインドウ、ヒーター内蔵ドアミラーなどが付く。
SEでは16インチ・アルミホイールとオートライト、オートワイパー、アダプティブ・クルーズコントロールを獲得。SEファミリーには、パノラミック・サンルーフが与えられ、インフォテインメント・システムがアップグレードされる。
SELとRラインが上級グレード。アルミホイールがインチアップされ、3ゾーン・エアコンを装備。専用のボディキットで差別化もされる。
トゥーランの真骨頂といえるのが、使い勝手に長けた車内空間だろう。2列目は、3脚の独立したシートで構成され、個別にスライドとリクライニングが可能。チャイルドシートも、3脚並べて固定できる。
スライドドア側のシートを畳めば、3列目の乗降性を高く保てる。そして、この3列目は荷室フロアとフラットに格納可能。座れる状態にしても、大きめの買い物袋を問題なく積める空間が残る。
さらに、2列目と助手席もフラットに倒れる。そうすれば、小さな商用車並みの荷室を生み出せてしまう。
知っておくべきこと
英国市場の場合、2代目トゥーランの中古車価格は1万1000ポンド(約208万円)から。2018年式以降は1万3000ポンド(約246万円)以上、2020年式以降では2万ポンド(約378万円)以上は見ておきたい。
気筒休止システムを備える1.5 TSI 150の燃費は、デュアルクラッチATのDSGで15.2km/L。マニュアルなら15.4km/Lがうたわれる。ディーゼルターボの1.6 TDIの場合、DSGで17.8km/Lとなっている。
2代目トゥーランの信頼性は、さほど高いとはいえない。英国で該当するミニバンのクラスでは、7台中7位にランク付けされている。
購入時に気をつけたいポイント
リコール
2代目トゥーランには、英国では多くのリコールが出されている。原因は、ライト類に対する警告灯、エアバッグとシートベルト・プリテンショナー、電源制御ユニット、ヘッドレスト、エンジンのトルク不足など。
燃料タンクの素材の厚みに関しても、リコールが報告されている。すべて対応済みか、ディーラーで確認しておきたい。
デュアルクラッチAT
フォルクスワーゲンがDSGと呼ぶデュアルクラッチATは、高額な修理が必要になる故障が少なくなかった。2代目トゥーランでは症状は減少しているようだが、減速時に不自然な振動が生じないか、予め試乗で確かめたい。
トリムグレードとスペック
英国編集部がオススメするグレードは、SE。16インチ・アルミホイールにパワーウインドウ、プライバシーガラス、エアコン、ピクニックテーブル、アームレスト、フロントシート下部のトレイ、パーキングセンサーなどが備わる。
英国編集部の推しチョイス
ベスト:1.5 TSI 150
マイナーチェンジで追加された、150psを発揮する1.5Lガソリンターボがオススメ。ディーゼルターボより中古車価格は安く、不満ない動力性能を発揮する。吹け上がりは滑らかで、ラインナップでは最も洗練されたユニットだ。
ワイルドカード:シトロエン・グランドC4 スペースツアラー
グランドC4 ピカソとも呼ばれていた、フランス製の優れた7シーター・ミニバン。トゥーランより乗り心地は快適志向。ただし、同等に多彩なシートアレンジが可能なわけではない。
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