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【ドイツ訪問】新型メルセデス・ベンツCクラスPHEV「C 300e」 日本人ジャーナリスト試乗

掲載 更新 9
【ドイツ訪問】新型メルセデス・ベンツCクラスPHEV「C 300e」 日本人ジャーナリスト試乗

新型Cクラス PHEV「C 300e」追加

text:Toshimi Takehana(竹花寿実)

【画像】グレード別 世代別 Cクラスの違い【詳細画像】 全95枚

editor:Taro Ueno(上野太朗)

今年2月に先代のW205の登場から7年でフルモデルチェンジとなったメルセデス・ベンツCクラス(W206)

発表当初のラインナップは、1.5Lまたは2.0Lの直4ガソリンターボまたはディーゼルターボに、ISG(インテグレーテッド・スターター・ジェネレーター)を組み合わせたマイルドハイブリッド(とは言ってもISGは最大トルクが20.4kg-m!)のみだったが、PHEV(プラグイン・ハイブリッド)バージョンも後日追加予定である事がアナウンスされていた。

今回試乗したのは、そのPHEVモデルである。

新型CクラスのPHEVモデルは、2.0Lガソリンターボエンジンを搭載したC 300eと、2.0Lディーゼルターボエンジンを積むC 300deの2タイプが用意され、2022年初旬に欧州市場でリリースされる予定だ。

今回は、このうちガソリンPHEVであるC 300eセダンのプロトタイプに試乗する事ができた。

7月22日、メルセデス・ベンツは、2030年までに全てのモデルを電動化する計画である事を明らかにした。

「市場環境が許せば」という注釈付きではあるが、今後彼らは2024年までに3タイプのBEV(バッテリーEV)専用アーキテクチャーを用意し、それらを用いたモデルでポートフォリオを構築する。

当然、ICE(内燃エンジン)開発への投資は縮小してゆく。

つまりPHEVは、電動パワートレインではあるものの、もはや「繋ぎ」の技術とされてしまったわけだ。

純粋なICE車やバッテリーEVと比較して、複雑な機構を搭載し、開発・生産コストが高いわりには、LCA(ライフ・サイクル・アセスメント)の観点でCO2排出量削減効果が低いPHEV。

2039年にCO2ニュートラルなメーカーとなる事を目指すメルセデス・ベンツとしては、早めに切り上げたいところなのかもしれない。

2021年現在 PHEVの役割とは?

だがPHEVには、顧客をBEVへと誘う効果が大きいという商品特性がある。

これまでに登場したモデルの多くも、電気モーターのみで50-60kmの走行が可能で、ユーザーはEV走行時にBEVについてある程度イメージする事ができる。

その点で、今回のC 300eは大幅な進化を遂げた。

C 300eは、204psの最高出力と32.6kg-mの最大トルクを発揮する2.0L直4ガソリンターボエンジン(M254)を搭載し、トランスミッションは9速ATの9Gトロニックが組み合わされる。

電気モーターは最高出力95kW(129ps)、最大トルク44.9kg-mで、システム全体で312psと56.1kg-mを発揮するというから、もはや少し前のハイパフォーマンスモデル並みのスペックである。

注目はバッテリーサイズである。

C 300eは車両後部に25.4kWhのリチウムイオンバッテリーを搭載する。これは初代日産リーフの24kWhをも上回るのだ。

つまりC 300eはPHEVながら、一昔前のBEVをも上回る大容量バッテリーを積んでいるのである。

結果、C 300eのEVモードにおける航続距離はWLTPで最大110kmに達している。これだけ走れば、デイリーユースではほぼBEVとして使えそうである。

ちなみに充電は55kWの直流急速充電に対応していて、約30分間でフル充電が可能。11kWまで対応するオンボードチャージャーも搭載し、家庭用ウォールボックスでも充電できる。

なお今回の試乗車はセダンの2WDモデルだったが、市場導入時には、ディーゼルPHEVのC 300deとともに、セダンとステーションワゴンで2WDと4WDが選択可能になる模様だ。

210kmのルートでC 300eに試乗

今回はスイス・チューリッヒから、ドイツ・イメンディンゲンに2018年9月に開設された、メルセデス・ベンツの最新開発拠点であるTTC(テスト・テクノロジー・センター)までの約110kmと、TTCからチューリッヒ空港までの約100kmの、合計でおよそ210kmのルートを試乗した。

通常のマイルドハイブリッドモデルとC 300eの見た目の違いは、ヘッドライト内部にブルーLEDのアクセントが備わる点と、車両左側後部に充電口を装備する事くらい。インテリアも基本的に他の仕様と変わらないが、ラゲッジスペースの形状は異なる。

C 300eはラゲッジ下部に大容量バッテリーを搭載するため、フロアが持ち上げられ、容量が通常445Lのところ315Lと、140Lも小さくなっている。

ただし、フロア高が開口部の下端とほぼ同じになっているので、使い勝手は悪くなさそうだ。

なおステーションワゴンのラゲッジ容量は、通常490LのところPHEVは360Lとなる。

スタートボタンを押して、シフトセレクターをDレンジに入れ、電動パーキングブレーキを解除して試乗スタート。

始動時はEVモードがデフォルトなので、エンジンはかからない。それでもチューリッヒ湖畔の勾配のきつい登り坂をグイグイと力強く登ってゆく。

EV走行時にはパドルスイッチで回生力の強さをD+、D、D−の3段階で調整できる。

D+ではほぼワンペダルドライブも可能だが、慣れるまではギクシャクした運転になりがち。

下り坂やワインディングロードを積極的に走る時などには強めに、低速時には軽めにするなど、ドライバーの好みや走行環境に合わせて使い分けるのが良さそうだ。

常用域ではほとんどエンジンかからず

電気モーターだけで44.9kg-mもの大トルクを発生させるので、常用域ではほとんどエンジンはかからない。

ハイブリッドモードでもバッテリー残量が十分にある時はEV走行となり、直4ターボはアウトバーンで追い越し加速をするときなどに一瞬始動する程度だ。

ただし、スポーツモードを選択すると、エンジンは常時回り、勇ましいエグゾーストノートとともに、なかなかダイナミックな走りを披露する。

ちなみにエンジンが回っている間、パドルスイッチで変速が可能になる。

事前にアナウンスされた情報では、EVモードにおける最高速度は140km/hとされていたが、今回ドイツのアウトバーンの速度無制限区間で試してみたところ、メーター表示で151km/hまで電気モーターのみで加速した。

そしてEV航続距離は、掛け値無しに100km以上である。もはやICEは追い越し加速時のアシストと、バッテリーが底を突いたときのための保険といった感じである。

ハンドリングは、大容量バッテリーの搭載で車両重量が大きく増している事を考えれば、十二分に俊敏で素直だ。直進安定性も良い。前後重量配分も悪くなさそうである。

225/45R18サイズの「MO(メルセデス・オリジナル)」と表記のある、グッドイヤー・イーグルF1アシンメトリック5を履いた足回りは、やや硬質な感触だが、乗り心地も特に文句は無い。

だがマイルドハイブリッドモデルにまだ乗っていないので、明言はできないのだが、PHEVとはいえ、新型Sクラスと同じMRA IIプラットフォームを採用した新型Cクラスの、本来の快適性がこの程度とは到底思えない。

市場投入までには、さらに上質な乗り味となる事を期待したいところである。

過去にも先代Sクラスや改良前のEクラスのPHEVモデルは、ラインナップ中ベストと言ってもいいほど非常に上質な乗り味を実現していたので、決して不可能ではないはずだ。

そうなれば、将来的なBEVの顧客もより多く掴まえられるかもしれない。

とはいえ試乗していてドライビングが楽しい、気持ち良いと感じたのは、わたしが保守的なのかもしれないが、やはりスポーツモードで迫力あるエンジンサウンドを聴きながらワインディングロードを走っていたときだった。

メルセデスにはマイルドハイブリッドでもPHEVでも構わないので、ICEを搭載したモデルを「市場環境が許すかぎり」作り続けてくれることを願う。

メルセデス・ベンツC 300eのスペック

価格:-
全長:-
全幅:-
全高:-
最高速度:245km/h
0-100km/h加速:-
燃費:−
CO2排出量:24-14g/km
車両重量:-
パワートレイン:直列4気筒1999ccターボチャージャー+電気モーター
使用燃料:ガソリン
バッテリー:25.4kWhリチウムイオン
最高出力:312ps(システム総合)
最大トルク:56.1kg-m(システム総合)
ギアボックス:9速オートマティック

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みんなのコメント

9件
  • 先ずは、このコロナ禍にドイツに試乗行ってる日本人がいることに驚く。

    日本帰国後の14日間自己隔離・外出禁止は誰も免れないはずだけど、その間は国内取材・国内試乗ゼロでも成り立っちゃう商売なのかね、自動車ジャーナリスト??
  • エンジンがかからない状態が長期間続いたら、エンジンのコンディションが落ちていかないのかな
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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