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市販車に近いパーティーレースとS耐マシンの「ロードスター」を徹底比較! なぜ富士スピードウェイで10秒も違うのか?

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市販車に近いパーティーレースとS耐マシンの「ロードスター」を徹底比較! なぜ富士スピードウェイで10秒も違うのか?

 この記事をまとめると

■スーパー耐久とワンメイクレースに出ている車両の違いを比較

「偉大なる草レース」のS耐でも一番安くて2000万円! レース参戦の「お金」のリアル

■同じベース車で同じコースを走ってもタイムが10秒以上違うケースもある

■ルールによって装備や重量が細かく決められている点で差がついている

 レーシングカーとワンメイクマシンを徹底比較!

・S耐マシンは何が違うの?

 プロとアマチュア、さまざまなドライバーが参戦するスーパー耐久(以下:S耐)は「参加型レースの最高峰」ともいわれている。そんなS耐には、レースマシンとして開発されたGT3やGT4マシンも参戦している一方で、街でよく見る市販車をベースにしたマシンも多く参戦しているのが特徴だ。

 いったいこれらは普通のナンバー付き車両とどこが違うのか? 今回は筆者が参戦したロードスターカップ(ロードスターパーティーレース仕様に準拠)のマシンとST-5クラスに参戦するS耐仕様のロードスターを比べて見てみよう。

・その差は約10秒! タイヤとリミッターの有無がポイント

 今回、24時間レースと併催となったロードスターカップの舞台は富士スピードウェイ。取材をした65号車odula TONE 制動屋 ROADSTERは予選で2分3秒850というコースレコードタイムを記録した。対して、今回筆者が参戦したロードスターカップ1.5チャレンジのレコードタイムは2分12秒204。コンディションの差などもあるが、同じ形のロードスターでも約10秒もタイムが異なる。

 タイムが違う大きな要因としてまず上げられるのがスピードリミッターだ。ロードスターカップはパーティーレース仕様に準拠しているため、ルール上スピードリミッターの解除が出来ない。ただ、富士スピードウェイではノーマルのNDロードスターでも180km/hのスピードリミッターに当たってしまうのだ。

 そして、タイヤの違いも大きい。ロードスターカップ1.5チャレンジはブリヂストンのポテンザアドレナリンRE004が指定となっている。S耐はブリヂストンのスリックタイヤで、グリップ性能が大きく異なる。

 ちなみにタイヤサイズはロードスターカップが195/50R16、S耐はST-5クラスが190/570R15(570はタイヤ外径を示す競技用タイヤ特有の表記)となっていて、意外なことにS耐マシンはインチダウンされているのだ。

 このタイヤに組み合わされるホイールは、基本的に市販と同じ4または5穴のもの。取材した65号車はレイズのCE28でオフセットのみ特注となっていた。

 S耐マシンはレーシングカーそのもの!

・そのほかの速さの秘密

 ただ、先ほど紹介したリミッターとタイヤだけで、10秒という差がつくとは考えにくい。速さを得るためにはほかにも手が加えられているはずだ。ということで細部をより見ていくと、まだまだ違いがあることに気づく。

 まず、見てわかりやすいのがエアロパーツだ。S耐では運営に認められた市販部品のみ装着が可能となっている。レーシングカーの証でもあるGTウイングは、ほとんどの車両(ハッチバック系を除く)に取り付けられているが、フロントリップやバンパーは同じ車種でもチームによって異なる。65号車はオーデュラ製のフロントリップなどを装着するが、ほかのロードスターは純正アクセサリーのみにとどめている車両もある。なお、市販エアロパーツひとつあたりの上限金額(販売価格45万円以下)が決められているのもS耐ならではの面白いレギュレーションだ。

 エンジンもファインチューニングされているが、大幅な変更はない。エンジンのバランス取りを行い純正書き換えでECUを変更程度となる。吸排気系は大きな変更はできない。65号車は純正形状のエアクリーナーボックスにラムエアインテークを装着。排気系はエキゾーストマニホールドから後ろの変更が認められている。これで純正の約130馬力から160馬力前後にまで引き上げられているとのこと。

 足まわりの変更点は、ショックアブソーバーとブッシュ関係がメイン。ただ、ブッシュに関しては全体ではなく部分的に強化品に変えるチームもあるとのこと。このあたりはセットアップやチームの考え方で異なるだろう。また、LSDも機械式に変更とされている。

 ボディはスポット増しが施されていて、車内を見るとロールバーが組まれ、レースに不要な助手席など、余計なものが撤廃されている。なお、パワーウインドウは備わっていて、ユニットや操作系も純正のまま残されている。

 シートは基本的に市販のフルバケットシートへと変更。ここまでだとかなり軽そうに見えるが、同クラス内で性能均衡を保つため、ロードスターは1015kgとS耐では最低重量が定められている。ロードスターカップの最低重量は1010kg(パーティーレースは1085kg)なので、数字を見るとノーマルから物凄く軽くなっている訳ではない。なお、ST-5クラスで戦うMAZDA2やフィット、ヤリスなどのFFハッチバック勢は1トンを切る数値が最低重量となっている。

 この最低重量による性能調整がS耐を面白くしている要素のひとつといえよう。ちなみに、GR86などに代表される、2.4リッターまでの車両がエントリーできるST-4に参戦する2リッターのロードスターRFは、最低重量が960kgとなっている。なんとST-5のロードスターより軽いのだ。なお、GR86の最低重量は1185kgとなっている。つまり、ライバルより排気量が小さいぶん、より軽い重量が認められているということになる。

・耐久レースならではのポイント

 耐久レースならではの強化ポイントもある。まずは冷却関係。エンジン、ミッション、デフなどにはオイルクーラーが装備されていて、レーシングスピードでの長時間走行にも耐えられるようになっている。オイルクーラー関係はパーティーレース仕様も含めて、通常のロードスターには装備されていない。また、耐久レースらしい装備としては燃料タンクが安全タンクに代わっているのもポイントだ。なお、搭載可能なタンク容量はクラスによって異なっていて、ST-5クラスの場合は45リットルとなる。

 ブレーキキャリパーは意外にもノーマル。ブレーキパッドやローター、ブレーキラインの変更のみで対応できるとのこと。より速いクラスになると車重があるため、ブレーキキャリパーの変更が車種によって特認されることもある。この特認が認められるか否かも性能調整のひとつのポイントといえる。

 そのほか、意外とノーマルな部分としてはトランスミッションが挙げられる。パワーとグリップが上がっているが、ミッションは基本的にノーマルだ。なお、特認でミッションが変わっているマシンもある。同じST-5クラスを戦う現行フィットは、MTミッションの設定がないため、MTへの換装が認められているのだ。また、3.5リッターまでの排気量で戦うST-3クラスでは、3.7リッターで特認を受けるZ34と3.5リッターのRC350の性能差を埋めるため、Z34は純正Hパターン、RC350はシーケンシャルミッションが認められていることもある。

 ロードスターに関して、特認という面でいえばハードトップだ。NDロードスターの市販パーツとして見ることのないハードトップだが、S耐では特認パーツとして認められている。

 このように見比べてみると意外とノーマルな部分もあるS耐マシン。もし、近くで見る機会があれば、市販車との違いを実際にチェックしてみると面白いかもしれない。

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みんなのコメント

10件
  • hab********
    一番大きな割合を占めてるのはタイヤの性能差でしょうね。
    リミッターはどのあたりで作動するのかな?
  • 葛葉恭次
    むしろ逆に違わなかったら…

    お金も掛けたし頑張ったしでかわいそう過ぎるだろwww
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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