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クラッシュからの完全復活を目指して好走したMOTUL Z。松田次生が振り返る鈴鹿での“精神的な辛さ”

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クラッシュからの完全復活を目指して好走したMOTUL Z。松田次生が振り返る鈴鹿での“精神的な辛さ”

 酷暑のなかで行われた2023スーパーGT第5戦鈴鹿。今回も悲喜交々の展開となったGT500クラスの2番手でチェッカーを受けた23号車MOTUL AUTECH Zの松田次生にとっては“6月の悪夢”と闘う重要な一戦となった。

 6月3~4日に行われた第3戦のレース後半、松田は130Rを抜けたところでGT300クラスの車両と接触しシケイン手前のフェンスに激突。ボディカウルがすべて破損し、モノコックが剥き出しになるインパクトのクラッシュを喫した。

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 これにより約1カ月半にわたって入院生活を強いられた松田。第4戦富士での復帰を目指し厳しいリハビリ生活にも耐えてきた。その富士ラウンドでは結果を残せず13位に終わってしまった。今回は50kgという重いサクセスウエイトを背負いながらも、予選では2番グリッドを獲得。決勝でも終始上位を争うレース運びをみせた。

 鈴鹿はニッサンZとミシュランタイヤの相性が良いことで知られているものの、今回の決勝レースは想定以上の暑さだった模様で、MOTUL AUTECH Zはロニー・クインタレッリが前半の2スティントを担当した後に松田に交代した。

「今回はタイヤがけっこうキツくて、ブリスター(編注:タイヤコンパウンド内の温度が上がり火ぶくれができ、その部分の表面ゴムが遠心力によって飛び散り、タイヤの表面にくぼみができてグリップダウンを招いてしまう現象)もかなり出ていました。僕も想定より長く走ることになって、タイヤが保つのかどうかの心配はありました」と松田。自身が乗り込んで以降は、約15秒先の16号車ARTA MUGEN NSX-GTを追いかける一方で、10秒後方にいた3番手集団のペースも警戒しなければいけない状況だった。

「残りの10周は、タイヤマネージメントをしながら前に追いつかないといけない状況でした。でも、こちらがタイムを上げたら向こうも引き離しにかかるし、少しでも守ったら後ろが追いついてくるし……せめぎ合いの状態が続いて大変でした」

 さらに松田は、6月の悪夢と闘いながら周回を重ねていたことを明かす。

「(第3戦でのクラッシュは)忘れるのも大事でしたし、自分の走りをしようということで、とにかく冷静な判断で無理はしないということを重要視して走っていました。あのときに痛い思いをしているので、変に体が反応したらどうしようとかも考えていました」

「これが接戦の状況だったら、そういったことも考えなかったと思いますけど、(前後とのギャップがあったので)逆にいろいろと考えることが多かったです。そういった意味で、この3カ月は本当に苦しかったです。あの1カ月半の入院で、何度もめげそうになったときがありましたけど、頑張ってきて良かったなと思います」

■開幕戦勝利のウエイトにより無理を強いられ「第3戦の出来事につながった」
 今季は開幕戦の岡山でポール・トゥ・ウインを飾った23号車。そこで42kgのサクセスウエイトを背負いながら上位を目指していくシーズンとなっている。やはり第2戦、第3戦はサクセスウエイトが軽いライバルたちに有利な展開になったほか、同じニスモがメンテナンスを手がける3号車Niterra MOTUL Zの活躍も、少なからず焦りにつながっていたという。

「開幕戦で勝ってウエイトが重くなったことがプレッシャーになった部分はありました。思うようにレースができず、ちょっと無理をしなければいけない場面もありました。それが第3戦の出来事につながったところはあります」

「今回も50kgのサクセスウエイトで、けっこうキツかったですけど、しっかりと走り切れたというのは大きかったです」

 クラッシュのことや入院期間中の辛さが自身を苦しめていたという松田。とはいえ、レースになればマシンに乗り込んでステアリングを握らなければならない。「とにかく、ひとつひとつ払拭していかないと本来の攻めた走りはできません。今回の第5戦が、その第一歩のきっかけになって良かったのかなと思います」と、胸を撫で下ろしている様子だった。

 レース後は「結果を残せて良かった」と安堵していた松田。しかし、23号車はスキッドブロックの規定違反で車検不合格となり、失格の裁定が下された。

 松田は自身のSNSで「スーパーGT第5戦鈴鹿 良い走りができましたが、結果は失格。これもレース。次に向けて気持ちを切り替えて頑張ります。たくさんのご声援ありがとうございました。またこうして、鈴鹿サーキットを気持ち良く走れたことに感謝です」と綴った。

 次戦の第6戦スポーツランドSUGOは仕切り直しのレースとなる23号車。第5戦の結果は失格になってしまったものの、ひとまず松田自身としては、鈴鹿での大クラッシュを乗り越えることができた1戦になったことは間違いなさそうだ。

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