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カワサキW1オーナーが、新型「W800」を堪能してみた。

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 カワサキW1オーナーが、新型「W800」を堪能してみた。

Z900RS、カタナ、往年のビッグネームが次々と新型となって復活を遂げていますが、カワサキには根強い人気を誇る血統があります。1966年の「W1」から連綿と受け継がれる“W(ダブル)”です。最新型は「W800ストリート」と「W800カフェ」の2本立てとなっていますが、まずはスタンダード的存在の“ストリート”の試乗レポートからお届けしましょう。REPORT●青木タカオ(AOKI Takao) PHOTO●カワサキモータースジャパン、川崎重工業

W800STREET…993,600円

【原付1種→2種に】50ccのモンキーを“110cc”に、市役所で登録変更してみた

 2016年の「W800 ファイナルエディション」にて惜しまれつつも生産終了となっていたWシリーズですが、新型となって待望の復活を遂げました。新型は「W800ストリート」と「W800カフェ」があり、それぞれをじっくり乗ってきました。
 まずはスタンダードとも言うべき、「W800ストリート」からレポートしていこうと思います。



開発陣もこだわったサウンドに納得!!

 エンジンを始動して、まず感じるのは排気音の迫力が増し、力強くなっていることです。マフラーはWの伝統ともいえるキャブトンタイプで、アクセルを開けるたびにサウンドが楽しめるようサウンドチューニングが入念におこなわれました。



 じつは筆者、25年間もの長い間、“カワサキW”(1971年式のW1SAという機種)に乗り続けるマニア(オタク!?)でして、W乗りたちがとことん“音”にこだわることをよく知っています。

 信じられないかもしれませんが、W1の走行音だけを収録したLP版レコードが1978年に大手レコード会社から発売されたこともあり、さらに強い要望を受けて90年代にCD化し、再販もしたのです。そんな唯一無二な「ダブワンサウンド」に、ファンらは魅了され続けているのです。



 そうしたサウンドへの強いこだわりはカワサキの開発陣にも伝わっていて、今回の新型をつくるのにあたって排気音はとても重要なポイントだったとプロジェクトリーダーの菊地秀典さん(川崎重工業株式会社モーターサイクル&エンジンカンパニー)から聞きました。

 さすがはカワサキ。我々ファンの要望に応えてくれたというわけです。歯切れの良い乾いた音で、これなら昔からWを知るオールドファンも頷くはず。筆者もいい音だなと、太鼓判を押します。



 この素晴らしきサウンドは、走行中には後ろのライダーにもよく聴こえ、隊列を成して新型W800に乗っていると、ジャーナリストらが口々に「いい音だな」「走りながらウットリする」と言うのでした。もちろん筆者も、酔いしれっぱなしなのは言うまでもありません。



鼓動感、排気音、ライドフィールにこだわったバーチカルツイン

 思わず酔いしれてしまうグッドサウンドは、マフラーだけによるものではなく、等間爆発の360度クランクや空冷直列2気筒、ボア77.0mm×ストローク83.0mmのロングストローク設計など、いろいろな要素が組み合わさって奏でられています。

 音だけで、もうこれだけの文字数を割いてしまうのですから、Wシリーズに対する筆者の熱意がもうおわかりでしょう。呆れて読むのをやめる、なんていわず、もう少しおつき合いください!!



 ちなみに最新のW800は、1999年の「W650」から受け継がれるベベルギヤ駆動のSOHC4バルブエンジンで、1966年に登場した初代「W1」から1974年に生産終了した「650RS(W3)」までのOHV2バルブとは異なるパワーユニットとなっているのです。

 新型のエンジンは、先代と比較しボア×ストロークや773ccの排気量などに変更はないものの新設計となっています。
 エアボックスからシリンダーまで一直線となるように34mm径のスロットルボディが配置され、さらにサブスロットルも装備。ライダーのスロットル操作に対し、過敏すぎず怠すぎない最適なレスポンスだと実際に乗って感じるのでした。



 そして低回転域は従来型と同じように力強く、さらに中高回転域もパワフルになって、伸びやかなフィーリングさえも楽しめるではありませんか。
 スペックで確かめると、最高出力は48→52PSにアップ。最大トルク62Nm(6.3kgf.m)はそのままですが、発生回転数が2500→4800rpmに上がっていることがわかります。

 高速道路も走りましたが、100km/h巡航はトップ5速で3500rpmほど。まだまだ余裕があり、車体の剛性も上がっていて乗り心地も良くなっているのでした。



シャシーや足まわりも刷新し、運動性能を向上

 50mm角断面のバックボーンと丸パイプのダウンチューブを組み合わせたフレームは従来型を踏襲したように見えますが、各部の必要剛性を改めて解析し、パイプ径をそのままにパイプの厚さを最適化するなど新作。
 溶接やガセットが最小限に抑えられ、滑らかで高品質な仕上げを実現しているのです。



 骨格の剛性アップに合わせ、足まわりもグレードアップを果たしていました。先代は車体も足まわりも柔な印象があり、それが旧車然としていて「良し」としていましたが、こうして進化して安定感が増し、キビキビ軽快に走ってくれると「新型はいいな」と感じます。

 39mmだった正立フォークのインナーチューブ径は41mmに大径化し、スプリングも硬めに変更。クロススポーク仕様のホイールは前後18インチとなり、フロント19インチの先代よりハンドリングがクイックでシャープに。キャスター角を27→26度に起こしたのも大きく影響しているはずで、コーナー初期での寝かし込みがよりスムーズになりました。



 ブレーキの進化も見逃せません。前輪ディスク径は300→320mmに拡大し、ドラム式だった後輪には270mmディスクがセットされました。そして、ついにABSを標準装備したのです。安全性を飛躍的に向上したと言えます。




 アシスト&スリッパークラッチも搭載し、レバー操作がとても軽いのも朗報でしょう。もちろんライディングの次元を上げていて、エンジンブレーキが強力に効き過ぎて後輪のホッピングやスリップの不安がありませんので、たとえばコーナー進入前のシフトダウンも大胆にいけるのでした。



急かされない大らかなフィーリングも健在

 運動性能を高めた新型ですが、昔ながらの大らかなライドフィールも残っていて、急かされない、ゆったりとした乗り心地も健在です。

 さて、少し長くなってしまいましたが、最後までおつき合いいただきありがとうごいざます。Wシリーズに関しては筆者の個人的な思い入れが強いので、今回触れなかった「W800カフェ」を含め、今後まだまだ情報をお届けしたいと思います。どうぞお楽しみに!! 

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