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【なぜスイスポ/GRヤリスは人気?】昔から変わらぬ 売れるスポーツモデルの秘訣とは

掲載 更新 14
【なぜスイスポ/GRヤリスは人気?】昔から変わらぬ 売れるスポーツモデルの秘訣とは

今や手頃なスポーツモデル自体が希少

text:Yoichiro Watanabe(渡辺陽一郎)

【画像】売れる秘訣が詰まってる?【人気のスイフトスポーツ/GRヤリスを比較】 全159枚

editor:Taro Ueno(上野太朗)

「最近はスポーツモデルが売れない」といわれる。

1990年代までは若いクルマ好きが多く、トヨタ・レビン&トレノ、日産シルビア、ホンダCR-Xといったスポーツモデルも好調に売られた。

それが今は若いクルマ好きが減り、スポーツモデルの販売台数も下がり、レビン&トレノやシルビアは廃止された。

走りの楽しいクルマの減少は、若年層のクルマ離れとセットで語られることが多い。

しかし本当にそうなのか? 若年層のクルマ離れがすべての原因か? クルマの側が若年層から離れたこともあるのではないか?

例えば30年前の1991年に発売されたAE100/101型カローラ・レビンは、直列4気筒1.6Lエンジンを搭載する1600GTアペックスの価格が187万4000円(5速MT)だった。

1988年に発売されたS13型シルビアも、1.8Lを搭載した売れ筋のQ’sが176万5000円(5速MT)だ。

1987年に発売された2代目CR-Xは、1.6LのSiが149万8000円(5速MT)であった。

当時は安全装備が乏しく、四輪ABSや運転席エアバッグすら装着されないクルマが多かったが、価格も安かった。

200万円以下で購入できるスポーツモデルが豊富に用意されていた。

最近はこのようなスポーツモデルが減り、売れ行きも下がり、車種が廃止された事情もあるだろう。

今のスポーツモデルの価格は、1.5Lエンジンを搭載するコンパクトなロードスター(ソフトトップ)のSでも260万1500円(6速MT)だ。

装備が充実する売れ筋のRSは、1.5Lでも333万4100円に達する。

この状況を逆に捉えると、運転が楽しくて価格の求めやすいスポーツモデルを開発すれば、売れ行きを伸ばせるのではないか。

そこでスポーツモデルの価格と販売台数をあらためてチェックした。

価格も魅力 スイフトの約40%はスイスポ

価格の求めやすいスポーツモデルを探すと、車種が意外なほど少ない。

前述のとおり1.5Lエンジンのロードスターでも260万円を超える。大半のスポーツモデルは、中心的な価格帯が300万円以上に達するのだ。

その意味でスイフトスポーツは貴重な存在だろう。

価格は6速MTが201万7400円におさまり、なおかつ中身は本格的だ。

エンジンは直列4気筒1.4Lターボで、自然吸気のノーマルエンジンに当てはめると2.3L前後に匹敵する動力性能を発揮する。

サスペンションにはモンロー製のフロントストラットやリアショックアブソーバーが採用され、走行安定性も良好だ。

外観ではエアロパーツや17インチアルミホイールが備わり、衝突被害軽減ブレーキや全車速追従型クルーズコントロールなどの先進装備も標準装着される。

この内容で200万円少々なら買い得だ。

そのために売れ行きも堅調で、2021年1~6月には、スイフトスポーツだけで1か月当たり約900台が登録された。

スイフト全体の40%以上をスポーツが占めている。ロードスターはソフトトップとRFを合計して1か月に約540台だから、スイフトスポーツは圧倒的に多い。

また、スイフトスポーツのトランスミッションは、6速のMTとATだが、前者の比率が60%に達する。

スイフトスポーツはコンパクトで実用的なボディにスポーティな本物指向のメカニズムを凝縮させ、6速MTも用意して、価格は200万円前後に抑えたから好調な売れ行きとなった。

それならほかの車種はどうなのか。

後席も使えることがニーズと合致?

コンパクトなスポーツモデルとしてGRヤリスも注目される。

価格は主力の1.6Lターボ+4WDのRZが396万円だから、かなりの高価格車だが、2021年1~6月の1か月平均登録台数は800台を少し超えた。

1.6Lターボの動力性能は、最高出力が272馬力(6500rpm)、最大トルクは37.7kg-m(3000-4600rpm)だから、自然吸気のノーマルエンジンに当てはめると3.5L相当だ。

この動力性能と4WDの搭載を考えると、価格が400万円近くてもユーザーとしては納得できる。

GRヤリスには1.5LのノーマルエンジンとCVT(無段変速AT)を搭載する2WDのRSも用意され、価格は265万円におさまる。

この販売比率もGRヤリス全体の約20%を占めるため、最廉価の不人気グレードではない。

GRヤリスは3ドアボディだが、居住性は5ドアと同等だから、後席は少し狭いが4名乗車も可能だ。一家に1台のクルマとして使えることも堅調に売られる理由だ。

このほか軽自動車のコペンとS660もコンパクトなスポーツカーとして注目されるが、2021年の届け出台数は、両車ともに1か月平均で260台前後にとどまった。

価格は200万円前後と安くても、2人乗りは売りにくい。

そのためかS660は、生産は2022年までおこなうものの受注を終了した。生産台数が少ないため、販売終了が発表されると、来年までの生産枠が埋まってしまった。

このほかシビックは、価格が300万円前後に達するが、販売は堅調だ。

今は新型への切り替わり時期だから登録が中断されているが、2020年には1か月平均で約600台、2019年は900台が登録された。

6速MTの比率は、タイプRを除いた1.5Lターボのハッチバックだけでも30%を超える。シビックも6速MT比率が高い。

売れる秘訣は? 素のグレードの走りもポイント

前述のとおり販売の好調なスポーツモデルには一定の条件がある。

まずボディタイプは、2シーターや後席が極端に狭いスポーツカーでは売りにくい。4名で乗車できることが条件だ。

ただしセダンには高価格車が多く、保守的な印象も強いために売れ行きが低迷しやすい。ハッチバックが1番だ。

そこでスイフトスポーツを筆頭に、GRヤリス、シビックなどが人気を集めている。

スポーツモデルの人気車では、MT比率が高いことも特徴で、スイフトスポーツは前述のとおり60%、シビックも30%少々を占める。GRヤリスの1.6Lターボ+4WDは6速MTのみだ。

このような販売動向があるため、ノーマルタイプのヤリス、カローラ・スポーツ、マツダ3なども6速MTを用意する。

価格の求めやすい車種を中心に、ハッチバックにMTを選べるスポーツモデルを設定するとユーザーの共感を得やすい。

今後はノート・オーラにも、MTはないがスポーツモデルの「ニスモ」が用意される。

ただしすべてのハッチバックにスポーツモデルを設定することは難しい。

スポーツモデルに発展させるには、ベースのノーマルグレードにも、優れた走りの素性が必要になるからだ。

スイフトスポーツも、ベースのスイフトが走りの優れたコンパクトカーだからこそ、1.4Lターボエンジンやモンロー製の足まわりが良い効果を生み出した。

したがってコンパクトカーとその発展型のスポーツモデルをセットにして開発すると、スイフトのようにベース車の走りも向上して相乗効果を高められる。

素性の優れたコンパクトカーが上質なスポーツモデルを生み出す鉄則は、1975年に発売された初代フォルクスワーゲンゴルフGTDの時代から変わっていないのだ。

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みんなのコメント

14件
  • GRヤリスは高額でもスペックを見ればお買得。スイスポは走り以外の品質はボロだけど安いから売れてる。
  • スイスポって車の感想が遅いと速いが両極端だけどスイスポより速い86って遅い評価が圧倒的に多いよね。
    両車とも変なイメージが付いてるのと乗っても居ないのにイメージだけで語る人が多いんだろうけど。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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