クルマの性能を評価する際に使われることの多い「パワーウェイトレシオ」。
車両重量をエンジンの出力で割ったもので、単位は「kg/ps」で表わされる(海外では「エンジン出力÷車重」)。主に加速能力を評価する際の指標となり、その数値が低ければ低いほど高性能だとされる。
さてここで気になるのが、近年この“エコまっしぐら”なご時世に妙に増えてきたハイパワースポーツたちの存在。
彼らのパワーウェイトレシオはどんなものか。現在も日本で買えるモデルを中心にご紹介してゆく。
※本記事は2017年4月時点のものです。
文・写真:ベストカー編集部
初出:ベストカー2017年4月10日号
■まずは海外のスーパースポーツたちを見てみよう
【次期型登場予想付き!】 現行車が歴代で最も良いヒット車 3選
No.1
アストンマーティン/レッドブル・アドバンスド・テクノロジーズ
AM-RB001
kg/ps値=1.00(最高出力=1000ps・車両重量=1000kg ※いずれも予想値)
アストンマーティンとレッドブルが共同で開発を行う「AM-RB001」。軽量化を追求したカーボンファイバー・モノセルのボディに、コスワース製の6.5L、V12エンジンが搭載される。生産台数は最大150台で、デリバリーは2019年から、市販価格は3億円前後とされている。
No.2
ケーニグセグ
One:1
kg/ps値=1.00(最高出力=1360ps・車両重量=1360kg)
2014年のジュネーブショーで発表され、わずか6台のみ生産されたハイパースポーツ。搭載する5LのV8ツインターボエンジンは、驚異の1360ps/139.8kgmという出力を発生。理論上の最高速度は440km/hといわれ、0-100km/h加速も3.3秒でこなす。ちなみに新車時の価格は約3億4000万円だったとか。
No.3
ブガッティ
シロン
kg/ps値=1.33(最高出力=1500ps・車両重量=1995kg)
2016年のジュネーブショーで発表されたシロンは、世界一速い市販車として知られるヴェイロンの後継モデル。8LのW16型クワッドターボは、1500ps/163.2kgmの出力を発生。最高速=458km/h、0-100km/h加速も2.5秒未満だという。価格は約3億円。
No.4
パガーニ
ウアイラBC
kg/ps値=1.60(最高出力=760ps・車両重量=1218kg)
AMG製の6L、V12ツインターボエンジンを搭載するウアイラBC。最大トルク=112kgmという数値を誇っているだけに、0-100km/h加速タイムも、ウアイラの3.2秒を大きく短縮してくるだろう。生産台数はわずか20台。早い者勝ち!価格は2億8000万円だ!
No.5
シボレー
コルベット
kg/ps値=2.44(最高出力=659ps・車両重量=1610kg)
6.2LのV8、OHV+スーパーチャージャーエンジンは、89.8kgmという最大トルクで、0-96km/h加速を2.95秒でこなす。価格は1468万円から。
No.6
ロータス
3-Eleven Road
kg/ps値=2.22(最高出力=416ps・車両重量=925kg)
416ps/41.8kgmを発生する3.5LのV6スーパーチャージャーエンジン搭載で、最高速=280km/h、0-100km/h加速=3.4秒。1495万8000円。
No.7
マクラーレン
650S
kg/ps値=2.05(最高出力=650ps・車両重量=1330kg)
3.8LのV8ツインターボエンジンを搭載。0-100km/h加速は軽量ボディということもあって、3.0秒と好タイム。
No.8
アウディ
R8 V10 plus
kg/ps値=2.70(最高出力=610ps・車両重量=1650kg)
車両重量こそ軽くはないが、優れた4WDシステムで0-100km/h加速タイム2.8秒をマーク。2906万円。
No.9
メルセデスベンツ
AMG GT S
kg/ps値=3.27(最高出力=510ps・車両重量=1670kg)
4LのV8ツインターボエンジンを搭載。66.3kgmというトルクもあってか、0-100km/hタイムは3.8秒、最高速は310km/hをマークする。
No.10
フェラーリ
812スーパーファスト
kg/ps値=1.91(最高出力=800ps・車両重量=1525kg)
ジュネーブショーで発表されたフェラーリの新フラッグシップモデル。0-100km/h加速=2.9秒の俊足だが、低速での扱いやすさも備える。
No.11
ポルシェ
911ターボ S
kg/ps値=2.76(最高出力=580ps・車両重量=1600kg)
ベストカーがJARI(日本自動車研究所・茨城県つくば市)で行ったテストでは、0-100km/h加速=2.56秒、最高速=308.5km/hをマーク。ポルシェの本気を感じさせる。2599万円。
No.12
ランボルギーニ
アヴェンタドール S
kg/ps値=2.10(最高出力=750ps・車両重量=1575kg)
快音轟く6.5LのV12エンジン搭載。0-100km/h加速=2.9秒、最高速=350km/hの実力を持つ。価格は4500万円級となりそうだ。
No.13
ジャガー
Fタイプ SVR
kg/ps値=3.20(最高出力=575ps・車両重量=1840kg)
車重はやや重いがパワフルな5LのV8スーパーチャージドエンジンにより、最高速度=322km/h、0-100km/h加速=3.7秒をマーク。
■日本のハイパワー車のパワーウェイトレシオはどうだろう?
No.14
レクサス
LC500
kg/ps値=4.06(最高出力=478ps・車両重量=1941kg)
新たなプラットフォームを得て今春登場する、レクサスの新型フラッグシップクーペがLC。RC Fなどにも搭載される5LのV8エンジンに10速ATが組み合わされ、質の高い走りを披露する。価格は1300万円程度の予想。
No.15
日産
GT-R NISMO
kg/ps値=2.90(最高出力=600ps・車両重量=1740kg)
優れた4WDシステムが武器。0-100km/h加速は570psのトラックエディションでも2.9秒をマークする。1870万200円という価格はダテではない。
No.16
ホンダ
NSX
kg/ps値=3.06(最高出力=581ps・車両重量=1780kg)
3.5LのV6エンジン+3モーターをパワーユニットとするハイブリッドスポーツ。過去にJARIで行ったテストにおける0-100km/h加速タイムは3.57秒だった。
No.17
レクサス
RC F
kg/ps値=3.75(最高出力=477ps・車両重量=1790kg)
伸びやかなサイドビューが美しいボディに5LのV8エンジンを搭載。8速ATとの組み合わせで、0-100km/h加速は4.5秒(レクサス公表値)を記録する。
No.18
レクサス
LFA
kg/ps値=2.64(最高出力=560ps・車両重量=1480kg)
2010~’12年に500台限定で生産されたスポーツモデル。4.8LのV10エンジンを搭載し、0-100km/h加速タイムは3.7秒。
■元GT-R開発責任者 水野和敏さんに聞く! kg/psに意味はあるか
いきなりですが、速さとパワーウェイトレシオの間に、関係はまったくありません。速さに関係するのは0~4000回転領域のトルクウェイトレシオです。
私はレースに携わっていた時に、回転数が回らないエンジンを作れというオーダーをしました。7000~8000回転の間しかパワーゾーンがないエンジンより、2000回転から4000回転の間でトルクウェイトレシオがしっかりあるクルマのほうが速いからです。
クルマを軽くして、パワーを上げればパワーウェイトレシオの数値は下がります。
でもそれでパワーウェイトレシオが“1”とか“2”のクルマを作っても、タイヤにかかる荷重が抜けちゃうようじゃ、まったく意味がないんです。
F1マシンは確かに軽量ですが、あれは空力によってダウンフォースがかかった状態を考えているからです。自重+空力による荷重。それでタイヤにグリップ荷重を与えているんです。だから静止した状態の車重から計算するパワーウェイトレシオには、何の意味もありません。
まとめますと、大事なのはパワーウェイトレシオよりもトルクウェイトレシオのほうで、そのウェイトっていうのは、空力ぶんも入れて考える必要があるよ、ということなのです。そこをわかっていないと、いくら見かけ上の数値はよくても、たいして速くもないスーパーカーしかできないよ、ということです。
数値だけを追ったパワーウェイトレシオには何の意味もなく、速さもともなわないという水野氏
水野氏にはあっさり否定されてしまったが、やはりパワーウェイトレシオの数値がよいクルマには、なぜかワクワクさせられるというのは事実。なので自動車メーカーには、今後ともこういうわかりやすいモデルを作り続けていただきたい。あっ、空力も忘れずにね♡
【番外編コラム・あのスーパーカーのkg/ps、戦闘機やロケットの加速力は?】
1970年代に巻き起こったスーパーカーブーム。ここではそのブームの中心にいたモデルたちのパワーウェイトレシオを紹介する。参考までに同時代の一般的国産セダン代表として、2代目カローラの数値も載せておいた。お楽しみください。
当時の子どもたちの憧れ、カウンタック
ジェットエンジンのパワーは通常、推力で表すため馬力への換算には特殊な計算式が必要になるが、我が国の主力戦闘機F-15は「10万馬力のエンジンを二機積んでいる」と自衛隊が説明してくれている。なのでそこから計算するとF-15のパワーウェイトレシオは「0.06」となる。
お次はロケットだが、アポロ計画で使われたサターンV型ロケット、第一弾ロケットの総出力は1億6224万psとの情報がある。重量は303万8500kgなので、そこから計算するとパワーウェイトレシオは驚異の「0.019」という結果に。
空を飛んでいるヤツらは、やっぱりケタ違いのパワーを持ってることがよくわかった。
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