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2024年への有能なアンカー ボルボXC90 T8リチャージへ試乗 小変更で走りを向上

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2024年への有能なアンカー ボルボXC90 T8リチャージへ試乗 小変更で走りを向上

珍しい7シーターでPHEVのSUV

最近のボルボXC90は、少々存在感が薄いように思う。2024年のデビューが予定されている、同サイズの新しいバッテリーEV(BEV)、EX90へ注目が集まっているためだろう。現行型の登場は2015年と、8年ほど経過していることも理由だと思う。

【画像】2024年への有能なアンカー ボルボXC90 T8リチャージ 競合の大型SUVと写真で比較 全122枚

7シーターの大型SUVは珍しくないが、プラグイン・ハイブリッド(PHEV)に限っていえば、実は選択肢はそれほど多くない。英国市場を見渡すと、価格帯は異なるものの、ヒョンデ・サンタフェ程度となる。

XC90の場合は、駆動用バッテリーとモーターを巧みにパッケージングしているため、PHEV版でも5シーターへ絞る必要がない。そのおかげで、特定のニーズを持つ人へ独占的にビジネスを展開できていた。

そんなXC90だが、ハイブリッド・パワートレインの改良と、インフォテインメント・システムや運転支援システムのアップデートが施された。装備内容を見直し、トリムグレードも再設定されている。モデルライフをまっとうするために。

XC90 T8リチャージの場合、リアアクスル側に組まれる駆動用モーターは、88psから145psへパワーアップ。駆動用バッテリーも14.9kWhを得ている。その結果、CO2の排出量を30g/kmまで削減し、英国では有利な税金区分に含まれるようになった。

インフォテインメント・システムは、グーグル・アンドロイドをベースとした最新版を獲得。ネットワークを介したデータ通信を可能とする、コネクテッド機能も追加されている。スマートフォン・ユーザーとしては、メリットが多い内容といえる。

8年前のデザインとは思えないインテリア

ただし、メニュー構造は直感的でわかりやすいのだが、入力インターフェースがタッチモニターのみで、操作は少々面倒に感じることもある。ロータリーコントローラーなどがあれば、より印象は優れるだろう。

腕を伸ばしてタッチモニターに触れることは、基本的に運転中は難しい。安全性に対して高い意識を持つボルボは、これに疑問を感じていないのだろうか。

もっとも、システム自体の仕上がりは良い。グーグル・ベースの音声認識機能は理解度が高く、ナビの目的地を設定する場面では特に有効だった。

インテリア自体には目立った刷新は与えられていないが、空間は広々としていて、設えの水準は非常に高い。ソリッドな雰囲気があり、快適に長時間過ごせるだろう。素材の質感なども含めて、8年前のデザインだとは思えないはず。

環境への意識も高いボルボらしく、試乗車のシートはウールを混合したテキスタイルで仕立てられていた。レザーやフェイクレザーとは異なる、新鮮味のある高級感が醸し出され好印象だった。グレー基調の色合いも好ましい。

フロントシートのサイズは大きく、角度の調整域も広く、掛け心地は素晴らしい。2列目も、高身長の大人でもゆったり過ごせる。3列目は広さに制限がある。

アップデートで高効率・活発になった走り

電動パワートレインの能力が高められたことで、走りにも変化が生まれている。電気のみで走行可能な距離が、65km前後へ伸ばされたことがトピックだろう。実際、試乗でもそれに近い距離を走れていた。従来から50%増しに近い。

駆動用バッテリーの充電量がなくなった時の燃費は、12.4km/L程度へ落ち込む。それでも、日常的な利用の範囲なら、こまめに充電を繰り返せば大幅にガソリン代を節約できるだろう。

125psへパワフルになった駆動用モーターのおかげで、動力性能も高められている。車重は2314kgもあるが、明らかに加速力が向上。速度域に関わらず、内燃エンジンの出番は少なくなっている。好燃費にも結びつく。

一方でドライブモードをパワー・モードへ切り替えると、システム総合で455psという実力を体感できる。7シーターのSUVとして、必要以上の速さを披露する。

駆動用モーターと内燃エンジンとの協働ぶりは、大きめの負荷がかかった時に若干ギクシャクする場面も感取された。フロントタイヤをエンジン、リアタイヤをモーター、それぞれ個別に担当しているためだろう。

乗り心地や操縦性は、サイズを考えれば充分評価できる。ドライバーが運転を楽しめる特性とはいえないが、そんな体験を求めてXC90を選ぶ人はいないと思う。

2024年に向けた素晴らしいアンカー

新たにトリムグレードも見直されているが、アダプティブダンパー付きのエアサスペンションを英国で選べるのは、トップグレードのアルティメットのみとなった。それ以外のグレードでは、オプションでも選べない。

試乗車だったプラスダーク仕様のXC90には、一般的なダンパーにオプションの21インチ・ホイールが組まれていたが、このクラスらしい落ち着いた乗り心地を希望するユーザーは別の設定を検討したい。少なくとも、ホイールはインチダウンした方がいい。

高級・大型SUVへ期待するほどの、路面との隔離性は得られていなかった。古いアスファルトの上ではノイズが目立ち、凹凸に対する揺れも大きめ。姿勢制御は悪くないものの、流れの速い郊外の道では軽くない車重も実感することになる。

もっとも、XC90のユーザーが求めるであろう、日常的な速度域での動的能力に不足はない。もう少しリラックスできる質感なら、一層望ましいという程度だ。予算に余裕がある場合は、アルティメット・グレードを候補にしたい。

ボルボXC90ほど実用性に長け、知的なスタイリングと快適なインテリアを備える、充足感の高い7シーターSUVは他に思い浮かばない。2024年にEX90へバトンタッチするまで、アップデート版は確実なアンカーを務めることができそうだ。

ボルボXC90 T8リチャージ・プラスダーク(英国仕様)のスペック

英国価格:7万6530ポンド(約1224万円)
全長:4953mm
全幅:1923mm
全高:1776mm
最高速度:180km/h(リミッター)
0-100km/h加速:5.4秒
燃費:76.9km/L
CO2排出量:30g/km
車両重量:2314kg
パワートレイン:直列4気筒1969ccターボチャージャー+永久磁石同期モーター
使用燃料:ガソリン
駆動用バッテリー:14.9kWh(実容量)
最高出力:455ps/6000rpm(システム総合)
最大トルク:−
ギアボックス:8速オートマティック

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みんなのコメント

1件
  • このバカみたいな車幅
    絶対に日本では邪魔になる
    ドアパンチの餌食になりそう
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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